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認知症対策のために4万人を調査「IROOP」 40歳以上の参加者を募集中
2016年07月06日
40歳以上の健常者を対象とした認知症予防に関する数万人規模の調査を、国立精神・神経医療研究センターと国立長寿医療研究センター、そして日本医療研究開発機構が開始した。登録はインターネットで可能で、7月5日から受け付けられている。
認知症対策のために研究データを収集 「IROOP」が日本で始動
この登録システムは、国立精神・神経医療研究センターなどの研究グループが開発したインターネット健常者登録システム「IROOP」(アイループ)だ。
世界的に認知症患者が増加しており、とりわけアルツハイマー病に対しての予防や治療などの確立が急務とされている。だが実際は、認知機能の改善が期待される薬の治験が計画されても、その有効性を検証するに適した人に参加募集案内をするのが難しいなど、研究はあまり進められていないのが現状だ。
「IROOP」は、こうした状況をふまえ、全国の40歳以上の健康な人を対象に、インターネット上で数万人規模の登録者を募集するシステム。
登録にあたっては、登録者の氏名、生年月、性別等の基本的な情報や、メールアドレスの入力が必須となる。この際、性別や服薬の有無は問われず、同意が得られるのであれば、特に除外基準は設けられていない。
7月5日からインターネットで登録受付 5年間で4万人を計画
登録すると、基本情報を入力後にインターネット上で病歴や睡眠、食生活などに関する約160項目のアンケート(所要時間約20分)に答え、認知機能を簡易にチェックできる検査「IROOPあたまの健康チェック」(所要時間約15分)を電話で受ける必要がある。登録から6ヵ月ごとに定期アンケート(所要時間約20分)にも回答すると、認知機能を継続してチェックできる。
検査結果は登録者本人がIROOPサイト上のマイページで確認することができる。
「IROOP」に登録するメリットとして、(1)健康コラムとしてさまざまなジャンルからの最新情報が届けられる、
(2)簡易認知機能検査による健康チェックが定期的に受けられる、
(3)認知症の発症を予防するような臨床研究や認知症に対する薬の臨床治験に関する情報が提供される――などがある。 同センターは2016年度8,000人、5年間で4万人の登録を計画しており、初年度は7月5日から登録を受け付けた。患者でない健康な人を対象にした長期間にわたる大規模調査はこれまでに例がない。
インターネットを用いた健常者レジストリ 国際的な意義も大きい
すでに欧米では「IROOP」と同様に、インターネットを用いた健常者レジストリとして「Brain Health Registry」(BHR)が運用され、アルツハイマー病の予防研究や治験を促進するシステムとして、欧州の「European Prevention of Alzheimer's Dementia consortium}(EPAD)や{米国のGlobal Alzheimer's Platform」(GAP)が運用されつつある。「IROOP」はBHRと協調することになっており、国際的にも大きな意義があるという。
これまで、明確な対処法や予防策が少ないというイメージのあった認知症対策だが、最近の研究では、さまざまな予防策や認知機能低下のリスク要因などが示されている。
研究グループの代表で国立精神・神経医療研究センターの水澤英洋理事長は「認知症はまだまだ解明されていないことが多い。国民ひとりひとりが最新の正確な情報をもとに、日々の生活の中であたまの健康を維持できるような環境づくりを目指す」と話している。
国立精神・神経医療研究センター国立長寿医療研究センター
日本医療研究開発機構
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