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血液であなたの老化が分かります 老化のメカニズムを科学的に解明
2016年07月27日
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、京都大学との共同研究で、高齢者に特異的に変化する14種類の血中代謝物(生体内の代謝によって産生され、個人の健康や病気、食生活などに関する多くの情報を提供している体内物質)を特定したと発表した。
加齢に関係する14種類の代謝物を特定
日本人の平均寿命は年々延びているが、高齢化に伴い、糖尿病などの生活習慣病により治療を必要とする人々も増えている。また、高齢化とともに筋力や腎臓などの身体機能は衰退していく。いかに健康に長生きをするかということが社会的な課題になっている。
沖縄科学技術大学院大学の柳田充弘教授を中心とする研究チームは、血液中に含まれる健康状態を反映する代謝物を調べることで、老化のメカニズムを科学的に解明することに挑戦している。
研究チームは、赤血球を重要な検査項目とみなし、詳細な分析を行った。これまでの研究では、赤血球が注目されることは少なかったが、血液全体のおよそ半分を占める重要な構成成分だ。
高齢になると増加する化合物と減少する化合物がある
研究には、15人の若年成人(25~33歳)と15人の高齢者(74~88歳)が協力した。研究チームは、血液サンプルを液体クロマトグラフィー質量分析法(液体状の試料を分離し、物質を検出する技術)を用いて解析し、血中代謝物を特定した。
次に、特定された代謝物の個人間の変動係数(標準偏差を平均値で割ったもの)を算出し、高齢者の体内で量が増加している化合物と、減少している化合物を調べた。
その結果、14種類の化合物が増減していることを確かめた。そのうちの半数の化合物が、高齢者の体内で減少しており、それらは主に抗酸化物質と、筋力に関わる化合物であることを突き止めた。
逆に、体内量の増加が見られた残り半分の化合物類は腎臓や肝臓機能の低下に関与している代謝物であることも判明した。
その14種類の化合物とは、「1,5-アンヒドログルシトール」「ジメチル-グアノシン」「アセチル-カルノシン」「カルノシン」「オフタルミン酸」「UDP-アセチル-グルコサミン」「N-アセチル-アルギニン」「N6-アセチル-リシン」「パントテン酸塩」「シトルリン」「ロイシン」「イソロイシン」「NAD+」「NADP+」。
これらの化合物は、その量の変動が互いに関連していることも確認されており、体内量の増減が相関関係にあるという。
野菜や動物性タンパク質を摂り運動を続けることが大切
特定の代謝物質の量が増えれば、体調が改善されることも期待できるという。「抗酸化物質量の減少と筋力の衰えを防ぐためには、緑黄色野菜や海藻、豆類などの抗酸化物質を多く含む食物や、筋力をつけるために適正量の動物性タンパク質を摂取し、適度な運動を続けることが重要」と、柳田教授は言う。
「人体の老化の解明ついての重要な手掛かりを見いだしました。長寿は私たちにとって大いなる謎です。高齢者が人生の最期を幸せに過ごすための秘訣はなにか。その謎が解ければ、人類の健康に貢献することができます」と述べている。
沖縄科学技術大学院大学(OIST)
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