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「炎天下で歩道を60分歩く」と子供は熱中症に 環境でリスクを評価
2016年08月03日

名古屋工業大学、東北大学と日本気象協会の共同研究グループが、熱中症リスクを計算する技術に気象予報データなどを組み込み、「アスファルトの歩道」「運動場」といった現実的な環境で熱中症になるリスクがどの程度かを予測するシステムを開発したと発表した。
日本気象協会など、気象データ連動のリスク評価システム開発
研究グループが開発したシステムによると、幼児が気温34度の日にアスファルトの道を歩くと60分で熱中症になるリスクがあるという。3歳児の子供は22歳の大人に比べ、体温の上昇が2倍となり、発汗量も多く、初期の脱水症状になるリスクが高いことが判明した。
研究グループは、東北大学のスーパーコンピューターと日本気象協会の気象予測データを利用して3時間後の熱中症リスクを評価するシステムを開発。また、システムバイオロジーあるいは気象データの効率的な読み込みなどの高速化、最適化を実施した。
今回、アスファルト道路や運動場などの屋外環境の気温と湿度データをもとに算出した推定値をもとに、成人男性や幼児の特定の環境下での熱中症リスクを評価できる新たなシステムを開発した。
このシステムを応用して真夏にアスファルトの歩道を60分歩いた場合の熱中症リスクを見積もったところ、気温34度の場合、3歳児の子供は体温の上昇は1.12度で、22歳の大人の2倍だった。
総発汗量も、成人男子が0.34%だったのに対し、幼児は2.3%で、初期の脱水症状になるリスクが高いことが分かった。
「アスファルト舗装された道は草場や土の地面に比べて熱をため込みやすく、照り返しも強く、地面に近づくほど温度が高くなるため、身長の低い幼児と成人ではリスクに大きな差がついた」と、研究グループは説明している。
研究グループは「特にリスクが高い高齢者や子供などの感覚を把握でき、周囲の気配りを促すことに利用できると期待される。場面に応じた熱中症の予防に同システムを役立ててほしい」と述べている。

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