ニュース

生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会が初会合

 厚生労働省はこのほど、第1回生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会を開いた。生活保護受給者の自立を促すためには、何より健康状態を良好に保つことが重要である。そのため、医療保険におけるデータヘルスの考え方も参考にしながら、生活保護受給者の健康課題を把握し、適切な働きかけや支援が必要な特定の人への介入方法について検討する予定。

 生活保護受給者の健康管理にかかる現状では、26年度の生活保護費のうち約半分の約1.7兆円が医療扶助費で占められている。生活保護受給者は糖尿病といった医療機関の受診や健康管理が適切に行われていないと重症化するおそれのある傷病を抱えている人が多い。そのため生活保護受給者の自立を図るためには健康状態を良好に保つことが不可欠で、医療扶助費の適正化を図る意味でも健康管理支援に取り組むことが重要である。

 平成26年度被保護者調査では、生活保護受給者の総数約213万人のうち、約91万人が障害・傷病のある者となっている。このうち病院や診療所に入院しているのは約8万5千人、救護施設や介護保険施設などに入所しているのは約6万8千人だった。

 また生活保護受給者(被用者保険に加入している者を除く)に係る健康診査・保健指導については、健康増進法に基づき市町村が実施するのが努力義務となっている。平成26年度の健康増進法による健康診査の結果では、対象者約147万人に対して受診者は約11万人で受診率は約7.4%。平成25年度の特定健診受診者の受診率が47.6%であったのに比べれば、低い値になっている。さらに受診者のうち内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の該当者および予備軍の割合は男性48.4%、女性27.4%を占め、特定健診の受診者より高い値を示した。

 一方で、生活保護受給者の健康特性や課題について福祉事務所が適切に把握しているとはいえず、対策は十分に講じられていない。福祉事務所を所管している899の自治体のうち、公衆衛生部局で生活保護受給者に対して健康診査を実施している自治体は530(59.0%)、公衆衛生部局から健診結果を入手している自治体は151(16.8%)しかなかった。

 昨年12月に決定された経済財政諮問会議の経済・財政再生計画改革工程表には「生活保護受給者に対する健康管理支援の在り方を検討」することが盛り込まれている。今後、生活保護制度の見直しも検討される中、福祉事務所において健診等データを活用した健康管理に関する支援を行い、具体的な方策を考えるため検討会が設置された。

 主な検討事項は生活保護制度における健康管理支援の対象や効果的な実施方法、またデータに基づく生活保護受給者の健康管理支援を実施するための情報インフラの在り方など。検討会は9月以降、翌年1月まで3、4回開催して論点を整理し、翌年2月から3月にとりまとめを行う予定。

第1回 生活保護受給者の健康管理支援等に関する検討会 資料
[yoshioka]
side_メルマガバナー

「地域保健」に関するニュース

2023年08月28日
極端な「糖質制限」や「脂質制限」は危険? 日本人に適した食事スタイルは? 8万人超を調査
2023年08月28日
カラフルな野菜を食べている人は認知症の発症が少ない ホウレンソウやブロッコリーを食べて認知症を予防
2023年08月28日
わずか5分の運動でも「がんリスク」を32%減少 無理なく続けられる「新しい運動法」を開発
2023年08月28日
週末の「寝だめ」では平日の睡眠不足のダメージを回復できない 寝不足が心臓の健康に悪影響
2023年08月28日
高齢者の「フレイル」の発生リスクを40%低減 「要支援」の高齢者が通所系サービスを利用すると効果
2023年08月21日
肥満やメタボが「腰痛」を引き起こす コロナ禍でさらに増加 「腰痛」を改善する運動は?
2023年08月21日
朝食欠食が肥満やメタボのリスクを上昇 朝食を食べない人に共通する生活スタイルは?
2023年08月21日
アルコールが高血圧の原因に 飲酒量が少ない人も血圧が上昇 2万人弱を調査
2023年08月21日
ストレスを解消する簡単で効果的な方法 「みんなと楽しく食べる」「睡眠を改善する」
2023年08月21日
「運動アプリ」がメンタルヘルスも改善 スマホアプリの導入は運動指導で障壁の低い介入に
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶