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厚労省 『我が事』『丸ごと』の地域共生社会実現に向け改革の工程を公表
2017年02月27日
厚生労働省の「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部はこのほど、『「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)』を取りまとめ、公表した。地域共生社会の実現を基本的なコンセプトとし、本年の介護保険制度の見直し、平成30年度の介護・障害福祉の報酬改定、さらには、平成30年度に予定される生活困窮者自立支援制度の見直しなどの機会をとらえ、具体的な改革を行っていく。
『「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)』ではまず、問題の背景として障害者や高齢者、子どもなど対象を区分して実施されている公的支援制度の「縦割り」には限界があることを指摘。例えば介護と育児を同時に行う、いわゆる「ダブルケア」家庭があったり、精神疾患やがん、難病の患者などに保健医療や就労など複数の分野にまたがって支援を行う必要があったり、絡み合う様々な課題に対して複合的に支援する仕組みづくりが求められている、としている。
一方でこのような公的支援制度では対象とならない身近な生活課題(電球の取り換えやゴミ出し、買い物や通院のための移動など)への支援の必要性、また、軽度の認知症や精神障害の疑いがありながらも、制度の受給要件を満たさない「制度の狭間」問題についても言及。
このような課題解決には、
・「縦割り」ではなく、分野をまたがって包括的に「丸ごと」支援する公的支援への転換・「他人事」ではなく「我が事」として、主体的に自分たちの暮らしや地域社会に豊かさや安心、生きがいを生み出す地域づくりへの転換 が必要だと訴えている。 『「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)』によると、今後の改革は「地域課題の解決力の強化」、「地域を基盤とする包括的支援の強化」、「地域丸ごとのつながりの強化」、「専門人材の機能強化・最大活用」という4つの柱を骨格として沿って進められる。一方で、地域における「我が事」・「丸ごと」の取り組みにするためには相互の重なり合いが必要不可欠で、一体的に改革していくという。 今後は改革の骨格に記載された方向性をふまえ、まずは平成29年の制度改正で介護保険法、障害者総合支援法、児童福祉法、社会福祉法を一体として、「地域共生社会」の実現に向けた改正法案が提出される。そのうえで平成30年以降の制度改正と報酬改定において全国的な体制整備を進めるための措置が講じられる予定。 たとえば4つの柱のうちの1つである「地域を基盤とする包括支援の強化」では、介護保険制度と障害福祉制度に「共生型サービス」を創設。介護保険または障害福祉のいずれかの指定を受けた事業所が、もう一方の制度における指定を受けやすくするよう見直しを行うほか、平成30年の介護・障害報酬改定で基準・報酬を設定する。これらのことから地域の実情に応じた「共生型サービス」を整備していく、と明記している。 またこれらの改革と並行して、専門人材の養成課程についても見直しを進め、2020年代初頭に『我が事』・『丸ごと』の全面展開が実現するよう、着実に改革を実施していくとしている。


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