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外傷性高次脳機能障害、じん肺、アスベスト関連疾患の研究概要を紹介

 独立行政法人 労働者健康安全機構は「労災疾病等医学研究普及サイト」のホームページを開設し、研究の概要を紹介している。平成26年度からは労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題など現代社会の状況に対応するため、研究を3領域に集約。このうち「労災保険給付に係る決定等の迅速・適正化」の領域では、「外傷性高次脳機能障害」、「じん肺」、「アスベスト」の3テーマを掲げ、研究が進められている。

 「外傷性高次脳機能障害」のテーマでは、通常の画像診断で異常を認めない高次脳機能障害の病態解明と、その労災認定基準に関する研究を行っている。具体的には「real time functional MRI」または「光トポグラフィー」といった経時的脳血流量観察機器で、高次脳機能障害が評価できるかどうかなど。健常者の高次脳機能を経時的な大脳における血流量変化として捉え、さらに同じ検査を高次脳機能障害患者で行うことによって、高次脳機能障害が経時的な脳血流動態の異常として証明できれば、その診断価値は高いとされる。

 また「じん肺」のテーマでは、「本邦におけるじん肺における膠原病、腎症特にANCA関連腎疾患の合併頻度に関する調査研究」、「じん肺ハンドブックの作成に関する研究・開発」、「じん肺続発性気管支炎の診断、治療法に関する研究」といった内容で研究が実施されている。

 このうちハンドブックについては、既存のハンドブックに追加された石綿関連肺疾患に関する基準や、新たに作成されたデジタル版のじん肺標準写真が掲載されていないこと、また、日本人のデータを基にした呼吸機能障害の判定基準は追録版として別冊子になっていることから、一冊で情報を網羅したものを作成することを目的としており、平成29年に出版予定である。

 最後に「アスベスト」のテーマでは、アスベスト関連疾患の研究・開発、普及を目的とし、「石綿肺癌診断における石綿繊維と種類に関する研究」や「石綿肺の適正な診断に関する研究」、「石綿健康管理手帳データベースにおける肺癌、中皮腫等の発生頻度に関する研究」、「中皮腫の的確な診断方法に関する研究―鑑別診断方法と症例収集―」といった研究を行っている。

 例えば、石綿ばく露者に悪性腫瘍である肺癌、中皮腫が高頻度に発生することが知られているが、日本において今後どのような頻度でこれらの悪性腫瘍が発生するかの予測はなされていない。これまでの研究では、石綿健康管理手帳を取得し、定期検診を受診している過去の石綿ばく露労働者に肺癌発生頻度が高いことが報告されてきた。そこで今年度は昨年度までにデータベース化した4,057例(男性3,910例・女性147例)について、肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚例がどのような頻度で発生するかについて研究が進められている。

 各テーマの研究概要については、ホームページに詳しい研究計画書を掲載。関連する情報と合わせて閲覧できる。

労災疾病等医学研究普及サイト(独立行政法人労働者健康安全機構)
 「外傷性高次脳機能障害」
 「じん肺」
 「アスベスト」

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