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日本の糖尿病患者の寿命は延びている 寿命は30年で10年間延長
2017年04月13日
糖尿病患者の平均年齢は、男性が71.4歳、女性が75.1歳で、その前の10年間に比べ、男性で3.4歳、女性で3.5歳延びたことが、4万5,708人の患者を対象とした調査で明らかになった。30年前の調査に比べると、男性で8.3歳、女性で10.2歳延長しており、糖尿病患者の寿命が着実に伸びていることが示された。
日本の糖尿病患者の寿命は延びている
寿命を全うするために
日本は世界でもトップの長寿国だ。進んだ医療体制や保険制度、健康的な食生活など、長寿を支える要素は多い。一方で、糖尿病は国民的な病気として認知され、患者数も増えている。糖尿病は寿命にどの程度の影響を与えているのだろうか。そして糖尿病を発症したら、寿命を全うできないのだろうか。
2001~2010年の10年間におけるの日本人の糖尿病患者の平均年齢は、男性が71.4歳、女性が75.1歳で、その前の10年間に比べ、男性で3.4歳、女性で3.5歳延びたことが、日本糖尿病学会の「糖尿病の死因に関する調査委員会」による調査で分かった。この間の日本人の平均寿命の延びを明らかに上回った。
同委員会委員長で愛知医科大学糖尿病内科の中村二郎教授らが、医学誌「Journal of Diabetes Investigation」に発表した。
同学会による日本人糖尿病患者の死因や死亡時年齢に関する大規模な調査は、1971~80年が最初。以来、1981~90年、1991~2000年、2001~2010年と10年ごとに実施してきた。
今回の報告は、2001~10年時の調査結果で。全国の241施設から報告された4万5,708例(男性2万9,801例、女性1万5,907例)を解析した。
糖尿病患者の平均死亡時年齢は男性71.4歳、女性75.1歳。前回の1991~2000年に比べ、男性で3.4歳、女性で3.5歳延びた。1971~80年の調査時と比べると、男性で8.3歳、女性で10.2歳延長しており、日本の糖尿病患者の寿命が着実に伸びていることが示された。
寿命を全うするために
糖尿病患者の死因第1位はがん 脳卒中や心疾患も多い
このように糖尿病患者は短命という言葉は、決して誇張ではない。しかしみてきたように、その理由は糖尿病だけが直接の原因ではない。つまり適切な治療と、食事療法・運動療法を続けて症状の改善を行えば、「死に至る病」を避けられ、健常者と変わらない寿命を全うすることも可能だ。
健康な人と変わらぬ年月を生きることが可能であれば、少しでも健康的な状態で生活を謳歌したい。糖尿病は症状が悪化すると日常生活動作が悪化し、健康的な状態の時間が奪われ、生活の質(QOL)が大きく低下してしまう。何よりも早期からの予防と治療、生活習慣の改善が寿命を延ばすために必要となる。
糖尿病患者の死因第1位は▽悪性新生物(がん)の38.3%であり、第2位は▽感染症の17.0%、第3位は▽血管障害(慢性腎不全、虚血性心疾患、脳血管障害)の14.9%だった。このうち、▽脳血管障害は6.6%、▽虚血性心疾患は4.8%、▽腎不全は3.5%を占めている。
死因となったがんの中でもっとも多かったのは肺がん。次いで肝臓がん、膵臓がんと続く。前回1位だった肝臓がんを肺がんが抜いた。がんの比率は、50歳代で46.3%、60歳代で47.7%と高率であり、50歳代以降でがんによる死亡者全体の97.4%を占めていた。
感染症の中では肺炎がほとんどを占めており、死亡比率は年代が上がるとともに高率となり、70歳代以降では20.0%で、肺炎による死亡者全体の80.7%は70歳代以降だった。
血管障害全体の比率は、30歳代以降で年代による大きな差は認められなかった。糖尿病性腎症による慢性腎不全は、30歳代で、心筋梗塞は40歳代で、脳血管障害は30歳代で比率が増加し、それ以降の年代において同程度であった。50歳代までは脳出血、60歳代以降では脳梗塞の比率が高かった。
血糖コントロールの良否と死亡時年齢との関連をみると、血糖コントロール不良群では良好群に比し1.6歳短命であり、その差はがんに比し血管合併症とりわけ糖尿病性腎症による腎不全で大きかった。
また、糖尿病性昏睡による死亡は、10歳代および20歳代でそれぞれ14.6%および10.4%と高率であり、それらの年代ではがんに次いで第2位だった。
Causes of death in Japanese patients with diabetes based on the results of a survey of 45,708 cases during 2001–2010: Report of the Committee on Causes of Death in Diabetes Mellitus(Journal of Diabetes Investigation 2017年3月27日)
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