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震災は子どもの健康にどう影響したか 被災した子どもで高い有病率

 東日本大震災を経験した子どもの多くが、大きな体や心の健康ダメージを負っていることが、東北大学の調査で明らかになった。
被災地での子どもの体や心への影響を調査
 2011年に起こった東日本大震災は、それまで日本が経験したことがない激甚な災害だった。災害を体験した幼児期の子どもが、体や心の健康に及ぼす震災の影響から長期間にどのように回復していくのかを明らかにすることを目的に、東北大学の研究グループが調査を続けている。

 被災地における子どもの体や心への影響が大きいことが、未就学時期における被災の影響を長期的にみたはじめての研究で示された。

 調査の結果から、津波を経験した子どもの有病率は高いことが分かった。さらに被災経験が、男子のアトピー性皮膚炎や、女子の喘息の有病率と関連していたことが示された。

 研究は、「厚生労働科学研究費補助金(成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)東日本大震災被災地の小児保健に関する調査研究(研究代表者:呉繁夫・東北大学医学部小児科教授)」の中の「子どもの発育状況に関する研究」の一環として行われている。
津波を経験した子どもは2.13倍の有病率
 調査は、全国の保育所3,624ヵ所に協力してもらい、2012年9~12月に行われた。対象者は東日本大震災時にほぼ5歳であった2006年4月2日から2007年4月1日の間に生まれた6万270人で、その中の840人は震災を体験していた。

 東日本大震災で被災した子どもと被災しなかった子どもの震災から約1年半後の有病状況を比較した。

 アンケート項目は、子どもの生年月日、性別、現在の保育園内外への移動歴、5歳6ヵ月~6歳6ヵ月の時に医師が診断した病気の有無などで構成されている。

 6万270人の子どもを調査した結果、被災した子どもの方が被災しなかった子どもよりも有病率が高く、特に津波を経験した子どもでは津波を経験しなかった子どもに比べて有病率が2.13倍高いという結果となった。

 さらに、男子では津波の経験と避難所生活の経験が「アトピー性皮膚炎」の有病率と関連があり、女子では家の全壊・半壊と転居が「喘息」の有病率と関連があった。
平常時の子どものモニタリングも必要
 一方で、震災当時保育園を卒業して小学校に通っていた2004年4月~2005年4月1日に生まれた当時6歳の子どもを同じように調査したところ、内陸部に住んでいた子どもにも、海岸線に住んでいた子どもにも目立った有病率の増加はみられなかった。

 子どもの心への影響については、日常生活でのPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの症状の報告はあったが、調査中のフラッシュバックなどの深刻な精神症状により調査の中止、その場でのケアを要したケースはみられなかったという。

 面接調査を専門家との子どもに関する相談の場ととらえて参加した親もいて、調査において心のケアの専門家との面接が調査と同時に支援の役目も果たしたとみられる。

 「今後も子どもの健康状態のモニタリングを続けて、長期的なニーズを把握していくことが必要」と、研究者は述べている。

 今回の研究では東日本大震災より前の子どもの健康状態に関する情報がないため、実際の震災の影響の程度については検討できなかった。「将来の災害に備えるためにも平常時のモニタリング体制の構築が必要」としている。

 研究は、東北大学 東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)予防医学・疫学部門分子疫学分野の石黒真美助教 、呉繁夫副機構長、栗山進一三世代コホート室長らによるもので、「BMJ Global Health」オンライン版に発表された。

東日本大震災被災地の小児保健に関する調査研究(厚生労働科学研究費補助金・成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)
東北大学東北メディカル・メガバンク機構
[Terahata]

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