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「がん患者と家族に対する緩和ケア提供の現況調査」報告書を公表 厚労省
2017年04月28日
厚生労働省はこのほど、がんなど生命を脅かす病気を患った患者と家族のあらゆる苦痛を和らげ、生活の質を向上させる「緩和ケア」を提供している病院について、調査結果をまとめて公表した。調査したのは「地域がん診療連携拠点病院」のうち、緩和ケアを提供する体制に工夫がなされている日本海総合病院(山形県酒田市)、川崎市立井田病院(神奈川県川崎市)、聖隷三方原病院(静岡県浜松市)、市立豊中病院(大阪府豊中市)、松江市立病院(島根県松江市)の5病院。
同調査は、地域がん診療連携拠点病院における患者と家族への緩和ケア提供で、効果的な連携が取れている取り組みを調査し、広く医療関係者などに情報提供することを目的としている。そのうえで、一般の人々に対しても緩和ケアが「より良く生きる1つの方法」として理解が広まることを期待している。
報告書では診断、通院、入院、退院、在宅といった状況ごとに、緩和ケアを受ける体制について具体的な取り組みを紹介しながら、工夫されていたポイントなどを分かりやすく説明。チーム内での情報共有の方法や、緩和ケア病棟の環境づくりなど、多岐にわたって情報をまとめ、それぞれの地域における支援体制の見直しに有効な内容となっている。
また各病院の取り組みについては、個別報告書で詳しく解説。各部署の工夫や地域のリソースの活用など、具体的な支援体制について紹介している。
このうち川崎市立井田病院では、幼い子どもが2人いる40代女性が、痛みを管理するため緩和ケア病棟に入院したうえで、「自宅に帰り、家族とできるだけ長く過ごしたい」という願いを実現したケースを紹介。
病棟に入院中に、(1)痛みそのものへのケア、(2)がんに伴う痛み以外の症状へのケア、(3)栄養状態を保つための対応が行われ、退院後も入院中のケアが継続されていることなどを説明している。
報告書では「緩和ケアにおいて、残された時間を家族とともに自宅で療養しながら過ごすことは有力な選択肢である」としたうえで、「これまで病院で受けてきた医療ケアが退院後も継続され、患者の状態に応じた患者と家族の苦痛を和らげる緩和ケアについて地域の医療機関や介護事業所との協力や連携を一層強化していくことも求められている」と解説。 さらに、患者と家族の想いや願いに寄り添い続けることが重要であることも強調している。
報道発表「がん患者と家族に対する緩和ケア提供の現況に関する調査」の結果を公表します(厚生労働省)
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