ニュース
厚労省が職場での死亡災害撲滅に向けた緊急要請を実施
2017年09月26日
厚生労働省がこのほど公表した平成29年1月から8月の労働災害発生状況の速報値によると、死亡者数は対前年比で9.6%増加。中でも8月単月の死亡者数は66人で、対前年同月比57.1%(24人)と急増した。そのため厚生労働省は労働災害防止や関係事業団体に対し、職場における死亡災害撲滅に向けた緊急要請を実施。安全衛生活動の総点検を要請するとともに、死亡者数が増加している業種での取り組みのポイントを明示するなどした。
労働災害の発生状況は長期的には着実な減少がみられ、特に死亡者数は昨年、2年連続で過去最少となった。しかし平成29年は死亡災害が夏場に急増し、休業4日以上の死傷者数も減少傾向がみられていない。今年は、平成24年比で死亡災害、死傷災害ともに15%以上の減少を目標とする第12次労働災害防止計画の最終年度にあたり、相当な危機感を持って労働災害防止対策に取り組む必要もある。そのため厚生労働省では、労働災害防止や関係事業に携わる約250団体に緊急要請文を通知した。
原点に立ち返り、安全衛生活動の総点検を
要請文では、本来あってはならない労働災害、特に死亡災害の撲滅を目指した不断の取り組みが必要であると明記。労働災害のない職場づくりが人材確保や養成、企業活動の活性化にもメリットになることから、事業者が基本的な安全活動の着実な実施と確認という原点に立ち返り、安全衛生活動を総点検するよう訴えた。
そのうえで、関係者が一体となって以下の取り組みを徹底するよう要請を行った。
1 安全作業マニュアルの遵守状況を確認するなど、職場内の安全衛生活動の総点検を実施すること2 安全管理者、安全衛生推進者、安全推進者等を選任し、その職務を確実に遂行させるなど、事業場の安全管理体制を充実すること
3 雇入れ時教育等を徹底するなど、効果的な安全衛生教育を実施すること
業種別でのポイントも示す
業種別では林業が対前年同期比35%増、陸上貨物運送事業が同30.2%増、建設業が同20%増と死亡者数の増加が目立っている。製造業でも2.8%増加した。そのため、死亡者数が増加している業種別に、労働災害防止ための取り組みのポイントも示した。
<林業>・「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」に基づく対策の実施 <陸上貨物運送事業>
・「荷役5大災害防止対策チェックリスト」を活用した荷役作業での安全対策の実施
・「交通労働災害防止のためのガイドライン」に基づく対策の実施 <建設業>
・労働者の立ち入り制限や誘導員の配置など、車両系建設機械などとの接触防止対策の実施
・高所作業における作業床の設置、安全帯の着実な使用などの墜落・転落防止対策の実施
・「交通労働災害防止のためのガイドライン」に基づく対策の実施 <製造業>
・リスクアセスメントや機能安全による機械設備の安全対策の実施
・高経年設備に対する優先順位を付けた点検・補修などの実施 厚労省では緊急要請を通じ、第12次労働災害防止計画に掲げる平成24年比で、平成29年までに労働災害による死亡者数を15%以上減少、死傷者数(休業4日以上)を15%以上減少させるという目標を達成したい考え。
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「産業保健」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要