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厚労省が職場での死亡災害撲滅に向けた緊急要請を実施

 厚生労働省がこのほど公表した平成29年1月から8月の労働災害発生状況の速報値によると、死亡者数は対前年比で9.6%増加。中でも8月単月の死亡者数は66人で、対前年同月比57.1%(24人)と急増した。そのため厚生労働省は労働災害防止や関係事業団体に対し、職場における死亡災害撲滅に向けた緊急要請を実施。安全衛生活動の総点検を要請するとともに、死亡者数が増加している業種での取り組みのポイントを明示するなどした。

 労働災害の発生状況は長期的には着実な減少がみられ、特に死亡者数は昨年、2年連続で過去最少となった。しかし平成29年は死亡災害が夏場に急増し、休業4日以上の死傷者数も減少傾向がみられていない。今年は、平成24年比で死亡災害、死傷災害ともに15%以上の減少を目標とする第12次労働災害防止計画の最終年度にあたり、相当な危機感を持って労働災害防止対策に取り組む必要もある。そのため厚生労働省では、労働災害防止や関係事業に携わる約250団体に緊急要請文を通知した。

原点に立ち返り、安全衛生活動の総点検を

 要請文では、本来あってはならない労働災害、特に死亡災害の撲滅を目指した不断の取り組みが必要であると明記。労働災害のない職場づくりが人材確保や養成、企業活動の活性化にもメリットになることから、事業者が基本的な安全活動の着実な実施と確認という原点に立ち返り、安全衛生活動を総点検するよう訴えた。

 そのうえで、関係者が一体となって以下の取り組みを徹底するよう要請を行った。

1 安全作業マニュアルの遵守状況を確認するなど、職場内の安全衛生活動の総点検を実施すること
2 安全管理者、安全衛生推進者、安全推進者等を選任し、その職務を確実に遂行させるなど、事業場の安全管理体制を充実すること
3 雇入れ時教育等を徹底するなど、効果的な安全衛生教育を実施すること

業種別でのポイントも示す

 業種別では林業が対前年同期比35%増、陸上貨物運送事業が同30.2%増、建設業が同20%増と死亡者数の増加が目立っている。製造業でも2.8%増加した。そのため、死亡者数が増加している業種別に、労働災害防止ための取り組みのポイントも示した。

<林業>
・「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」に基づく対策の実施

<陸上貨物運送事業>
・「荷役5大災害防止対策チェックリスト」を活用した荷役作業での安全対策の実施
・「交通労働災害防止のためのガイドライン」に基づく対策の実施

<建設業>
・労働者の立ち入り制限や誘導員の配置など、車両系建設機械などとの接触防止対策の実施
・高所作業における作業床の設置、安全帯の着実な使用などの墜落・転落防止対策の実施
・「交通労働災害防止のためのガイドライン」に基づく対策の実施

<製造業>
・リスクアセスメントや機能安全による機械設備の安全対策の実施
・高経年設備に対する優先順位を付けた点検・補修などの実施

 厚労省では緊急要請を通じ、第12次労働災害防止計画に掲げる平成24年比で、平成29年までに労働災害による死亡者数を15%以上減少、死傷者数(休業4日以上)を15%以上減少させるという目標を達成したい考え。

報道発表:「職場における死亡災害撲滅に向けた緊急要請」を実施(厚生労働省)
[yoshioka]
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