ニュース
厚労省が過労死等防止対策白書を公表~現状や調査研究結果を報告
2017年10月11日
厚生労働省はこのほど「平成29年版過労死等防止対策白書」を公表した。過労死等の現状や防止対策の取り組み状況のほか、実体解明のための調査研究結果について取りまとめている。
「過労死等防止対策白書」は過労死等防止対策推進法(平成26年成立・施行)に基づき、国会に報告を行う法定白書で、今回が2回目の報告になる。「過労死等」とは業務における過重な負荷による脳血管疾患や心臓疾患を原因とする死亡、または業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺、死亡、または脳血管疾患、心臓疾患、精神障害のことを指す。
長時間にわたる過重な労働は疲労の蓄積をもたらし、過労死等の最も重要な要因になっている。白書では労働時間の状況について、パートタイムを含む労働者1人あたりの年間総実労働時間はゆるやかに減少しているものの、パートタイム労働者を除いた一般労働者だけで見ると、年間2,000時間前後で高止まりしている、と報告。
「1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合」は平成15、16年をピークとしてゆるやかに減少しており、平成28年は429万人(7.7%)で対前年比21万人の減少だった。「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では平成32年までに週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下とすることを目標としており、より一層の労働時間削減が求められる。
「1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合」を性別、年齢層別で見ると、40歳代男性が15.2%、30歳男性が14.7%と高い結果を示している。業種別では、運輸業・郵便業が18.1%、教育・学習支援業が11.1%、建設業が10.6%の順に多い。また、企業規模が小さくなるにしたがって割合が高くなる傾向も見られている。
また年次有給休暇取得率については、大綱で平成32年までに70%以上とする目標を立てているが、平成12年以降、5割を下回る水準で推移しており、平成27年は48.7%だった。
同様にメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合については、平成29年までに80%以上が目標とされているが、平成27年で59.7%にとどまり、特に規模が小さい事業所ほどその割合が低い。
一方で、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は50%以上を超えており、特に「仕事の質,量」が原因になっている。職場での「いじめ,嫌がらせ」に関する相談受付件数も、平成28年は70,917件と過去最多だったことから、職場でのメンタルヘルス対策が急がれる。
過労死等の状況について、民間雇用労働者で脳と心臓疾患に対する労災の補償状況を見ると、平成28年の請求件数は825件、支給決定件数は260件(うち死亡107件)だった。業種別では、請求件数、支給決定(認定)件数ともに「運輸業,郵便業」が最多になっている。
平成28年の精神障害に係る請求件数は1,586件、支給決定件数は498件(うち死亡84件)。業種別で最多だったのは、請求件数では「医療,福祉」、支給決定数では「製造業」だった。
白書では「過労死等をめぐる調査・分析結果」や「過労死等の防止のための対策の実施状況」についても詳細に記載。過労死をゼロ西、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に向け、引き続き過労死等防止対策に取り組んでいく考え。
報道発表「平成29年版過労死等防止対策白書」を公表します(厚生労働省)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2025 SOSHINSHA All Rights Reserved.


「産業保健」に関するニュース
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】女性と男性はストレスに対する反応が違う メンタルヘルス対策では性差も考慮したアプローチを
- 2025年02月25日
- 【国際女性デー】妊娠に関連する健康リスク 産後の検査が不十分 乳がん検診も 女性の「機会損失」は深刻
- 2025年02月25日
- ストレスは「脂肪肝」のリスクを高める 肥満やメタボとも関連 孤独や社会的孤立も高リスク
- 2025年02月25日
- 緑茶を飲むと脂肪肝リスクが軽減 緑茶が脂肪燃焼を高める? 茶カテキンは新型コロナの予防にも役立つ可能性が
- 2025年02月17日
- 働く中高年世代の全年齢でBMIが増加 日本でも肥満者は今後も増加 協会けんぽの815万人のデータを解析
- 2025年02月17日
- 肥満やメタボの人に「不規則な生活」はなぜNG? 概日リズムが乱れて食べすぎに 太陽光を浴びて体内時計をリセット
- 2025年02月17日
- 中年期にウォーキングなどの運動を習慣にして認知症を予防 運動を50歳前にはじめると脳の健康を高められる
- 2025年02月17日
- 高齢になっても働き続けるのは心身の健康に良いと多くの人が実感 高齢者のウェルビーイングを高める施策
- 2025年02月12日
-
肥満・メタボの割合が高いのは「建設業」 業態で健康状態に大きな差が
健保連「業態別にみた健康状態の調査分析」より - 2025年02月10日
- 緑茶やコーヒーを飲む習慣は認知症リスクの低下と関連 朝にコーヒーを飲むと心血管疾患リスクも低下