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妊娠中うつ症状の発症に食事パターンが影響 「日本型」では発症が少ない
2017年10月12日
妊娠中に「健康型」および「日本型」の食事を摂取していた女性は、妊娠中うつ症状の発症が少ないことが、愛媛大学などの研究チームの調査で明らかになった。
大豆製品やイソフラボンを摂取するとうつ症状が減る
研究は、愛媛大学、国立保健医療科学院、東京大学、琉球大学の共同研究チームによるもので、学術誌「Journal of Affective Disorders」オンライン版に発表された。
女性は男性の2倍うつ病にかかりやすく、5人に1人が一生のうち1度はうつ病におちいるとされているが、妊娠中や産後は一生の中でもとりわけうつ病がよく起こりやすい。
研究チームはこれまでに、魚介類、ヨーグルト、海藻、大豆、魚介類由来n-3系不飽和脂肪酸、カルシウム、ビタミンD、イソフラボン、マンガンを摂取すると、妊娠中のうつリスクが減ることを確かめている。
2016年には、妊娠中に大豆製品やイソフラボンを摂取すると、うつ症状が減るという研究を発表している。
「健康型」および「日本型」の食事パターンは、これらの栄養素を十分に摂れるので、妊娠中うつ症状の予防に効果的である可能性がある。
妊娠中うつ症状の有症率は19.2%
今回の研究は、食品の習慣的な摂取状況をとらえ、食品摂取パターンによって妊娠中うつ症状がどれだけ減るかを総合的に分析したはじめてのものだ。
研究チームは、九州・、沖縄母子保健研究のベースライン調査に参加した1,744名の妊婦を対象に、うつ病症状を簡易にチェックできる「うつ病自己評価尺度」(CES-D)で評価した。
CES-D16点以上をうつ症状有りと判定。年齢、妊娠週、居住地域、子数、家族構成、うつ既往、うつ家族歴、喫煙、受動喫煙、職業、家計の年収、教育歴、BMIを交絡因子として補正を行った結果、妊娠中うつ症状の有症率は19.2%となった。
その後、食品摂取パターンを分析したところ、33食品群から因子分析により「健康型」「日本型」「西洋型」の3タイプのパターンが導き出された。
「健康型」は野菜、きのこ類、豆類、海藻、いも類、魚介類、みそ汁、砂糖類の摂取が多く、菓子類、パン類の摂取が少ない。「日本型」は米、みそ汁の摂取が多く、コーヒー、乳製品、砂糖類、菓子類、パン類の摂取が少ない。「西洋型」は肉類、植物油脂類、卵、調味料の摂取が多く、パン類の摂取が少ない。
「日本型」食事を摂っていると妊娠中うつ症状が減る
各食事パターンの度合いを4等分して解析すると、「健康型」食事摂取パターンの度合いのもっとも低い群に比較して、2番目、3番目、4番目いずれの群でも有意に妊娠中うつ症状の有症率が低下していた。
「日本型」食事摂取パターンでは、3番目と4番目の群で有意に妊娠中うつ症状の有症率の低下と有意な関連が認められた。
なお、「西洋型」食事摂取パターンでは、妊娠中うつ症状の有症率は低下しなかった。
今後、研究データをさらに蓄積し検証する必要があるが、食習慣の変容により、妊娠中のうつ症状を予防できる可能性が示された。
Dietary patterns and depressive symptoms during pregnancy in Japan: baseline data from the Kyushu Okinawa Maternal and Child Health Study(Journal of Affective Disorders 2017年8月30日)
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