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過労死等の労災補償状況を公表 -裁量労働制対象者の決定件数も
2018年07月13日
厚生労働省はこのほど、平成29年度の「過労死等の労災補償状況」を公表した。今回は過去4年間分の裁量労働制対象者に関する決定件数などについても取りまとめられている。
過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定して労災保険給付を決定した件数などをまとめたもの。平成14年から年に1回、取りまとめられている。
「脳・心臓疾患に関する事案」の労災補償状況では、請求件数は前年度比15件増加の840件。支給決定件数は253件(前年度比7件減)で、うち死亡件数は92件(前年度比15件減)だった。
一方、「精神障害に関する事案」は1732件の請求件数があり、前年度比146件の増加。うち未遂を含む自殺件数は前年度比23件増の221件だった。支給決定件数は506件(前年度比8件増)で、うち未遂を含む自殺の件数は98件(前年度比14件増)。
支給決定件数の多い業種を大分類で見ると、「脳・心臓疾患に関する事案」では「運輸業,郵便業」が99件、「卸売業,小売業」が35件、「宿泊業,飲食サービス業」が28件という順で多かった。同様に「精神障害に関する事案」では「製造業」が87件で最多となり、「医療,福祉」が82件、「卸売業,小売業」が65件と続いた。
年齢別の支給決定件数は「脳・心臓疾患に関する事案」が「40~49歳」と「50~59歳」がそれぞれ97件で最多だったのに対し、「精神障害に関する事案」では「40~49歳」が158件、「30~39歳」が131件、「20~29歳」が114件だった。
一方、「脳・心臓疾患に関する事案」における時間外労働時間別(1カ月または2~6カ月における1カ月平均)支給決定件数は、「評価期間1カ月」では「100時間以上~120時間未満」42件が最多。「評価期間2~6カ月における1カ月平均」では「80時間以上~100時間未満」の96件が最も多かった。
また「精神障害に関する事案」で出来事別の支給決定件数を見ると、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」(88件)、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」(64件)が多かった。
裁量労働制対象者に関する決定と支給件数も取りまとめ
今回は、脳・心臓疾患と精神障害のうち、裁量労働制対象者に係る決定と支給決定件数についてもまとめられている。
このうち平成29年度の裁量労働制対象者に関する脳・心臓疾患の支給決定件数は4件(うち2件は死亡の件数)。すべて専門業務型裁量労働制対象者に関する支給決定だった。
また、精神障害の支給決定件数は10件で、うち5件は自殺(未遂も含む)件数だった。内訳は専門業務型裁量労働制対象者に関する支給決定が8件、企画業務型裁量労働制対象者に関する支給決定が2件。
平成29年度「過労死等の労災補償状況」を公表します(厚生労働省)
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