ニュース

熱中症予防に関する緊急提言 小児や高齢者など「熱中症弱者」に注意を

 日本救急医学会の熱中症に関する委員会(委員長:清水敬樹・東京都立多摩総合医療センター救命救急センター)は、熱中症患者の増加を受け、「熱中症予防に関する緊急提言」を発表した。
小児や高齢者、持病のある人は「熱中症弱者」
 「熱中症予防に関する緊急提言」では、4つの緊急提言を発表。

  1. 暑さ指数(WBGT)を意識した生活を心がけ、運動や作業中止の適切な判断を!
  2. 水分をこまめに取ること。おかしいなと思ったらすぐ涼しい場所に誘導を!
  3. 適切な重症度判断と応急処置を。見守りつつ改善がなければすぐ医療機関へ!
  4. 周囲にいるもの同士が、お互いに注意をし合う!

 小児や高齢者、持病のある人は体温調節機能が弱い「熱中症弱者」として認識する必要があると注意喚起を行っている。

 これらの人々は、次の理由で熱中症にかかりやすい。
・ 小児では汗腺の発達や自律神経が未熟で、高齢者や持病のある方は自律神経の機能が低下しており、体温調節機能が弱い。
・ 高齢者では全身に占める水分の割合が低く、容易に脱水になりやすい。脱水になると発汗の機能が低下し、体温調整が困難となる。
・ 小児では身長が低いため、地面からの輻射熱の影響を受けやすい。
・ 自分で予防する能力が乏しい。
暑さ指数を意識した生活指導が必須
 WBGTとは、熱中症が起きやすい外的環境を知るための指標で、気温だけでなく、湿度や輻射熱を考慮した判断が可能になる。その内訳は気温:湿度:輻射熱が1:7:2であることから、気温だけでなく、湿度や輻射熱をも考慮した判断が可能になる。

 気温だけでなく、この暑さ指数を意識した生活指導が必須であり、これを用いた屋外活動の可否判断が重要だ。

 WBGTが21度以上では熱中症による死亡事故が発生する可能性があり、運動の合間に積極的に水分補給が必要。28度以上では、激しい運動や持久走などの体温が上昇しやすい運動は避け、31度以上では、運動は原則中止するのが望ましいとしている。小児の場合は、さらに厳格な対応が必要となる。

 屋外活動や運動をする場合は、20~30分程度の間隔での頻繁な水分・塩分補給と休憩を行った上で実施するべきだとしている。
小児の場合は迅速なアクションが大切
 小児の場合は、管理者は保護者との連絡を密にとることでこれを確認し、十分に行えていない場合は活動に参加させるべきではないと提言している。

 事前に十分な睡眠や栄養、水分を摂取することが重要で、少しぼーっとしている、息が荒く呼吸回数が多い、脈が速いなどの兆候を認めた場合には注意が必要だ。

 とくに低学年児童では自分の体調をうまく言葉に表わせない点に注意が必要だ。「足がつった」「顔の紅潮」「大量の発汗」など、いつもとようすが違うと感じた時点で熱中症の初期症状と判断し、速やかに屋外活動や授業における運動を中止するなど迅速なアクションが大切だという。

 基本的には集団活動をおこなった際には、最も体力的に厳しい状態に陥った児童を基準にその後の方針を決定することも大事だ。

 つまり、1名が体調不良を訴えた場合には熱中症の可能性を常に念頭におき、直ちに他の児童の体調評価を行い、同様な体調不良が示唆されれば可及的速やかにその屋外活動や授業における運動を中止すべきだとしている。
熱中症を疑ったときには何をするべきか
 熱中症を疑った場合はまず、涼しい場所で休憩させること。必ず付き添いの者をつけ、周囲の見守りがあることが重要だという。

 意識がない場合、水分を自力で摂取(自身で手に飲料水を保持して自分自身で飲水すること)できない場合、水分を自力で摂取しても十分に体調が回復しない場合は、救急搬送の要請が必要となる。

 5分程度ですべての症状がなくなったかが回復の目安であるが、自覚症状がなくても全身の体熱感が残っている場合は、救急搬送を要請すること。

 熱中症の重症度別の対処法や救急搬送の判断の基準は、日本救急医学会のWebサイトにて確認することができる。

 応急処置で十分に体調が回復したとしても、再発の可能性が極めて高いため、屋外活動には復帰させず、涼しい場所で経過を観察し、帰宅後も体調の変化に注意してみるように保護者とのコミュニケーションを密に行うことが大切だ。

日本救急医学会
熱中症環境保健マニュアル2018(環境省)
[Terahata]

「産業保健」に関するニュース

2021年12月21日
特定健診・保健指導の効果を10年間のNDBで検証 体重や血糖値が減少し一定の効果 ただし体重減少は5年後には減弱
2021年12月21日
【子宮頸がん】ワクチン接種を受けられなかった女性へのキャッチアップが必要 子宮頸がん検診で異常率が上昇
2021年12月21日
肥満や糖尿病の人ではFGF21の抗肥満作用が低下 朝食抜き・毎日飲酒・喫煙といった生活スタイルが影響
2021年12月21日
【申込開始】今注目のナッジ理論、感染症に関する教材が新登場!遠隔指導ツールも新作追加! 保健指導・健康事業用「教材・備品カタログ2022年版」
2021年12月20日
牛乳を毎日コップ1杯飲んでいる女性は脳卒中のリスクが低下 牛乳に血圧を下げる効果が?
2021年12月20日
「住環境」は健康増進にも影響 「断熱と暖房」が血圧や住宅内での活動量に寄与 足元が暖かいことも大切
2021年12月13日
早食いは肥満や体重増加につながる ゆっくり味わってよく噛んで食べるとエネルギー消費量を増やせる
2021年12月13日
【新型コロナ】子供の心の実態調査 食事を食べられなくなる「神経性やせ症」の子供がコロナ禍で増加
2021年12月13日
【新型コロナ】ファイザーのワクチンの3回目接種はオミクロン株にも効く? 抗体価は半分に減るものの2回接種より25倍に増加
2021年12月13日
【新型コロナ】日本人はなぜ感染・死者数が少ない? 風邪でつくられた免疫が新型コロナにも有効に働いている可能性 理研
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(毎週木曜日)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶