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IT導入で「障がい者雇用の可能性を広げる」期待高まる―野村総研調査
2019年01月03日

人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)といった技術の進歩に伴い、今後、障がい者の労働は業務の効率化や質の向上が見込まれる一方、雇用が奪われるのではないか、と懸念する声もある。
そのような中、野村総合研究所(東京都千代田区)とNRIみらい株式会社(神奈川県横浜市)は2018年8月から10月まで、上場企業と特例子会社を対象とした「障害者雇用に関する実態調査」と「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査」を実施。
「障がい者雇用におけるIT活用に関する考え」や「障がい者の業務におけるITの活用状況」、「精神障がい者雇用の課題と対応策」の三つのテーマを中心に調査を行った。
この調査は2015年から毎年実施されており4回目。「障害者雇用に関する実態調査」は対象となる上場企業3,439社のうち有効回答数は153社(4.4%)、「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査」は対象となる特例子会社464社のうち有効回答数は200社(43.1%)だった。
「上場企業向け調査」に回答した153社のうち、特例子会社を設置せずに自社で障がい者を雇用する上場企業は114社。
また、特例子会社とは、障がい者の雇用に特別な配慮をして法律が定める一定の要件を満たしたうえで、障がい者雇用率の算定の際に、親会社の一事業所と見なされるような「特例」の認可を受けた子会社を指す。
障がい者雇用におけるIT活用で業務効率化に期待
調査・分析の結果、上場企業も特例子会社もIT活用によって「業務効率の向上や質の向上が期待できる」とした回答が半数を上回った。また「新しい職域の拡大が期待できる」という回答も、4割以上を占め、前向きなイメージを持っている企業が多い。
一方、「ITを活用できる人とできない人で、障がい者間の格差が生じてしまう」という回答は上場企業で約15%、特例子会社で約23%。
「障がい者が今まで取り組んできた業務がなくなる(ITにとってかわられる)」が上場企業で約13%、特例子会社で約21%を占めた(複数回答)。そのため、IT導入については「期待が多いものの、不安も共存している」と報告されている。
■働く障がい者の業務におけるITの活用についての考え
(特例子会社を設置せずに障がい者を雇用する上場企業、および特例子会社 複数回答)

出典:株式会社野村総合研究所 ニュースリリース「野村総合研究所グループ、障がい者雇用に関する4回目の実態調査を実施」
ITを活用した具体的な業務内容
また8割以上の企業ですでに障がい者の業務にITを導入しており、具体的な活用方法としては最も多いのが「データ入力や入力内容のチェック(エクセル、ワード、パワーポイント等)」、続いて「メール、社内イントラネット等による連絡」だった。
しかし「ロボット、AI等を活用した業務」は上場企業では0%、特例子会社では2%と、ほとんど導入されていなかった。
■障がい者の業務におけるITの活用状況
(特例子会社を設置せずに障がい者を雇用する上場企業、および特例子会社 複数回答)

出典:株式会社野村総合研究所 ニュースリリース
「野村総合研究所グループ、障がい者雇用に関する4回目の実態調査を実施」
野村総合研究所では、IT導入で障がい者雇用の現場で新たな職域開拓や、業務効率化が図られ、障がい者自身の可能性を広げるだけではなく、指導員のマネジメントサポートも期待できる、と締めくくっている。
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