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さらなる周知・啓発が必要―中小企業の「健康経営に関する実態調査」
2019年03月05日
東京商工会議所(三村明夫会頭)がこのほど、都内の中小企業を対象に行った「健康経営に関する実態調査」の結果を取りまとめた。
調査によると、健康経営の認知度や関心は高まっているものの、実際に推進していくには課題を抱える中小企業が多く、取り組むメリットも含めさらなる周知・啓発が必要であることが分かった。
「健康経営」は戦略的に従業員の心身の健康増進をはかって活力や生産性を向上させ、結果的に組織の活性化や業績向上につなげる経営手法。今回の調査は同会議所の会員企業のうち従業員300人以下の中小企業を対象に行われ、約300件の回答が得られた。
調査結果によると、まず「健康経営」の認知度については、29%が「内容を知っている」と回答し、2017年度に行った前回調査よりも認知度は高まっていた。
一方、「内容は知らないが、聞いたことはある」が40%を占めたことから、取り組み方法や効果についての認知度はさらなる普及活動が必要であることが分かる。
また、従業員数別でみると従業員が少ないほど認知度が低く、特に10人未満の企業では「知っている」が17%にとどまり、42%が「聞いたことがない」と回答した。
健康経営の実践状況については「現在実践している」と回答した企業は21%にとどまったが、全体で見れば98%もの企業が健康経営の実践に関心を持っていた。
しかし、このうち14%の企業が「必要だと思うが、実践できない」と回答していたことから、実際に行うにあたっては課題を抱えているケースが一定数あることも明らかになった。認知度と同様、実践状況についても従業員数が少ないほど「現在実践している」と回答する割合は低い傾向にある。
調査によると、健康経営の認知度や関心は高まっているものの、実際に推進していくには課題を抱える中小企業が多く、取り組むメリットも含めさらなる周知・啓発が必要であることが分かった。
実践例などの周知・徹底が求められる
現在、健康経営を実践または実践予定の企業の具体的な取り組みでは、「健康診断受診率100%」や「人間ドックの費用負担」など「健診・検診」に関することが42件と最も多く、次いで「ノー残業デイの設置」や「有給取得の推奨」など「労働時間等の適正化」が16件と続いた。
健康経営を実践するうえでの課題については「どのようなことをしたらよいかが分からない」(45%)、「ノウハウがない」(37%)とハウツー不足を挙げる企業が目立った。次いで「社内の人員がいない」(26%)や「予算がない」(23%)、「相談できる社外の専門家がいない」(12%)といったリソースに関わる要素が続く。
一方、「効果やメリットが分からない」が23%と前回調査の7%から大幅に増加していたことから、健康経営のメリットについても広く周知する必要性が改めて浮き彫りになった。
必要だと思う支援についての設問では、ハンドブックなど「ノウハウの提供」(52%)、「他社事例の紹介」(35%)の回答があったことから、実践例などの周知・徹底がさらに求められている。
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