「相談しやすい」など好評、一方で課題も―LINE相談の試行結果を公表(神奈川県)

試行的に行われたのは「かながわ児童虐待防止相談LINE」、「かながわひとり親家庭相談LINE」、「かながわ女性のための相談LINE」の三つ。いずれも、それぞれに電話相談や対面での相談窓口があるが、電話や対面での相談には抵抗感を持つ人も多い。
一方でスマートフォンの普及に伴い、SNSは気軽にアクセスできるコミュニケーションツールとなっている。そこで幅広い年齢層で利用されている「LINE」を利用した相談窓口を試験的に開設し、相談手段としてのSNSの活用について効果や課題の検証を行った。
試行期間の日数と期間中の全相談受付件数、1日あたりの相談件数はそれぞれ、児童虐待防止相談が28日間で264件(9.4件/日)、ひとり親家庭相談が19日間で341件(17.9件/日)、女性のための相談が14日間で691件(49.4件/日)。女性のための相談は家族や友人関係、職業や経済的な問題など幅広い悩みに対応したことから、最も相談件数が高かったとみられる。
子どもはSNSからの方が相談しやすい
児童虐待防止相談では保護者から107件、子ども本人から59件の相談があった。電話相談の「子ども・家庭110番」では同時期、保護者からが89件、子ども本人からが10件だったので、いずれも電話よりSNS相談の方が利用されていたことが分かる。特に子ども本人からは電話よりSNSからの方が明らかに多く、LINEが相談しやすいツールであることがうかがえる。
内容は「育児相談―育児・しつけ」が45件、「養護相談―児童虐待」が18件など。対象児は相談全体の6割を乳幼児(0~6歳)が占めた。

「平成30年度 かながわ児童虐待防止相談LINE 実施報告書」
ひとり親家庭相談では、相談者の年齢は40代が25.4%、20~30代が23.9%だったが、相談が成立しても年齢を明かさない人も4割以上いた。相談内容は「子育て」が最も多く約7割。次に「家計」や「養育費」、「教育費」など経済的な相談項目が多かった。
女性のための相談では、相談者の年齢別でみると「18歳未満」が最多。次いで30歳代の57件、40歳代の55件だった。相談内容は友人や交際相手との関係など、人間関係に関する相談が多かった。
相談後に実施したアンケート結果では、三つの相談ともに、「相談してよかった」や「また相談したい」、「相談しやすかった」という声が大多数を占めた。

「平成30年度 かながわ児童虐待防止相談LINE 実施報告書」
好評な反面、課題も浮き彫りに
一方で、相談員からの返信に対して応答がない例や、課題や状況の文章化が難しく、正確な状況把握ができなかったりする例も多く見られた。対応が複雑な場合も多く、複数の相談員とスーパーバイザーなどの配置が必要なこと、専門のスキルが求められること、などから、コストや人員確保の課題が考えられる。
今回の試行によって課題も明らかになったが、これまでリーチできていなかった層への相談窓口となりうる可能性は高いことから、同県では今後もSNSを活用した相談体制の整備や情報提供事業について検討していく考え。


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