ニュース

喉頭・胆のう・腎・腎盂尿管癌の3年生存率を初集計 国立がん研究センター

1.jpg
 国立がん研究センター(東京都中央区、中釜斉理事長)はこのほど、全国のがん診療連携拠点病院などから収集した院内がん情報による「2012年3年生存率集計」と「2009~10年5年生存率集計」の報告書をまとめ、公表した。
 今回は3年生存率において「喉頭・胆のう・腎・腎盂(じんう)尿管」の部位で初めて集計が行われている。

前回よりも生存率が上昇

 がん診療連携拠点病院における5年生存率は2007年の診断例から集計が行われ、今回の報告で4回目。各医療機関が自らの医療の質を見直すきっかけにしたり、国民への情報公開を通してがん医療の透明性を確保したりすることを目的としている。

 一方、都道府県によって集計施設の数の偏りがあることや、生存率に影響する年齢や手術の有無などについては考慮していないため、都道府県・施設の治療成績を示すものではない。

 具体的に公表されているのは、主要5部位(胃・大腸・肝臓・肺・乳房)とがん種別(食道・膵臓(すいぞう)・子宮頸部(けいぶ)・子宮体部・前立腺・ぼうこう)についての拠点病院全体、都道府県別、施設別集計。今回は277施設における2009年と10年の2年分のデータ、約57万例を用いて集計が行われている。

 その結果、施設全体での全がんの実測生存率(死因に関係なく全ての死亡を計算に含めた生存率)は58.6%(前回 58.5%)、相対生存率(対象疾患以外による死亡を補正した生存率)は 66.1%(前回 65.8%)だった。性別の割合は男性が58.2%、女性が41.3%となり、男性の方が高い割合を示した。診断時の年齢は男女ともに70歳代が最も多く、70・80歳代以上で約47%の割合を占めた。

適切な治療や生活のため、3年生存率集計へ

Fotolia_114787367_Subscription_Monthly_M.jpg

 一方、がん診療連携拠点病院における3年生存率は、多くのがんで治癒の目安となる5年より早い段階で生存率の情報を提供するもの。背景には平成30年3月に閣議決定された「第3期がん対策推進基本計画」で国民が適切な治療や生活についての選択ができるよう、科学的根拠に基づく情報を迅速に提供する、としていることがある。

 今回の集計は昨年に引き続き2回目で、286施設約34万件のデータが用いられた。5年生存率と同様、主要5部位とがん種別について集計されているが、今回から患者などから要望のあった「喉頭・胆のう・腎・腎盂(じんう)尿管」の 4部位が新たに追加された。

 集計の結果、実測生存率は67.2%(前回66.3%)、相対生存率は 72.1%(前回 71.3%)。このうち、今回追加された「喉頭」の相対生存率は、I 期が96.0%、II 期が90.2%で、放射線治療が有効である比較的早期の例では、生存率の高さを示している。同様に「腎」のI期も98.5%、II 期が 94.3%。「腎盂(じんう)」・「尿管」の I 期が 90.1%といずれも 90%を超えていた。

 一方、「胆のう」は膵臓(すいぞう)とともに難治性がんと言われているが、根治切除可能な I 期では 91.1%、II 期では 77.4%と比較的良好だった。

[yoshioka]
side_メルマガバナー

「調査・統計」に関するニュース

2025年06月10日
【アプリ活用で運動不足を解消】1日の歩数を増やすのに効果的 大阪府健康アプリの効果を8万人超で検証
2025年06月09日
【睡眠改善の最新情報】大人も子供も睡眠不足 スマホと専用アプリで睡眠を改善 良い睡眠をとるためのポイントは?
2025年06月09日
健康状態が良好で職場で働きがいがあると仕事のパフォーマンスが向上 労働者の健康を良好に維持する取り組みが必要
2025年06月02日
【熱中症予防の最新情報】職場の熱中症対策に取り組む企業が増加 全国の熱中症搬送者数を予測するサイトを公開
2025年06月02日
【勤労者の長期病休を調査】長期病休の年齢にともなう変化は男女で異なる 産業保健では性差や年齢差を考慮した支援が必要
2025年06月02日
女性の月経不順リスクに職場の心身ストレスが影響 ストレスチェック活用により女性の健康を支援
2025年06月02日
自然とのふれあいがメンタルヘルスを改善 森が人間の健康とウェルビーイングを高める
2025年05月30日
都民の健康意識は高まるも特定健診の受診率は66% 「都民の健康と医療に関する実態と意識」調査
2025年05月27日
スマホアプリを活用し社会人のメンタルヘルスを改善 スマホで学ぶ認知行動スキルがうつ状態を改善 睡眠改善を支援するアプリも
2025年05月27日
女性の月経にともなう困難症状は運動習慣によって異なる 生活習慣に応じた対策・支援が必要
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶