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世田谷区、江戸川区、荒川区が児童相談所を設置へ―新宿区は開設延期
2019年10月21日

児童虐待に関する相談対応件数は年々増加
特別区における児童相談所設置については、2016年5月に成立、同年6月に公布された「児童福祉法等の一部を改正する法律」により2017年4月から、設置できるようになった。
改正前の法律では児童相談所の設置主体は①都道府県、②指定都市、③児童相談所を設置する市として政令で定める市(児童相談所設置市)に限られていた。
一方、児童虐待に関する相談対応件数は年々増加しており、複雑で困難なケースも多いことから、特に都市部できめ細やかな対応が求められている。そのため児童福祉法を改正することで、希望する特別区は政令による指定を受けて、児童相談所を設置できることになった。
特別区として3区が児童相談所を設置
世田谷区は区内に5カ所ある子ども家庭支援センターが、地域内の子どもに関するあらゆる相談の受け入れ窓口となる。一方、強力な法的権限など高度な専門性を必要とする相談や児童虐待への対応は、新しく設置される区立の児童相談所が担い、互いにチームとして連携しながら協働による支援対策を構築する。
江戸川区は一時保護所を併設した児童相談所を新たに建設。1階に地域交流スペースを整備し、地域に開かれた児童相談拠点を目指す。そのうえで、①指揮系統の一元化、②支援対応の一元化、③窓口の一元化を図り、児童虐待への対応を強化する。
荒川区は、「子ども家庭支援センター機能」と「児童相談所機能」の両方を併せ持つ「子供ども家庭総合センター(仮称)」を新たに設置する予定。20年4月に開設した後、7月から一時保護や児童福祉施設などへの入所措置といった法的権限を持つ児童相談所設置市へ移行する。
一方、2019年4月の児童福祉法施行令改正で、児童福祉司は「人口4万人あたり1人」から「3万人あたり1人」へと配置基準の義務付けが変わった。さらに児童福祉司2人につき児童心理司1人の配置が必要なため、新宿区は人材の確保が困難になったとして開設の延期を決めた。
職員の派遣研修は継続し、人材育成に取り組んでいく予定。また建設中の児童相談所関連施設は2021年1月の竣工を目指すが、同年4月の設置予定から延期の期間は最低3年程度必要、としている。
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