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厚労省「労働経済白書」で人手不足下における「働き方」を分析
2019年11月14日
厚生労働省はこのほど「令和元年版労働経済の分析」(以下、「労働経済白書」)を公表した。今回は人手不足下における「働き方」について、「働きやすさ」と「働きがい」の観点から分析を行っている。
特に中小企業における働きがい向上について詳細に取り上げ、具体的な取り組み例もコラムで紹介している。
中小企業で人手不足感の高まりが顕著に
「労働経済白書」は一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題について、統計データを活用して分析する報告書で、今回で71回目の公表となる。
白書によると2018年度の完全失業率は2.4%で、1992年度以来26年ぶりの低水準となった。さらに有効求人倍率は1.62倍で、1973年度以来45年ぶりの高水準で雇用情勢の改善が見られる。
雇用者の推移でも正規雇用の職員・従業員は4年連続で増加しており、2018年は3,476万人だった。
一方、雇用人員判断D.I(企業の雇用人員の過不足を示す数値)からは人手不足感の高まりがうかがわれ、2019年3月調査では全産業・製造業・非製造業のいずれもバブル期に次ぐ人手不足感が示されている。
特に企業規模別に見た場合は中小企業で人手不足感の高まりが顕著に表れ、地域別では「三大都市圏以外」が「三大都市圏(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県、岐阜県・愛知県・三重県、京都府・大阪府・兵庫県・奈良県)を若干上回る傾向が見られた。
産業別にみると正社員では製造業・建設業、パートタイムでは生活関連サービス業などで特に強くなっている。
86%の企業で人手不足緩和の対策進む
3年前から現在まで人手不足を緩和する対策に取り組んできた(取り組む予定を含む)企業は、全体の86.0%と高い水準。
しかし産業別で見た場合は「不動産業、物品賃貸業」と「製造業」、企業規模別で見た場合は「従業員50人以下企業」で取り組みの割合がほかに比べて低いことから、相対的に人手不足感が高まっている産業や企業規模の小さい企業に課題が残ることが明らかになった。
企業は求人条件の改善や採用の強化など人材確保策を進めているが、入社後の雇用管理の改善や働きがいを高める取り組みが十分でない場合は、入社後の離職率が高いという現状がある。
そのため企業には「働き方改革」で働きやすさや働きがいを向上させ、定着率の向上をはかるとともに、働く人のストレスや労働生産性、また顧客満足度を改善することが求められている。
働き方改革の取り組みは企業規模に関わらず「長時間労働削減のための労働時間管理の強化」、「残業削減の推進」、「休暇取得の促進」が多い。
現状は企業規模が小さいほど実施率は低下する傾向にあるが、今後実施予定と回答している企業割合が高いことから、今後、取り組みの制度化が進むにつれて働きやすさの向上や離職率の低下につながる期待がある。
実際、女性や高齢者の従業員が多い中小企業では業務裁量性の高さや、雇用管理制度運用の柔軟性といった特色が職場の働きやすさにプラスに影響している場合が多い。
そのため、引き続き仕事と育児・介護・病気治療などとの両立支援に取り組むことが重要であると考えられている。
具体的な取り組み例も紹介
報告書ではコラムとして、働きがいの向上に向けた具体的な取り組みも紹介。
「職場の人間関係・コミュニケーションの円滑化」については、上司と部下が一対一で月に1回以上は対話するミーティングを実施した会社や、上司が毎日積極的にあいさつをしてチームの雰囲気をよくした会社で働きがいが向上した例などを挙げている。
ほかにも「労働時間の短縮や働き方の柔軟化」、「業務遂行に伴う裁量権の拡大」に取り組んだ例などを紹介している。
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