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働く世代の仕事と健康管理に変化が起きている 厚労省「成年者縦断調査」「中高年者縦断調査」

 厚生労働省は、第7回「成年者縦断調査」と第14回「中高年者縦断調査」の結果を発表した。
 26~35歳の成年女性では、仕事と子育ての両立のための制度のある職場で、仕事を「結婚した後も続ける」と回答した女性の割合が高かった。
 63~72歳の中高年者では、健康維持のために心がけていることとして、男性は「適度な運動をする」、女性は「バランスを考え多様な食品をとる」と答えた割合がそれぞれ高かった。
出産後も「仕事を続けたい」という独身女性は65%に増加
 厚生労働省は、「21世紀成年者縦断調査」の結果を発表した。同調査は、就業・結婚・結婚後の就業意欲などについて、同じ集団を対象に毎年継続的に調査しているもの。

 対象となったは、2012年10月時点で20~29歳だった男女のうち、第7回調査に協力した1万2,353人(26~35歳)。

 第1回調査からの6年間で結婚した人について、結婚前後の就業状況の変化をみると、結婚前後とも「仕事あり」の割合は、男性 99.3%、女性 81.4%だった。

 結婚前に「仕事あり」で結婚後に「仕事なし」に変化した割合は、男性 0.2%、女性 18.1%となっており、女性の方が男性より、「仕事なし」に変化した割合が高くなっている。

 また、結婚後も仕事を続けたいと考える独身女性のうち、65.1%は出産後も就業継続を望んでいることも分かった。10年前の調査と比べると13.8ポイント上昇している。

 さらに、第1回調査からずっと独身で仕事をもつ女性に、「結婚後の就業継続意欲」を尋ねたところ、「結婚した後も続ける」と答えた割合は46.5%で、10年前の44.7%より増えている。
仕事と子育ての両立のための制度があると女性の就業意欲が増す
 また、第1回調査からずっと独身で会社などに勤めている女性に、就業形態で利用可能な仕事と子育ての両立のための制度などを尋ねたところ、仕事を「結婚した後も続ける」と答えた女性で割合が高くなった。

 「結婚した後も続ける」と答えた女性では、利用できる制度は「育児休業制度」(53.9%)、「短時間勤務制度」(54.1%)、「育児のための勤務時間の短縮など」(53.9%)となり、「制度なし」と答えた女性のそれぞれ34.4%、34.6%、42.1%よりも割合が高くなった。

 会社などに勤めている女性の仕事と子育ての両立のための制度などの有無別に「結婚後の就業継続意欲」をみると、「結婚した後も続ける」と回答した者は、育児休業制度「あり」と答えた女性が53.9%、「なし」と答えた女性が34.4%、短時間勤務制度「あり」と答えた女性が54.1%、「なし」と答えた女性が34.6%。制度ありのほうが制度なしより「結婚した後も続ける」と答えた割合が高かった。
出産後の夫の平日の家事・育児が妻の就業を支えている
 さらに、この5年間に子どもが生まれた夫婦について、妻の就業形態で利用可能な育児休業制度の有無別に、出産後の妻の就業状況をみると、「制度あり」の方が「制度なし」より、出産後の「同一就業継続」の割合が高かった(80.4% 対 14.3%)。

 「制度あり」の場合でも、「利用しやすい雰囲気がある」方が「利用しにくい雰囲気がある」より、出産後の「同一就業継続」の割合が高くなった(84.4% 対 73.7%)。

 この5年間に子どもが生まれた夫婦の出産前の妻の職場の育児休業制度の利用にあたっての雰囲気を第1回と第7回を比較すると、「利用しやすい雰囲気がある」と回答した割合は、2002年の56.3%から、2012年の69.6%へと、10年間で割合が増えている。
 出産後の夫の平日の家事・育児時間別に妻の就業状況も調査された。妻が「同一就業継続」である割合は、男性の家事・育児時間「なし」では42.3%、「2時間未満」では58.7%、「2時間以上4時間未満」では61.5%、「4時間以上」では63.2%となった。

 さらに、夫の平日の家事・育児時間が長いほど、出産後の妻が「同一就業継続」する割合が高かった。
団塊の世代の「仕事をしている」割合は?
 厚生労働省は、第14回「中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)」の結果も発表した。

 対象となったのは、2005年10月末現在で50~59歳だった団塊の世代を含む中高年者世代のうち、第12回調査または第13回調査で協力を得られた2万1,587人(63~72歳)。

 2018年時点で仕事をしている人は56.3%(男性 61.2%、女性 50.9%)。就業状況の変化をみると、「正規の職員・従業員」は第1回の38.3%から今回は4.5%に減少。一方、「自営業主、家族従業者」は15.6%から13.4%、「パート・アルバイト」は16.7%から17.3%と、ほぼ横ばいとなった。

 第1回調査時(52~59歳)に「65歳以降仕事をしたい」と答えた人のうち、第14回で「仕事をしている」人の割合は、男性(65~69歳)で66.2%、男性(70~72歳)で54.5%、女性(65~69歳)で54.1%、女性(70~72歳)で44.8%となっており、いずれも女性より男性の方が高くなっている。
健康管理への意識に男女で差が
 第1回調査から13年間の健康状態の変化をみると、「第1回からずっと良い」と思っている人は、男性 41.9%、女性 43.0%で、男女とも全ての年齢階級で4割以上となっている。

 健康維持のために心がけていることは、男性は「適度な運動をする」(14.3%)、「食事の量に注意する」(10.0%)、「適正体重を維持する」(9.7%)が多く、女性は「バランスを考え多様な食品をとる」(19.6%)、「食後の歯磨きをする」(17.4%)、「適度な運動をする」(15.3%)が多い。

 男女で比べると、「バランスを考え多様な食品をとる」「食後の歯磨きをする」で差が大きくなっており、女性の方が高くなっている。
 情報通信機器の使用については、「使用している」(90.7%)、「使用していない」(8.3%)となり、使用している機器は、「携帯電話」(53.7%)、「スマートフォン」(39.1%)、「パソコン」(28.9%)だった。  また、情報通信機器を「使用している」と答えた人では、余暇・社会参加活動について、「趣味・教養」「スポーツ・健康」「地域行事」「子育て支援・教育・文化」「高齢者支援」「その他の社会参加活動」のすべてで、「活動している」という人の割合が、「活動していない」という人より高くなった。
第7回21世紀成年者縦断調査(平成24年成年者)の概況(厚生労働省 2019年11月27日)
第14回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)の概況(厚生労働省 11月27日)
[Terahata]
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