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「アルコール」が肥満・メタボのリスクを上昇 年末年始に飲み過ぎないための7つの対策

 年末・年始は忘年会や新年会などで、お酒を飲む機会が増える。お酒は適量の場合はストレス解消の効果を期待できるが、量が増えると確実に健康を損なう原因になる。アルコールとの「上手な付き合い方」をご紹介する。
お酒は適量が大切 飲み過ぎは肥満の原因に
 「酒は百薬の長」と言われ、飲酒は日常生活でさまざまな行事と深い関わりをもっている。飲酒は疲労の回復やストレスの解消あるいは人間関係を円滑にするなど、望ましい影響を与えてくれるが、その効果は適度な飲酒を守ることではじめて得られる。

 アルコールに含まれるカロリーは1gあたり7kcalで、脂肪の9kcalに次ぐ高カロリーの食品だ。カロリーの他の栄養成分はほとんど含まれない(非蒸留酒には糖質が含まれる)。

 はじめは「少し」と思っていても、つい飲み過ぎてしまうのがお酒だ。さらに、アルコールには食欲を高める作用もあり、食べ過ぎて肥満の原因になる。
アルコールを飲み過ぎないための7つの方法
 アルコールに強い体質かどうかは遺伝によって決まり、日本人は4〜5割程度がお酒に弱い遺伝子をもっているとされる。下戸にとっては宴席で何を飲むかというのは切実な問題だ。

お酒を飲むときの注意点

口から入ったアルコールの大部分は肝臓で処理される。アルコールを大量に飲み続けると、肝臓での中性脂肪の合成が高まり、肝臓に蓄積され脂肪肝になりやすい。お酒の飲み過ぎは脂肪肝にとどまらず、肝炎や肝硬変にもつながる。ほどほどで切り上げることが大切だ。

アルコールを飲むと食欲が増し、食べ過ぎにつながるおそれがある。これは、アルコールの代謝にともない代謝経路が変化し、主に肝臓での糖新生(糖質以外からの糖の産生)が抑制され、血液中の糖が減るからだ。その結果、糖質を含む食品を食べたくなる。

アルコールを飲むときでも、食事は3食をきちんととることが大切。アルコールを飲むからといって、食事を抜くのは危険がともなう。

お酒を飲んでいる間は、アルコールによってミネラルやビタミンが失われやすいので、それらの豊富に含まれる野菜などの植物性食品が、食物繊維も含まれるので勧められる。

枝豆や豆腐、魚などタンパク質を含む食品は、アルコール代謝酵素の活性を高める。ただし、お酒のつまみには塩分や脂肪が多く含まれていることが多い。勧められるのは、塩分・脂肪が控えめの料理だ。

お酒を飲むときは水も飲む。アルコールには利尿作用がありトイレが近くなる。排出された水分を補わないと脱水状態になりやすい。また、水を飲むことで血中アルコール濃度の急上昇も抑えられるので、ほろ酔い気分が長く続く。

お酒を控えていたり、飲めない体質の人は、周囲の人に「自分はお酒を飲めない」ことを事前に伝えておく。

会席やパーティーでは、ビールやウイスキーの水割りの代わりに、色が似ているウーロン茶やノンアルコール飲料を上手に利用する。
純アルコール量で約20gが限度
 厚生労働省の指針では、1日のアルコール摂取量の目安を、純アルコール量で約20g程度だとしている(女性は男性の2分の1から3分の2程度)。

 これをアルコール飲料に換算すると、ビールは中びん1本(500mL)、日本酒は1合(180mL)、焼酎0.6合(約110mL)、ウイスキーはダブル1杯(60mL)、ワイン1/4本(約180mL)、缶チューハイ1.5缶(約520mL)となる。

 アルコール健康医学協会によると、血液中のアルコール濃度0.02〜0.04%なら「爽快期」で、さわやかな気分になれる。このときはまだ、皮膚が赤くなったり、陽気になったりする程度だ。0.05〜0.10%は「ほろ酔い期」。体温が上がり、脈が速くなったりする。

 酔いが進むと次第に、理性をつかさどる大脳皮質の活動は低下していく。0.11〜0.15%の「酩酊初期」では、気が大きくなって大声を出し、怒りっぽくなる。さらに、0.16〜0.30%の「酩酊期」になると、鎮静効果が強くなり麻痺が小脳まで広がり、運動失調の状態になる。呼吸が速くなり、千鳥足になったり、何度も同じことをしゃべったりするようになる。

 一般的に、純アルコール量で約20gを限度とするのが上手なお酒の飲み方といえる。これは、「爽快期」を維持して酒を楽しみ、酒量が増えたとしても「ほろ酔い期」でとどめておける量だ。

 体重約60kgの人が日本酒にして2合のお酒を30分以内に飲んだ場合、アルコールは約3〜4時間体内にとどまる。それより多い量のお酒を飲むと、アルコールが体内から消失するまで約6〜7時間かかる。

 これには個人差があるため、体質的にお酒に弱い人や女性はもっと長い時間がかかる。深夜まで飲んでいると翌朝起床後まで体内にアルコールが残っているため、二日酔いになってしまう。
「糖質ゼロ」でもカロリーは「ゼロ」ではない
 「糖質ゼロ」「カロリーオフ」といった表示をしたビールや発泡酒などの酒類が店頭をにぎわしている。しかし、「糖質ゼロ」と表示してあっても、カロリーは「ゼロ」ではないので注意が必要だ。

 健康増進法に基づく栄養表示基準では、飲料では100mL当りで糖質0.5g未満であれば「糖質ゼロ」と表示でき、熱量(カロリー)が5kcal未満であれば「ゼロカロリー」と表示でき、熱量(カロリー)が20kcal以下であれば「カロリーオフ」と表示できる。

 実際には、量を少なくしていても糖質が含まれていたり、カロリーがある場合もある。そもそも酒類のカロリーは、糖質の量よりもアルコール度数の方が影響は大きい。

 アルコールは栄養表示基準で1g当たり7kcalで計算される。100mLは約100gなので、アルコール分4~5%であれば100mL当たり40kcal、350mL(レギュラーサイズ)では140kcalが目安になる。
飲酒はがんのリスクも高める
 「酒は百薬の長」と言われるが、少し飲み過ぎただけで、がんのリスクを高めるという研究も発表されている。

 東京大学やハーバード公衆衛生大学院などの研究チームは、労働者健康安全機構が構築した全国33ヵ所の労災病院の入院患者12万6,000人以上のデータを解析した。

 その結果、アルコール量23gを1単位として、1日1単位を10年間続けていると、がんのリスクは1.05倍に上昇することか明らかになった。

 低~中等度の飲酒を10年続けていると、そうでない人に比べ、食道がんは1.45倍に、大腸がんは1.08倍に、喉頭がんは1.22倍に、前立腺がんは1.07倍に、乳がんは1.08倍に、子宮頚部がんは1.12倍に、それぞれリスクが上昇するという。

 体内に摂取されたアルコールは肝臓で分解され、まずアセトアルデヒドとなり、さらに分解が進むと、最終的に水と二酸化炭素となり、体外に排出される。アセトアルデヒドは二日酔いの原因となり、発がん性がある。

 日本人の多くは遺伝的にアルコール代謝の能力が弱いことが知られている。「日本の死因の第1位はがんであり、がんを予防するため、飲酒によるがん罹患リスクの啓発活動をさらに強める必要があります」と、研究チームは述べている。

健康日本21「アルコール」(厚生労働省)
アルコール健康障害対策(厚生労働省)
Is drinking alcohol part of a healthy lifestyle?(米国心臓学会)
Alcohol Intake May Be Key to Long-term Weight Loss for People with Diabetes(ペンシルベニア大学 2018年12月3日)
Alcohol Intake and Weight Loss During Intensive Lifestyle Intervention for Adults with Overweight or Obesity and Diabetes(Obesity 2018年11月13日)
Light to moderate amount of lifetime alcohol consumption and risk of cancer in Japan(Cancer 2019年12月9日)
[Terahata]
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