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タバコとアルコールを抑制する政策はがん死亡を減らす 禁煙や節酒のキャンペーンは効果がある

 禁煙を促したり、過度の飲酒を抑制する政策を実行することで、がんで死亡する人の数を減少できることが、オーストラリアの50年以上の調査で明らかになった。
 禁煙や節酒を奨励する政策やキャンペーンは、確実に効果があるという。ただし、政策の効果を正確にはかるためには長期的な取組みが必要になる。
タバコとアルコールを規制する政策の効果を検証
 喫煙は、がんや脳卒中、心筋梗塞だけでなく、慢性気管支炎や肺気腫などのさまざまな病気の原因になる。また、過度の飲酒は肥満やメタボ、高血圧、2型糖尿病、脂質異常症などの発症リスクを高める。

 喫煙の指標となる呼気中の一酸化炭素(CO)濃度を測定したり、呼気中のアルコール濃度を測定する検査の普及や、タバコやアルコールの消費を削減することを目指した広告規制や政策により、がんによる死亡率を大幅に低下できるという研究が発表された。

 研究は、オーストラリアのラ トローブ大学アルコール政策研究センター(CAPR)によるものもの。研究チームは、オーストラリアで1960年代から実施されているタバコとアルコールに関する公衆衛生政策が、がん死亡率にどう影響したかを調査した。
健康増進政策によりがん死亡が5%減少
 同大学心理・公衆衛生学部のジェイソン ジャン氏らは、1950年代から入手可能ながん死亡率のデータを、タバコ・アルコールの規制政策、および過去100年間の消費量のデータと比較した。

 その結果、タバコとアルコールに関する一連の重要な健康政策により、1960年代から2013年にかけて、オーストラリアの総がん死亡の5%(3万6,000人)以上が抑制されたことが明らかになった。

 研究チームは、アルコールとタバコの1人当たり消費量の時系列データと、1950年代~2013年の頭頸部(口唇、口腔、咽頭、喉頭、食道)がん、肺がん、乳がん、大腸および肛門がん、肝臓がん、がん全体の死亡率を調査した。オーストラリア統計局、ビクトリア州がん協会、WHOがん死亡データベース、オーストラリア保健福祉研究所のデータを解析した。
タバコやアルコールを規制する政策の効果は明らか
 ジャン氏らは規制政策の効果は明らかだと結論している。研究で分かった主なことは次のとおり――。

・1976年から呼気検査プログラムを導入したたことで、男女両方のがん死亡率が減少した。この政策により、1980年代~2013年に、男性の死亡の1%(4,880人)と女性の死亡の0.8%(1,680人)を減らした。

・1962年と1964年のタバコに関する米国と英国の公衆衛生報告書の発表は、過去30年間で、男性の死亡の3%(1万3,400人)と女性の死亡の4%(1万1,600人)を減らした。

・1976年のテレビとラジオでのタバコ広告禁止は、オーストラリアでのタバコ消費量の減少とその後のがん(肝臓がん除く)の死亡の減少に関連しており、男性の死亡の1.9%(4,520人)、女性の死亡の2.2%(2,430人)をそれぞれ減少させた。

・1960年代のアルコール販売免許の自由化は、過去30年間で飲酒人口の増加と男性のがん死亡数の増加と関連しており、総がん死亡を0.6%(2,680人)増加させた。

・1960~1980年代の飲酒と喫煙に関する政策は、女性よりも男性で大きく影響している(とくに頭頸部がん、肺がん、大腸がん)。
タバコ・アルコール政策の効果は長期間でみるべき
 「1960年代~2013年にオーストラリアで導入されたタバコとアルコールに関する主な規制政策が、さまざまな部位のがんの死亡率の低下に影響していることは間違いありません」と、ジャン氏は言う。

 「今回の研究で分かったことは、タバコやアルコールに関する今後の政府のキャンペーンや政策を決定するために役立ちます。機能するものとしないもの見極め、資金をどこに重点的にあてるかを決定するために、多くの情報が必要です」。

 「ただし、がん死亡率の変化は20年の期間でみられており、タバコ政策などの効果を長期間で評価するべきであることに注意する必要があります。短期的では、タバコ包装の喫煙の害についての表示や、飲料のアルコール量の表示などについて十分な評価をできません」と、ジャン氏は指摘している。

Study: alcohol & tobacco policy impacts(ラ トローブ大学 2019年11月27日)
Can public health policies on alcohol and tobacco reduce a cancer epidemic? Australia's experience(BMC Medicine 2019年11月27日)
[Terahata]

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