ニュース

新型コロナウイルスの怖さは「3つの顔」にある 「負のスパイラルを断ち切ろう」と呼びかけ 日本赤十字社

 日本赤十字社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)には「3つの顔」があり、「これらが"負のスパイラル"としてつながることで、さらなる感染の拡大につながっています」と指摘した冊子の公開を開始した。
 日本赤十字社は、「このウイルスとの戦いは、長期戦になるかもしれません。それぞれの立場でできることを行い、みんなが1つになって負のスパイラルを断ち切りましょう」と呼びかけている。
病気が不安を呼び、さらなる拡散につながる
 この冊子「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」を発行したのは、日本赤十字社新型コロナウイルス感染症対策本部。

 この"感染症〟の怖さは、病気が不安を呼び、不安が差別を生み、差別がさらなる病気の拡散につながることだとしている。

 ウイルスは目に見えず、ワクチンや治療薬もまだ開発されておらず、分からないことが多い。そのため「私たちは強い不安や恐れを感じ、ふりまわされてしまうことがあります。それらは私たちの心の中でふくらみ、気づく力・聴く力・自分を支える力を弱め、瞬く間に人から人へ伝染していきます」と指摘している。

 不安や恐れが「ウイルス感染にかかわる人や対象を日常生活から遠ざけたり、差別するなど、人と人との信頼関係や社会のつながりが壊されてしまいます」としている。

新型コロナウイルスの「3つの顔」とは
 第1の"感染症"は「病気そのもの」。感染者との接触でうつるこのウイルスに感染すると、感染者のおよそ8割は軽症だが、残りの2割は重症化するおそれがある。重症化して肺炎を引き起こす例も少なくない。

 第2の"感染症"は「不安と恐れ」。強い不安や恐れが心の中で膨らむと、「気付く力」「聴く力」「自分を支える力」を弱め、またたく間に人から人へ伝染していく。

 第3の"感染症"は「嫌悪・偏見・差別」。人間の生き延びようとする本能によりウイルス感染に関わる人を遠ざける、その結果、差別を受けるのが怖くて熱や咳があっても受診をためらうなど、結果として病気の拡散をまねくことになる。

 なぜ「嫌悪・偏見・差別」が生まれるのかというと、(1)見えない敵(ウイルス)への不安から、(2)特定の対象を見える敵と見なして嫌悪の対象とし、(3)嫌悪の対象を偏見・差別して遠ざけることで、束の間の安心感が得ようとするからだ。

負のスパイラルを防ぐために何が必要か
 では、負のスパイラルを防ぐために、どうすれば良いのか。

 まず、第1の"感染症"を防ぐためには、1人1人が「手洗い」「咳エチケット」「人混みを避ける」といった衛生行動を徹底することが重要。ウイルスに立ち向かうための行動を、自分のためだけではなく周りの人のためにもすることが大切だ。

 第2の"感染症"にふりまわされないためには、「気付く力」「聴く力」「自分を支える力」を高めることが重要。不安や恐れは身を守るために必要な感情だが、私たちから力を奪い、冷静な対応ができなくなることもある。

 「ウイルスに関する悪い情報ばかりに目が向けないようにする」「いつもの生活習慣やペースを保つ」「今自分ができていることを認める」「今の状況だからこそできることに取り組んでみる」「ウイルスに関する情報にさらされるのを制限し、距離を置く時間を作る」といった取組みが役立つ。

 第3の"感染症"を防ぐためには、「確かな情報」と広め、差別的な言動に同調しないことが必要。高齢者や治療を受けている人とその家族、医療従事者など、感染を拡大させないように対応しているすべての人に"ねぎらい"と"敬意"をはらうことが重要だ。

 「それぞれの立場でできることを行いながら、1つになって負のスパイラルを断ち切りましょう」と、日本赤十字社は呼びかけている。

日本赤十字社  新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、全国的に献血者が減少している。日本赤十字社は献血への協力を呼びかけている。
[Terahata]
side_メルマガバナー

「健診・検診」に関するニュース

2025年08月21日
歯の本数が働き世代の栄養摂取に影響 広島大学が新知見を報告
2025年07月07日
子供や若者の生活習慣行動とウェルビーイングの関連を調査 小学校の独自の取り組みを通じた共同研究を開始 立教大学と東京都昭島市
2025年06月27日
2023年度 特定健診の実施率は59.9%、保健指導は27.6%
過去最高を更新するが、目標値と依然大きく乖離【厚労省調査】
2025年06月17日
【厚労省】職域がん検診も市町村が一体管理へ
対策型検診の新項目はモデル事業で導入判断
2025年06月02日
肺がん検診ガイドライン19年ぶり改訂 重喫煙者に年1回の低線量CTを推奨【国立がん研究センター】
2025年05月20日
【調査報告】国民健康保険の保健事業を見直すロジックモデルを構築
―特定健診・特定保健指導を起点にアウトカムを可視化
2025年05月16日
高齢者がスマホなどのデジタル技術を利用すると認知症予防に 高齢者がネットを使うと健診の受診率も改善
2025年05月16日
【高血圧の日】運輸業はとく高血圧や肥満が多い 健康増進を推進し検査値が改善 二次健診者数も減少
2025年05月12日
メタボとロコモの深い関係を3万人超の健診データで解明 運動機能の低下は50代から進行 メタボとロコモの同時健診が必要
2025年05月01日
ホルモン分泌は年齢とともに変化 バランスが乱れると不調や病気が 肥満を引き起こすホルモンも【ホルモンを健康にする10の方法】
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶