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【新型コロナウイルス】「ピラティス」が肥満や高血圧の人に良い 室内で続けられる運動
2020年04月21日

若い世代で人気のあるピラティスによる体幹トレーニングは、肥満のある人にも効果的で、血圧を下げ、動脈硬化を改善できることが明らかになった。
ピラティスは血管機能を改善し、体脂肪を減らすのに役立つという。
ピラティスは血管機能を改善し、体脂肪を減らすのに役立つという。
ピラティスで運動不足を解消
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、外出の自粛やリモートワークが要請されている。動かないことが続き、運動不足になっている人が多い。
室内でできる運動であれば、運動不足を解消でき、身体機能の低下を防ぐことができる。
マット1枚があれば自宅の室内で行える「マットピラティス」が効果的である可能性がある。
ピラティスは、リハビリ用にドイツで開発された運動を発展させたもので、体幹を安定させたり、柔軟さを高めることに重点を置いている。
体に大きな負担をかけることなく、体幹筋(腹筋と背筋)や大腿四頭筋などを鍛える動作も含まれている。
呼吸に合わせてゆっくりと体を動かすことで、体の左右のアンバランスやゆがみを整え、姿勢を改善し、バランス感覚を高める効果も期待できる。
PsycheTruthが紹介している室内でできるピラティス
運動が嫌いの人もピラティスであれば続けられる
マットの上で行う「マットピラティス」は、室内でも簡単に行え、特別な器具も必要としない。初心者でも手軽に始められる運動として人気がある。
一方で、若年成人の肥満の増加は深刻な公衆衛生上の問題になっている。
運動が心血管疾患などの深刻な健康障害を予防・改善するために効果的であることは多くの研究で示されている。
しかし肥満の人は、有酸素運動や筋力トレーニングなどの一般的な運動を、なかなか習慣として続けられないことが知られている。
米国のメリーマウント大学の研究チームは、ピラティスであれば続けてもらえるかもしれないと考え、若い肥満の女性を対象に実験を行った。
研究チームは、慢性疾患の既往歴がなく、血圧が高値であり、BMI(体格指数)が30~40で肥満と判定された、19〜27歳の女性28人に参加してもらった。
参加者を、運動を行う群と、運動を行わない群にランダムに分け、運動を行う群には12週間のマットピラティスに取り組んでもらった。
運動は週に3回、1時間(ウォームアップとストレッチが10分、マットピラティスによるエクササイズが40分、クールダウンが10分)のトレーニングを行った。マットピラティスの認定インストラクターがすべてのセッションを指導した。
ピラティスにより高血圧や動脈硬化が改善

糖尿病や高血圧の人にも効果がある
「マットピラティスが、肥満で高血圧のある女性の、血圧、動脈硬化、体脂肪を改善することで、心血管の健康にベネフィットをもたらすことが示されました」と、米国のメリーマウント大学健康・人間行動学部のアレクセイ ウォン氏は言う。
「肥満の人は、有酸素運動やレジスタンス運動をなかなか続けられないことが課題になっています。マットピラティスによるトレーニングであれば、肥満のある人も続けられ、高血圧や心血管イベントを予防するための効果的な運動になる可能性があります」と、ウォン氏は指摘している。
マットピラティスは、自分の体力に合わせて、初心者から上級者レベルまで運動強度を自由に変えられる。ペンシルバニア州立大学は、糖尿病や高血圧、腰痛などの慢性疾患にも有用と報告している。
米国ではピラティスの人気が高まっており、健康的な運動習慣として普及している。2018年には900万人が行っていたと推定されており、歌手のビヨンセや女優のエマ ストーンといった有名人も愛好しているという。
Study finds that Pilates significantly improves blood pressure in young, obese women(オックスフォード大学出版 2020年4月1日)Study finds that Pilates significantly improves blood pressure in young, obese women(American Journal of Hypertension 2020年4月1日)
The Medical Minute: Just say 'om' -- how yoga and Pilates benefit beginners(ペンシルバニア州立大学 2020年4月18日)
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