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【新型コロナウイルス】テレワークや在宅勤務が急増 生活や健康にどんな影響が

 新型コロナウイルス感染拡大によって、テレワークや在宅勤務を実施している就業者が多い。
 テレワークを実施している人の多くで社会経済的な負の影響があらわれ、また体の不調を感じている人が多いことが明らかになった。
テレワークの負の影響
 慶應義塾大学とNIRA総合研究開発機構は、テレワークを活用した働き方や生活・意識などについて調査を行った。調査は4月1日〜7日に行われ、回答者数は合計1万516人。

 その結果、テレワークによってさまざまな社会経済的な負の影響があらわれていることが分かった。

 テレワーク実施率が高いのは従業員が500人以上の職場で16%。5人以上の職場では、規模が大きくなるにつれ利用率が高くなり、100~499人の職場で10%だった。

 産業別にみると、高い順に「情報サービス・調査業を除く通信情報業」(27%)、「情報サービス・調査業」(23%)、「製造業(出版、印刷を含む)」(14%)、「金融・保険業」(13%)となった。

 低い方をみると、「運輸」(5%)、「公務(国家公務、地方公務)」(4%)、「飲食業・宿泊業」(4%)で、もっとも低いのは「医療・福祉」(2%)だった。
生活全体の幸福感が下がった人が36%
 仕事や生活に関わる変化として、1月に比べ労働時間が減少した人が23%、所得が減少した人も23%に上る。

 仕事全体の満足感が下がった人は26%、生活全体の幸福感が下がった人は36%に上り、3月末時点で新型コロナによる負の影響が広がったことが示された。

 さらに、労働時間が減った人の75%は仕事の総量が減り、66%は所得が減少した。

 労働時間が減った人のうち、仕事全体の満足感が少なくなった人は60%、生活全体の幸福感が下がった人は60%、生活全体の幸福感が減少した人も59%いた。逆に、仕事全体の満足感や生活全体の幸福感が上がった人は5%にとどまっている。

家事・育児・介護の時間は増加していない
 性別・年齢別にみると、30代の女性の27%は労働時間を減らしたが、余暇時間が増加しても、家事・育児・介護時間を増やした女性は20%にとどまる。

 家事や育児などの時間はそれほど増加しない一方で、仕事の満足度が減少した女性は28%、幸福感が減少した女性は41%に上る。

 仕事内容への影響をみると、新型コロナウイルスの感染拡大により、何らかのトラブルがあったと回答した就業者は43%だった。

 その内訳をみると、「予定していた仕事をキャンセル・延期された」(61%)がもっとも多く、「仕事の見直しや業務の縮減を行った」(25%)、「仕事相手(顧客、同僚)と連絡がとりにくくなった」(21%)と続く。

 トラブルのあった割合を産業別にみると、「飲食業・宿泊業」(58%)、「教育・学習支援業」(57%)、「通信情報業」(46%)が多かった。「医療・福祉」(35%)は比較的少なかった。
テレワークや在宅勤務により体の不調が
 オムロンヘルスケアの調査によると、テレワークや在宅勤務を行っている人では体の不調に悩まされている人が多い。

 調査は、テレワークをしており、週3回以上の在宅勤務や、自宅でのデスクワーク-を実施している人を対象に4月22~24日にインターネットで実施。全国の男女1,024人が回答した。

 その結果、テレワーク開始後に体の不調を感じた人は全体の31%に上り、多かった症状は「肩こり」(68%)、「精神的なストレス」(61%)、「頭痛」(55%)、「姿勢が悪くなる」(53%)、「目の疲れ」(50%)だった。

 男女別にみると、男性の最多は「精神的なストレス」(61%)、女性は「肩こり」(75%)だった。

女性は対策しているが、男性は対策していない
 不調を感じた人のテレワーク期間を調べたところ、2週間程度から不調を感じる方が増加し、もっとも多いのは3週間目(27%)だった。外出自粛の状況が中長期化することで、身体への不調を感じる人が増えることが示された。

 不調に対して何らかの対策を行っていると回答したのは、男性より女性で多かった。30~40代女性の8割以上がストレッチ・エクササイズを行っているが、男性は6割程度だった。

 何らかの対策をとっている割合は、女性では30代で81%、40代で63%、50代で67%に上ったが、男性では20代の65%が最高で、40代で38%、50代で50%にとどまった。

 今後取り組みたい不調対策は、「散歩」(46%)、「ストレッチ・エクササイズ」(39%)、「姿勢に気を付ける」(31%)が多かった。

 また、10人に1人が最近注目されている「オンラインエクササイズ」や「オンライン診療」の導入を考えていることも分かった。

 テレワークにより仕事環境がふだんとは異なり、運動量が減少しているのを感じ、予防意識を高めている人は少ないないことが浮き彫りになった。

慶應義塾大学経済学部
NIRA 総合研究開発機構
オムロンヘルスケア
[Terahata]

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