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高齢者のサルコペニアは週1回60分の運動で改善する ゴムバンド運動などが効果的
2020年06月08日
鹿児島大学は、鹿児島県垂水市で実施している「垂水研究」で、「サルコペニア」およびそのリスクを有する高齢者を対象に運動プログラムを実施し、12週間程度のエクササイズによって、椅子からの立ち上がりなどの身体機能の有意な改善が示されたという結果を発表した。
身体機能や大腿筋量に対する筋力トレーニングの効果を検証
研究は、鹿児島大学大学院医歯学総合研究科の牧迫飛雄馬教授らの研究グループによるもので、研究成果は「Journal of Clinical Medicine」オンライン版に掲載された。
鹿児島大学と垂水市は協働して2017年度から、前向きコホート研究である「垂水研究(たるみず元気プロジェクト)」を実施しており、40歳以上を対象に、加齢にともなう生活機能・身体状況・認知機能などの「健康チェック」を行っている。
加齢にともない骨格筋量は減少し、握力や脚力といった筋力も低下しやすくなる。このような加齢にともない生じる骨格筋量の減少と筋力の低下は「サルコペニア」と呼ばれ、国際疾病分類では疾病に分類される。サルコペニアは、転倒や骨折の危険を増大させ、寝たきりや要介護を招く要因の1つ。そのため、高齢期におけるサルコペニアの予防や改善のための支援方法の確立が求められているが、どのような支援方法が効果的であるかはよく分かっていない。
そこで研究グループは、垂水研究の一環として、サルコペニアおよびプレサルコペニアを有する高齢者を対象に、身体機能や大腿筋量に対する筋力トレーニングを中心とした多面的運動プログラムの効果を調査した。
関連情報
運動により椅子からの立ち上がりや歩行などが改善
健康チェックに参加した60歳以上の1,011人のうち、国際的な基準と照合して身体機能(握力の低下もしくは歩行速度の低下)の低下と筋肉量の低下を合併した人(サルコペニア)、または筋量低下のみに該当した人(プレサルコペニア)の72人が多面的プログラムに参加。平均年齢は75.0歳、女性が70.8%だった。
参加者は運動群(36人)と対照群(36人)に無作為に割り振られ、3ヵ月間の介入期間の前と後で、身体機能と大腿(太もも)の筋量のMRI画像で比較した。
運動プログラムは、ゴムバンドによる筋力トレーニングを中心とし、柔軟運動(ストレッチ)、バランストレーニング、有酸素運動を含む多面的運動プログラムを週1回(60分)の頻度で12回実施した。
運動群の運動教室の平均参加率は81%だった。3ヵ月間の変化を比較した結果、運動群で身体機能(椅子からの立ち上がりや歩行など)の改善を認めた。大腿の筋面積・筋体積の変化では、運動群で筋量の減少を抑制する傾向にあったが、明らかな筋量の増大は認められなかった。
自主的な運動の促進へのツールとしての活用も期待
垂水研究(たるみず元気プロジェクト)
鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻 牧迫研究室
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