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【新型コロナ】薬膳レシピで「コロナうつ」「コロナ疲れ」に克つ 食養生で心身の不調を解消 近畿大学
2020年11月24日

近畿大学東洋医学研究所、同大学農学部、わたし漢方は、身近な食材である生薬を取り入れた「薬膳レシピ」を共同開発した。
レシピをWebサイトで定期的に公開し、新型コロナウイルスの影響による生活環境やリズムの変化を原因とする心身の不調の解消や、健やかな身体づくりを支援するとしている。
レシピをWebサイトで定期的に公開し、新型コロナウイルスの影響による生活環境やリズムの変化を原因とする心身の不調の解消や、健やかな身体づくりを支援するとしている。
薬膳レシピでコロナ禍での健康管理を推進
新型コロナウイルス感染症の影響で、それまで当たり前だった日常が大きく変化し、自宅で過ごす時間が多くなった人も多く、「コロナうつ」「コロナ疲れ」「コロナストレス」などといった言葉に代表されるような不調群が増加している。
そこで近畿大学は、季節や体調にあった身近な食材を献立に取り入れた「薬膳レシピ」により、心身の不調の解消と健やかな身体づくりを支援するプロジェクトを開始した。
薬膳とは、季節や食べる人の体調に合わせ、食材や生薬(漢方薬の原料)などを組み合わせた料理のこと。薬膳の「膳」は食事の意味で、基本としているのは"食養生"という考え方だ。「誤った食事は健康不調を引き起こし、正しい食事により改善できる」というものだ。
薬膳への理解を深めるとともに病気予防に貢献
「薬膳レシピ」では、季節の不調に合わせて、11月~4月まで毎月ひとつの薬膳食材にフォーカスし、近畿大学農学部食品栄養学科の管理栄養士である明神千穂氏が監修したレシピを作り方とともに紹介する。レシピは、特設サイトで公開される。
「私たちの身体は食べたものからしかできません。これまでの1回1回の食事の積み重ねで、今の私たちの身体は作られています」と、明神氏は言う。
「薬膳といっても、その材料を見れば、ふだん食べている食事に使われている食品がほとんどです。違うのは、その食品の力を、西洋医学としての栄養でみるか、東洋医学としての栄養で見るかです」。
「毎日の食事で摂取している食物にどのような特性があるのかを理解し、上手に生活の中に取り入れれば、日々の健康や病気の予防・治療・疲労回復につながります。食事で心や身体の不調を改善して、日々の生活を豊かにしていただきたいという思いから、誰でも簡単に作れる、薬膳レシピをご紹介します」。
"オール近大"プロジェクトの一環として実施
「新型コロナウイルス感染症による影響は、感染による呼吸器症状といった直接的な症状だけでなく、感染や社会変動への不安といった周辺症状によっても我々に大きな影響を及ぼしています」と、監修を行った近畿大学東洋医学研究所の所長・教授である武田卓氏は言う。
「今回のプロジェクトは、このような東洋医学のなかの薬膳を活用し、新型コロナウイルス感染症による心身への影響の緩和を支援することを目的に実施しています」。
「薬膳レシピ」は、同大学が取り組んでいる「"オール近大"新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」の一環として実施するもの。
同プロジェクトは、世界で猛威をふるう新型コロナウイルス感染症について、医学から芸術までの研究分野を網羅する総合大学などの力を結集し、全教職員から関連研究や支援活動の企画提案を募って全学横断で実施しているもの。
これまで72件の企画提案が採択され、約1億3,000万円の研究費をかけて実施しているという。
「薬膳レシピ」の特設サイトを運営しているわたし漢方は、LINEで身体の悩みを薬剤師に相談すると、自分にあった漢方薬を自宅に配送してくれるオンライン漢方相談サービスを展開している。
近畿大学と同社は双方の強みを生かし、新型コロナウイルス感染症の軽症患者向けの栄養調査や漢方治療や食養生指導のシステム確立などの研究開発を行うことを予定している。
新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト 特設サイト おうちでカンタン 薬膳レシピ"オール近大"新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト
近畿大学東洋医学研究所
近畿大学農学部食品栄養学科
わたし漢方
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