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女性の7割が月経前に身体不調を経験 4人に1人は仕事や家事に支障が 「妊娠前(プレコンセプション)ケア」が必要 女性ビッグデータ調査
2020年12月02日
国立成育医療研究センターは、女性の月経や基礎体温などを記録できるアプリ「ルナルナ」を利用し、約1万人の女性の月経前の身体や心の不調の程度について調査した。
その結果、約7割の女性が月経前に身体の不調を感じており、4人に1人が月経前の何らかの症状により仕事や家事に支障をきたしていることが分かった。
その結果、約7割の女性が月経前に身体の不調を感じており、4人に1人が月経前の何らかの症状により仕事や家事に支障をきたしていることが分かった。
1万人の女性の月経前の身体や心の不調を調査
研究は、国立成育医療研究センター分子内分泌研究部の鳴海覚志室長、社会医学研究部の森崎菜穂室長、三瓶舞紀子氏らとエムティーアイの研究グループによるもの。
研究グループは、アプリ「ルナルナ」を利用し実施した「女性ヘルスケア・ビッグデータ解析」の、第1回および第2回調査に参加した、約1万人の女性の月経前の身体や心の不調の程度についての調査結果を発表した。今回の発表は、2020年1月23日から進めている研究の中間報告となる。
月経前症候群などの、女性の健康や妊孕性(妊娠しやすさ)に対して、どのような社会的要因が影響を与えるかを調べた研究は少なく、その詳細は解明されていない。
たとえば、労働時間などの社会的要因が、睡眠不足などの行動的要因に影響を与えて、十分な睡眠時間をとれないことが女性の健康や妊孕性に影響している可能性がある。
プレコンセプション(妊娠前)ケアを推進
「コンセプション」は受胎、つまりおなかの中に新しい命を授かることを言い、「プレコンセプション」は妊娠前を差す。同センターは、プレコンセプションケアセンターを日本ではじめて開設した。
「プレコンセプションケア」(妊娠前ケア、PCC)は、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことで、同センターでは「前思春期から生殖可能年齢にあるすべての人々の身体的、心理的および社会的な健康の保持および増進をはかること」としている。
生涯のうちのプレコンセプションケアの位置づけ
同センターは女性ヘルスケア・ビッグデータ解析を共同研究として、2019年5月から行っており、第1回調査は2020年1月23日~3月24日、第2回調査は2020年5月14日~6月13日に実施。
今回の研究では、アプリ「ルナルナ」内でアンケート調査を実施した。対象となったのは、第1回調査および第2回調査に回答した全国の10~50代以上の女性1万606人だった。
この調査により、女性の健康や妊娠への社会的・行動的要因の影響を調べ、「プレコンセプションケア」に役立てることを目指している。
7割の女性が月経前に身体の不調を感じている
その結果、過去1年間のほとんど毎回の月経の1~2週間前に「身体症状(乳房の痛みやはり、腹部のはる感じ、腹痛、頭痛、関節痛、筋肉痛、身体がむくんだ感じ、体重増加、便秘のいずれか)」が「あった」「とても強くあった」と回答した人は全体の7割に上ることが分かった。
身体症状以外の症状で頻度が高かったのが「過眠」「疲れやすさ」「イライラ」「食欲増進」で、全体の5~6割にみられた。
また、全体の約4人に1人は、仕事の能率や家事に「支障あった」「とても強く支障があった」と回答し、月経周期による影響が日常生活に及んでいる女性が少なくないことが判明した。
出典:国立成育医療研究センター、2020年
女性や将来の家族がより健康な生活をおくれるようになるために
研究グループは今後、今回の調査に参加したユーザーを対象とした研究として、2021年3月まで追跡調査を行い、女性の健康や妊孕性に社会的要因が与える影響を明らかにしていくとしている。
「プレコンセプションケアは、妊娠を計画している女性だけではなく、すべての妊娠可能年齢の女性にとって大切なケアです。自分を管理して健康な生活習慣を身につけることは、女性や将来の家族がより健康な生活をおくれるようになることにつながります」と、同センターでは述べている。
今後は、長時間労働やそれによる睡眠不足、パートナーの家事・育児を行う程度などの社会的要因が、月経周期や月経前の症状などの女性の健康や、妊孕性にどのように影響するかを明らかにしたいとしている。
妊娠前の20~30代の女性は、学校や会社といった所属機関で過ごすことが多く、妊娠後に地域社会との関わりが増す。そのため県や市区町村を通じた調査を実施しにくく、また年齢的に慢性疾患をもつ女性が少ないため、保健・医療機関を通じた調査も難しい。
この調査は、アプリ「ルナルナ」をダウンロードした女性を対象に行っており、第1回調査では約2万5,000人の女性が参加した。子供を産み育てることができる年齢の女性への学術的な大規模調査としては他に例をみないものだ。
「この調査が、女性の健康を守り、健康に子供を産み育てるために何ができるのか考える基礎資料となることが期待されます」と、同センターでは述べている。
国立成育医療研究センター
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