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「揚げ物」は肥満やメタボの人にとって要注意 食べ過ぎると心臓病や脳卒中のリスクが高まる
2021年02月02日
揚げ物は、からりとした食感や独特の風味がおいしく、人気の高い調理法だ。
しかし、揚げ物は衣に吸われる油の量が多く、高カロリーになりやすい。2型糖尿病や肥満のある人にとって注意が必要となる。
フライドポテトやフライドチキンなどを毎日食べていると、心臓病や脳卒中のリスクが上昇するという研究が発表されている。
揚げ物を食べるときには、調理を工夫することで、カロリーを抑えることができる。
しかし、揚げ物は衣に吸われる油の量が多く、高カロリーになりやすい。2型糖尿病や肥満のある人にとって注意が必要となる。
フライドポテトやフライドチキンなどを毎日食べていると、心臓病や脳卒中のリスクが上昇するという研究が発表されている。
揚げ物を食べるときには、調理を工夫することで、カロリーを抑えることができる。
揚げ物はおいしいが、食べ過ぎると健康リスクに
唐揚げやトンカツ、ポテトチップス、ドーナツなど、おかず、スナック、菓子類などさまざまなジャンルに揚げ物料理があり、避けるのが難しいほどだ。
日本人の食生活が欧米化し、揚げ物を食べることが多くなった。会社員715人(21~66歳)を調べた研究によると、日本人は揚げ物料理を週に3~4回食べているという。
しかし、揚げ物の食べ過ぎには注意が必要だ。揚げ物を毎日食べていると、2型糖尿病や心血管疾患のリスクが高くなることを示した研究は多い。
三大栄養素のおよその栄養エネルギーは、タンパク質4kcal/g、炭水化物4kcal/g、脂質は9kcal/gとされている。脂質は他の2つの栄養素にくらべ2倍以上の栄養エネルギーをもつ。1日のエネルギー摂取量を減らすために、脂質を減らすことは効果的だ。
揚げ物は調理法としては、衣に吸われる油の量が多く、高カロリーになりやすい。脂肪は体にとって必要な栄養素だが、脂は少量でもカロリーが多いので、肥満や2型糖尿病、動脈硬化などを予防・改善するために、食事では油脂の摂り過ぎに注意したい。
関連情報
調理を工夫すればカロリーを抑えられる
揚げ物を食べるときには、調理を工夫することで、カロリーを抑えることができる。
(1) 食材を選ぶ
揚げ物のカロリーは、食材によって変わってくる。鶏肉ではもも肉やむね肉(とくに皮ありの肉)、豚肉ではバラ肉やひき肉などは、脂身が多くカロリーが高い。これらを揚げ物にすると、とりわけカロリーが高くなってしまう。脂身の少ない部位の肉なら、毎日食べても大丈夫だし、揚げ物にしても週に1~2回くらいなら悪い影響を抑えられる。
(2) パン粉は薄くつける
揚げ物が高カロリーになるのはその食材が油を吸収するためだ。衣が厚くなればなるほど油を吸う量が多くなる。そのため、衣はできるだけ薄い方が良い。衣の量を減らすために、食材の水気を十分にとっておこう。フライに使うパン粉も細かいものを選ぶ。
(3) 少ない油で揚げる
油を焼くときよりも少し多めに使う「揚げ焼き」をうまく利用する。「揚げ焼き」は、食材が少し浸るくらいの油をフライパンに入れ加熱して作る。通常の揚げ物に比べ仕上がりの差はないが、衣の量も減らせば使う油の量が少なくてすむので、カロリーを抑えられる。
(4) 体に良い油を選ぶ
オレイン酸は、酸化されにくいので、過酸化脂質を体内で作りにくい。さらに、加熱によって酸化することもないので、揚げ物にも安心して使える。オレイン酸が多く含まれる食用油は、オリーブ油、キャノーラ油、ヒマワリ油などがある。調理にオリーブ油やヒマワリ油を使うと、心血管疾患や死亡リスクは高くならないという報告もある。
特定保健用食品など、栄養機能的に優れていることが確かめられた植物油を利用する方法もある。
シャケの揚げ焼き
揚げ焼きは、使う油の量が少ないので、カロリーを抑えられる
揚げ焼きは、使う油の量が少ないので、カロリーを抑えられる
揚げ物を1日に1食以上食べると死亡リスクが8%上昇
フライドポテトやポテトチップス、フライドチキン、フライドフィッシュなどの揚げ物を食べ過ぎていると、2型糖尿病や心臓病のリスクが上昇するという調査結果が発表されている。
米アイオワ大学などの研究グループが、米国で実施されている「女性健康イニシアチブ」(WHI)に参加した女性を調査した。この研究では、食事の改善が女性の健康にどのように影響するかを調べている。
50〜79歳の10万6,966人の女性の食事を調べたところ、揚げ物を1日に1食以上食べると、食べない場合に比べて、死亡リスクが8%高くなることが示された。
フライドチキンでは、1日に1サービング以上を食べると死亡リスクは13%高く、心疾患による死亡リスクは13%高かった。魚の揚げ物では、1日に1サービング以上を食べると、死亡リスクが7%高く、心疾患死亡は13%高かった。
揚げ物を食べ過ぎると心臓病や脳卒中のリスクが高まる
また、中国深圳大学健康科学センターなどの調査によると、揚げ物をもっとも多く食べているグループは、もっとも少ないグループに比べ、主要な心血管イベントは28%、冠状動脈性心疾患は22%、心不全は37%、それぞれリスクが高くなった。
揚げ物の摂取量が週に114g増えるだけで、心血管イベントは3%、冠状動脈性心臓病は2%、心不全は12%、それぞれリスクが上昇するという。6件の研究を解析し、75万4,873人対象に平均9.5年間追跡して調査した。
調査では、揚げ物を食べる場合、家庭で調理されたものよりも、ファストフード店などの外食が多いことが示された。そうした環境で使われる揚げ油は、安価なコーン油などが多い。
「ファストフードのフライドポテトやフライドチキンには、塩分も多く含まれ、糖分の多い甘い飲み物をともなうことも多いのです。2型糖尿病や肥満のある人は、そうした食品の食べ過ぎにはとくに注意が必要です」と、同センター統計・疫学部のペイ クイン氏は言う。
トランス脂肪酸やアクリルアミドの健康影響
揚げ油を繰り返し使うと熱酸化し、食材に含まれる物質が影響して化学変化を起こし、それによって生じた物質が体に入って酸化ストレスの原因となる。酸化ストレスは血管の内側に炎症が起こすなどして、動脈硬化の原因になる。
さらに、フライドポテトなどジャガイモを揚げた食品について、「トランス脂肪酸」との関連についても指摘されている。
トランス脂肪酸は、油脂類に含まれる脂肪酸で水素が二重結合をはさんで反対側についているもの(トランス型)をいう。普通の植物油の多くで、二重結合はシス型と呼ばれるかたちをしている。
トランス脂肪酸は、悪玉のLDLコレステロールを増やし、善玉のHDHコレステロールを減らし、動脈硬化を促し心疾患の危険性を高めるとみられている。
揚げ物には、トランス脂肪酸が含まれているものがある。トランス脂肪酸をめぐっては、世界保健機関(WHO)が2003年に、1日当りのトランス脂肪酸の平均摂取量を、最大でもエネルギー摂取量の1%未満に抑えるよう勧告した。
もうひとつ懸念されているのは、食材を高温で熱したときに生じる化学物質「アクリルアミド」だ。食材を120℃以上の高温で加工・調理すると、化学反応を起こしアクリルアミドが生成される。
アクリルアミドが多く含まれる食品は、がんの発症リスクを高めるおそれがあると考えられている。そうした食品は、高カロリー・高脂肪のものも多く、肥満や2型糖尿病の人は避けたい食品だ。
Association between frequency of fried food consumption and resilience to depression in Japanese company workers: a cross-sectional study(Lipids in Health and Disease 2016年9月15日)Eating fried foods tied to increased risk of diabetes, heart disease(ハーバード公衆衛生大学院 2014年6月20日)
Fried food linked to heightened risk of death among older US women(BMJ 2019年1月23日)
Association of fried food consumption with all cause, cardiovascular, and cancer mortality: prospective cohort study(BMJ 2019年1月23日)
Fried food intake linked to heightened serious heart disease and stroke risk(BMJ 2021年1月18日)
Fried-food consumption and risk of cardiovascular disease and all-cause mortality: a meta-analysis of observational studies(Heart 2021年1月18日)
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