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高齢者の「フレイル」は家電の利用状況を調べれば分かる 電気使用を見える化する「スマートメーター」で高齢者の健康をチェック

 高齢者の「フレイル」は、エアコンやテレビ、ポット、冷蔵庫といった家電製品の利用状況を把握することで、検知可能であることが、三重県東員町で実施された実証実験で示された。
 実証実験に参加した高齢者の自宅に、モーションセンサやCO2センサなどの各種センサ、そして自宅のスマートメーターから電力データを収集するための機器を設置し、2020年8月から6ヵ月間データを取得した。
 その結果、電力データのみでフレイル検知が可能であることが明らかになった。
 電力消費のデータを高度に分析することで、フレイル検知や、生活リズムのモニタリングなど、高齢者見守り全般への活用も可能になると期待されている。
家電製品の利用状況で高齢者の「フレイル」を検知
 高齢者の「フレイル」は、エアコンやテレビ、ポット、冷蔵庫といった家電製品の利用状況を把握することで、検知可能であることが、三重県東員町で実施された実証実験で示された。

 実証実験に参加した高齢者24人の自宅に、モーションセンサやCO2センサなどの各種センサ、そして自宅の「スマートメーター」から電力データを収集するための機器を設置し、2020年8月から6ヵ月間データを取得した。

 これらのデータから学習したAI(人工知能)により、フレイルであるかどうかを判定した。その結果、電力データのみでも、フレイル検知が可能であることが明らかになった。

 スマートメーターは、毎月の検針業務の自動化やHEMSなどを通じて、電気使用状況の見える化を可能にする電力量計。2024年には、スマートメーターの国内全世帯への設置が完了する予定。

 電力データを高度に分析することで、フレイル検知や、生活リズムのモニタリングなど、高齢者見守り全般への活用も可能になると期待されている。

 研究は、東京大学大学院情報学環越塚登研究室、同大学高齢社会総合研究機構、三重大学、三重県、東員町、ネコリコ、JDSCが参画する「介護予防に向けたAI・データ活用研究会」によるもの。

出典:JDSC、2021年
すべての高齢者のフレイルを早期発見 家庭の見守りに資する技術を開発
 「フレイル」は、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下がみられる状態をさす。適切な治療や予防を行うことで要介護状態に進むのを防げることから、フレイルの早期発見、早期対応が重要な課題になっている。

 フレイルを早期に発見し対応するため、自治体をはじめさまざまな努力をしているが、独居の高齢者が拡大する中で、すべての高齢者に対し、フレイル発見を漏れなく行うことは難しい課題になっている。

 今回の実証実験は、スマートメーターなどを活用し、家電製品の利用状況を把握することで、そのデータから学習したAIによって、フレイルあるいはノンフレイルを高い精度で判定できることを示したもの。

 電力データのみでも、複数のモーションセンサを用いた先行研究の判定精度に迫る結果となり、特別なセンサを設置することなく、電力データのみでフレイル検知が可能であることが分かった。

 東京大学大学院情報学環越塚登研究室、ネコリコ、JDSCの3者は2019年より、電力データを活用したスマートホームソリューション高度化に関する技術の共同研究のもとで、スマートメーターから取得可能な電力データや各種センサデータを活用し、家庭の見守りなどに資する技術を研究開発している。

 また、今回の実証実験は、東京大学と三重県の連携協定にもとづいた取組みとして、東員町で実施された。JDSCは、電力データによるフレイルなどの検知技術に関して特許を取得しているという。

 「今後引き続き各関係者と協力して、フレイル検知AIモデルの発展や検知後の活用に向けて、医学的観点からの追加調査を行うとともに、新型コロナウイルスの影響による高齢者におけるフレイル状態の変化、自宅における電力使用状況の変化についても調査を進めていく予定です。得られた知見を地域課題の解決につなげていきます」と、研究グループは述べている。

「AIと電力データを用いたフレイル検知」に関する実証実験の結果

出典:JDSC、2021年

介護予防に向けたAI・データ活用研究会(東京大学地域未来社会連携研究機構)
東京大学大学院情報学環越塚登研究室
「AIと電力データを用いたフレイル検知の実証実験」が東員町で実施されます(三重県 2020年1月11日)
[Terahata]
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