精神障害の労災支給決定が過去最多に 「令和2年度過労死等の労災補償状況」を公表
精神障害の労災補償状況では支給決定件数が昨年度比99件増の608件で、2年連続で最多を記録した。
厚労省は年に一回、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害による労災請求件数や労災保険給付の支給決定件数などを取りまとめ、公表している。
このうち、令和2年度の脳・心臓疾患による労災の請求件数は784件で前年度比152件減少し、支給決定件数も194件と前年度比22件減となった。死亡件数は前年度比19件減の67件。
業種別で見ると、「運輸業・郵便業」が請求件数、支給決定件数ともに最多となり、「卸売業・小売業」、「建設業」が続く。「運輸業・郵便業」の中では「道路貨物運送業」が最も多い。職種別で見ても、請求件数・支給決定件数ともに多いのが「輸送・機械運転従事者」の「自動車運転従事者」で、運輸業の労災リスクの高さが目立つ。
一方、精神障害に関する事案の労災補償状況では、請求件数は2051件で前年度比9件減少したが、支給決定件数は608件で前年度に比べて99件増加した。支給決定件数の増加は2年連続で最多。
業種別では請求件数、支給決定件数ともに「医療・福祉」が最多で、「製造業」、「卸売業・小売業」が続く。年齢別では「40~49歳」が請求件数597件、支給決定件数174件で最多。次いで「30~39歳」、「20~29歳」の順に多く、働き盛りの若い世代が大半を占める。
精神障害の発病に関与した事象とする出来事別では、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」99件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」83件、「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」71件などの結果となった。
また裁量労働制対象者に関する労災補償状況もまとめているが、脳・心臓疾患の支給決定件数は1件、精神障害の支給決定件数は6件で、いずれも専門業務型裁量労働制対象者だった。
「産業保健」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要