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「医療的ケア児支援法」が成立~自治体の支援は「努力義務」から「責務」へ

 2021年6月11日、参議院本会議で「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(以下、「医療的ケア児支援法」)が可決された。

 これにより国や地方公共団体などは医療的ケア児への支援が「努力義務」から「責務」になり、教育を行う体制の拡充などが求められることとなる。施行は同年9月の予定。

 医療的ケア児とは、新生児集中治療室(NICU)などに長期入院後、引き続き人工呼吸器や胃ろうなどを使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のこと。周産期先進医療の発展により医療的ケア児は増加傾向にあり、厚労省のまとめ(令和元年)では在宅で全国に推計約2万人いるとされる。

 一方、医療的ケア児への支援はこれまで国や地方自治体の「努力義務」とされ、専門人材や環境を整えた預け先は極端に不足。医療的ケア児とその家族を取り巻く現状もよく知られていなかった。

 その結果、医療的ケア児が心身の状況に応じた適切な支援や教育を受けられないほか、家族が24時間、ケアを担うために就労機会を失うなどの問題があった。

保育所や学校などで医療的ケア児を受け入れるための支援体制を

 家族の負担を軽減し、医療的ケア児の健やかな成長を図ることを目指して、このたび医療的ケア児支援法が成立。

 支援が「責務」と明記されたことから、自治体は保育所や学校などで医療的ケア児を受け入れるための支援体制拡充が求められることとなる。

 具体的には家族の付き添いなしで医療的ケア児が施設へ通えるよう、保健師や看護師、喀痰(かくたん)吸引等を行うことができる保育士などを配置すること、都道府県に医療的ケア児支援センターを設立し、ワンストップで相談や連絡ができる体制を整えることなどが求められる。

 これを受けて、文部科学省でも医療的ケア児についての情報を整理し、受け入れ体制に整備に向けた手引きを作成、公表した。

[yoshioka]
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