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運動不足で座位時間が長いと脳卒中リスクが7倍に上昇 若い人も油断できない 立ち上がって運動を

 コンピューターを使ったり、テレビを見たり、読書をするなど、座位中心で身体活動をほとんど行わない時間が1日8時間以上に及び、運動不足の人は、脳卒中のリスクが7倍に上昇することが、60歳未満の成人14万3,000人を対象とした調査で明らかになった。
 座ったまま過ごす時間をなるべく少なくし、身体活動を促進することで、脳卒中のリスクを軽減できる可能性がある。成人の身体活動を増やし、座りがちな時間を減らすための公衆衛生上の取組みは、長期的な脳卒中のリスクを下げるために必要とされている。
脳卒中は若い人でも増えている
座りがちな時間も増加
 余暇時間に座りがちな行動(コンピューター、テレビ、読書など)が多く、身体活動をほとんど行わない60歳未満の成人は、体を活発に動かしている人に比べ、脳卒中のリスクが大幅に上昇することが明らかになった。

 研究はカナダのカルガリー大学などによるもので、研究成果はAHAが刊行する医学誌「Stroke」に発表された。

 米国心臓学会(AHA)の調査によると、米国成人はスマートフォン、コンピューター、テレビなどのメディアに接続している時間が長く、1日に平均して10.5時間を費やしているという。とくに50~64歳の成人は、メディアに接続している時間が全年齢でもっとも長い。

 一方、脳卒中に関連する死亡は、65歳以上の成人で2010年に減少に転じたが、35~64歳の比較的若い成人の間では増加している。脳卒中で亡くなる人は、米国成人10万人あたり、2010年には14.7人だったが、2016年には15.4人に増加した。

 「脳卒中を含む心血管疾患や脳卒中のリスクの90%近くは、座りがちな行動など、改善が可能な生活スタイルに起因している可能性があります」と、専門家は指摘している。
若い人も座位時間が長いと脳卒中のリスクが上昇
 「座りがちな時間が、米国とカナダの成人の間で増加しています。座りがちな時間とは、日中の活動時間に座ったり横になったりして過ごしている期間のことです」と、カルガリー大学医学部臨床神経科学部の脳卒中の専門家であるレイド ジョウンディ氏は言う。

 「余暇時間、つまり仕事をしていない時間帯に、座ったまま過ごしている時間が長いと、若い人でも脳卒中を発症するリスクが上昇することを十分に理解することが重要です。脳卒中は早死を引き起こしたり、身体機能や生活の質を著しく損なう可能性があります」としている。

 研究では、2000年、2003年、2005年、2007~2012年に、コホート研究「カナダ地域保健調査」に参加した、脳卒中・心臓病・がんと診断されたことのない成人約14万3,000人を対象に、健康と生活スタイルの関連を調べた。

 研究グループは、参加者の1日の余暇の座りがちな時間(コンピューター、読書、テレビなどの視聴に費やした時間)を調べ、(1)4時間未満、(2)4~5時間、(3)6~7時間、(4)8時間以上に分類した。

 さらに、身体活動について四分位数により4つのカテゴリーに分類した。もっとも身体活動の少ない人は、毎日10分以下の散歩しかしていなかった。1日10分以下の歩行は、米国心臓学会の運動ガイドラインが推奨する運動量の半分未満にしかならない。

 米国心臓学会は成人に、ウォーキングなどの中強度の身体活動を、週に150分(2.5時間)以上行うことを推奨している。
運動不足で座位時間が長い人は脳卒中のリスクは7倍に上昇
 参加者を平均9.4年間追跡し、病院の医療記録により脳卒中の発症を特定した。その結果、2,965回の脳卒中の発生が確認された。

 参加者の1日の余暇の座りがちな時間の平均は4.08時間だった。年齢別にみると、60歳以下では3.9時間、60~79歳で4.4時間、80歳以上で4.3時間だった。

 分析した結果、身体活動が少なく、余暇の座りがちな時間が1日8時間以上と長い人は、1日4時間未満の人に比べ、脳卒中のリスクが4.2倍高いことが分かった。

 さらに、もっとも活動的でないグループ(座りがちな時間が8時間以上で、身体活動レベルが低い)は、もっとも活動的なグループ(座りがちな時間が4時間未満で、身体活動レベルが高い)に比べて、脳卒中のリスクは7倍に上昇した。

 脳卒中を発症した人のほぼ90%は「虚血性脳卒中」(脳梗塞)だった。これは、脳の血管が詰まって、脳に十分な血液と酸素が供給されなくなり、脳の一部が死んでしまうタイプの脳卒中だ。
運動や身体活動は有益 立ち上がって体を動かそう
 「60歳以下の成人は、運動をほとんど行わないで、座りがちな時間が長いと、脳卒中のリスクが上昇し、健康に悪影響がもたらされることを知っておく必要があります」と、ジョウンディ氏は述べている。

 「運動や身体活動は、座りがちな時間を減らすという点で、非常に重要な役割を果たしています。運動の時間を増やすことで、座りがちな時間の悪影響を軽減できます」と指摘している。

 「医師による生活指導や公衆衛生での保健指導では、若い成人の身体活動を増やし、座りがちな時間を減らすことに力を入れるべきです。食事や運動、睡眠などの健康的な生活スタイルを組み合わせれば、心臓血管イベントや脳卒中のリスクを低下できると考えられます」。

 今回の研究では、参加者の職業と座りがちな時間の関連については調査されなかった。たとえば、デスクワークの多い人は、座りがちな時間を過少報告している可能性があり、さらに詳しい調査が望まれるとしている。

Got some free time? To avoid a stroke, younger adults shouldn't spend it this way(米国心臓学会 2021年8月19日)
Association Between Excess Leisure Sedentary Time and Risk of Stroke in Young Individuals(Stroke 2021年8月19日)
[Terahata]
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