ニュース

肉やソーセージなどを食べ過ぎると健康リスクが上昇 植物性食品に置き換えるとリスクは減少

 牛肉、豚肉などの脂肪の多い赤身肉、ハムやソーセージなどの加工肉の貿易が急増したのにともない、2型糖尿病・がん・心臓病などの健康影響が増大したという研究が発表された。

 動物性食品を食べ過ぎている人は、動物性タンパク質の3%を植物性タンパク質で置き換えると、死亡リスクが減少することも判明。

 動物性タンパク質と植物性タンパク質をバランス良く摂ることが大切だという。

動物性食品を食べ過ぎないことが大切

 タンパク質は、筋肉や臓器など体をつくる要素として非常に重要なものだ。とくに筋肉はタンパク質でできており、合成と分解が常に行われているので、筋肉が減らないようにするため、食事でタンパク質をしっかり摂ることは必要だ。

 タンパク質は、肉・卵・牛乳・魚などに多く含まれる「動物性タンパク質」と、大豆・全粒穀物・豆類、ナッツ類・野菜などに含まれる「植物性タンパク質」に分けられる。

 タンパク質は動物性と植物性をバランス良く摂ることが大切だが、注意したいのは、動物性食品を食べ過ぎないようにした方が良いということだ。

 動物性タンパク質はアミノ酸スコアが高く、良質なタンパク源になるが、食べ過ぎると、体に悪い飽和脂肪酸やコレステロールが増えるおそれがある。

肉の貿易の急増で健康に影響

 過去25年間に、牛肉、豚肉などの脂肪の多い赤身肉、ハムやソーセージなどの加工肉の世界的な貿易が急増したのにともない、食生活が関係する病気による健康影響が増大したという研究を、米ミシガン州立大学などがまとめた。

 動物性の脂肪の多い、牛、豚、羊などの赤身肉や、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの加工肉を食べ過ぎると、2型糖尿病や大腸がん、心臓病などのリスクが高まるという報告がある。

 「動物性食品は良質なタンパク源になりますが、食べ過ぎにはリスクがともないます。植物性食品と良好にバランスをとることが大切です」と、同大学システム統合・持続可能性センターのミン ゴン チョン氏は述べている。

 「農業、食糧貿易、健康・医療の政策は、計画的に統合して策定する必要があります」としている。

肉の貿易拡大により死亡リスクは75%近く上昇

 研究グループは、国連食糧農業機関(FAO)のデータを使い、世界の赤身肉や加工肉の1993~2018年の貿易量と、2型糖尿病や大腸がん、虚血性心疾患などの病気や死亡との関連を調べた。

 過去30年間の赤身肉と加工肉の貿易の世界的な増加は、食事に関連する健康障害の急激な増加に関連しており、とくに北欧・東欧、カリブ海・オセアニアで影響が大きいことが明らかになった。

 こうした食肉の貿易拡大により、154ヵ国の4分の3で、病気による早死などの健康損失の程度を示す障害調整生存年数(DALY)などは上昇した。食事が関連する死亡リスクも75%近く上昇した。

植物性タンパク質に置き換えると死亡リスクが低下

 米国立がん研究所(NCI)が発表した別の研究では、食事で大豆食品、全粒穀物、豆類、ナッツ類など植物性タンパク質を含む食品を食べ、動物性食品を食べ過ぎない食事スタイルは、健康につながりやすいことが明らかになった。

 動物性食品を食べ過ぎている人は、ふだんの食事に含まれる動物性タンパク質を、少し植物性タンパク質に置き換えるだけで、心血管疾患などによる死亡リスクが低下する可能性があるという。

 研究グループは、1990年代から米国の各地で実施されている「NIH-AARP食事・健康研究」に参加した40万人以上の1995~2011年のデータを解析した。

 その結果、植物性タンパク質も摂っている人は、全死因および心血管疾患による死亡リスクが低いことが明らかになった。

動物性タンパク質と植物性タンパク質をバランス良く

 食事エネルギー摂取量からみて、動物性タンパク質の3%を植物性タンパク質で置き換えた人は、16年間の追跡期間で全死因による死亡リスクが10%減少し、心血管疾患の死亡リスクも、男性で11%、女性で12%、それぞれ減少することが明らかになった。

 とくに、朝食などで食べる卵を植物性食品になどに置き換えると、死亡リスクは男性で24%、女性で21%、赤身肉では男性で13%、女性で15%、それぞれ低下した。

 「今回の研究は、植物性食品の摂取を勧める食事ガイドラインを支持するものになりました」と、米国立がん研究所のジアキ ヒュアン氏は言う。

 「動物性食品は良質なタンパク源になりますが、食べ過ぎにはリスクがともないます。植物性食品と良好にバランスをとることが大切です」としている。

Global rise in red/processed meat trade linked to sharp increase in diet-related illness (BMJ 2021年11月18日)
Global red and processed meat trade and non-communicable diseases (BMJ Global Health 2021年11月15日)
Higher Intake of Plant Protein Compared to Animal Protein Associated with Lower Mortality(米国立がん研究所 2020年7月13日)
Association Between Plant and Animal Protein Intake and Overall and Cause-Specific Mortality(JAMA Internal 2020年7月13日)
[Terahata]

「特定保健指導」に関するニュース

2023年02月27日
毎日のウォーキングで女性の認知症を予防 活発な運動を1日30分増やすと認知症リスクは21%低下
2023年02月27日
「子宮頸がん(HPV)ワクチン」の安全性をあらためて支持 「副反応説」には科学的欠陥が 近畿大学
2023年02月24日
「難聴」の高齢者は認知症リスクが61%上昇 加齢性難聴は高齢者の3分の2に影響 適切なケアが重要
2023年02月20日
コロナ禍で孤独を感じる人が増えている 孤独はうつ病や認知症のリスクを高める こうして孤独を解消
2023年02月20日
【新型コロナ】なぜ男性は女性よりも重症化しやすい? 後遺症は女性の方が多いという報告も
2023年02月20日
「良い睡眠」に心臓病・脳卒中・脂肪肝の予防効果 「運動」で睡眠を改善 とくに女性で高い効果
2023年02月20日
「認知症の前段階」が5分でわかる 早期発見し認知症を予防 「バランスWiiボード」を活用
2023年02月14日
新型コロナの後遺症は「健康的な生活スタイル」により減少 心理的・社会的なストレスも影響
2023年02月14日
【新型コロナ】施設での感染拡大を防ぐために 適切な換気で「エアロゾル感染」を予防 気流の確認と管理が必要
2023年02月13日
【新型コロナ】加熱式タバコでも感染と重症化のリスクは上昇 燃焼式タバコと併用するとさらに危険
アルコールと保健指導

トピックス・レポート

無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶