ニュース

【新型コロナ】ワクチンは接種から9ヵ月後も有効 3回目接種も必要 「すぐに接種を」

 新型コロナワクチンは、1回目接種から9ヵ月後も有効であることが、米ノースカロライナ大学の1,060万人を対象とした調査で明らかになった。

 「ワクチン接種を受けていない人は、迷わずすぐにワクチン接種を受けるべきです」と、研究者は述べている。

 3回目のブースター接種についても、新型コロナによる入院と死亡のリスクを継続的に低下させるために必要としている。

新型コロナのワクチンは接種9ヵ月後も効果を発揮

 新型コロナのデルタ株やオミクロン株といったより伝染性の高い変異株の出現により、予防ワクチンの効果には限界があり、接種後に免疫力が低下し、接種を受けた人がウイルスに感染してしまうブレイクスルー感染を防げないのではないかという懸念の声が増えている。

 しかし、ノースカロライナ大学の発表した新しい研究では、ワクチン接種は新型コロナのもたらす最悪の結果から長期的な保護を提供することが示された。調査はノースカロライナ州の約1,060万人の住民のデータにもとづくもの。

 調査では、免疫力の低下がブレイクスルー感染の原因であることを示唆しているものの、新型コロナのワクチンは1回目の接種から9ヵ月後も、入院と重症化からの保護力を維持していることが示された。

 「今回の研究が示す重要なメッセージは、ワクチン未接種の人は、すぐにワクチン接種を受けるべきだということです。とくに高齢者にとってブースター接種は重要です」と、同大学グローバル公衆衛生学部のディスティングイッシュトプロフェッサーであるデニス ギリングス氏とダニュ リン氏は強調している。

ワクチン接種が新型コロナの重症化・入院・死亡のリスクを低下

 研究は、ノースカロライナ大学とノースカロライナ州保健福祉局が共同で行ったもの。詳細は、医学誌「New England Journal of Medicine」に発表された。

 調査では、2020年12月~2021年9月に、同州の住民1,060万人の新型コロナのワクチン接種歴と健康転帰に関するデータを解析した。その結果は、3回目のブースター接種の実施をサポートするために、米国疾病管理予防センター(CDC)も利用することになっている。

 「社会とコミュニティの安全を守るために、大規模調査により必要なエビデンスを提供することが必要です。私たちは協力しあい、素晴らしいパートナーシップを結ぶことができました」と、リン氏は述べている。

 米国で使用されている新型コロナのワクチンは、ファイザー製、モデルナ製、ジョンソン・エンド・ジョンソン製の3種類がある。「今回の研究で大規模なデータを解析した結果、この3つのワクチンのどれであっても、接種後も9ヵ月間にわたり有効性が発揮されることが分かりました」と、リン氏は述べている。

 「これまでの研究と異なり、新型コロナのワクチンの初回接種から、経過の時間とともに、入院や死亡を予防する効果がどれくらい低下するかを、関数として推定しました。この情報は、ワクチンの追加接種をどのタイミングで行うのが適切かを知るために重要です」としている。

 なおデータには、デルタ変異株によって引き起こされた新型コロナの症例も含まれるが、オミクロン株については、それが発見される前に収集されたものなので含まれていない。

3回目のブースター接種も速やかに受けることを推奨

 新型コロナのリスクを低減する効果は、ファイザーとモデルナのmRNAワクチンは、初回接種から2ヵ月後に95%のピークに達し、その後は徐々に低下することが分かった。ファイザーのワクチンの有効性は、接種7ヵ月後に67%に低下したのに対し、モデルナのワクチンは80%の有効性を維持していた。

 この2つのmRNAワクチンの有効性は、デルタ変異体が急増した昨年の6月中旬から7月中旬にかけて劇的に低下した。一方、ジョンソン・エンド・ジョンソンのウイルスベクターワクチンの有効性は、注射後1ヵ月で75%に上ったが、5ヵ月後には60%に低下した。

 3種類のワクチンはすべて、新型コロナの重症化と入院を減らすのにも効果的だった。この点では、ファイザーワクチンの有効性は、2ヵ月後に96%のピークに達し、7ヵ月後も90%あった。モデルナのワクチンの有効性は、2ヵ月後に97%のピークに達し、7ヵ月後も94%あった。3種類のワクチンのすべてで、死亡に対する有効性はさらに高かった。

 「米国人の大部分は7ヵ月以上前にワクチン接種を受けており、有効性が低下し始めています。しかし、3回目のブースター接種を受けられているのはほんの一部です。免疫力の低下は、オミクロン変異体によるブレイクスルー感染の一因となる可能性が高いので、速やかに3回目を受けられるようにすることが望まれます」と、リン氏は指摘している。

Study shows COVID-19 vaccines offer lasting protection: Research suggests boosters can provide ongoing prevention of hospitalization and death (ノースカロライナ大学 2022年1月12日)
Effectiveness of Covid-19 Vaccines over a 9-Month Period in North Carolina (New England Journal of Medicine 2022年1月12日)
[Terahata]

「特定保健指導」に関するニュース

2023年02月27日
毎日のウォーキングで女性の認知症を予防 活発な運動を1日30分増やすと認知症リスクは21%低下
2023年02月27日
「子宮頸がん(HPV)ワクチン」の安全性をあらためて支持 「副反応説」には科学的欠陥が 近畿大学
2023年02月24日
「難聴」の高齢者は認知症リスクが61%上昇 加齢性難聴は高齢者の3分の2に影響 適切なケアが重要
2023年02月20日
コロナ禍で孤独を感じる人が増えている 孤独はうつ病や認知症のリスクを高める こうして孤独を解消
2023年02月20日
【新型コロナ】なぜ男性は女性よりも重症化しやすい? 後遺症は女性の方が多いという報告も
2023年02月20日
「良い睡眠」に心臓病・脳卒中・脂肪肝の予防効果 「運動」で睡眠を改善 とくに女性で高い効果
2023年02月20日
「認知症の前段階」が5分でわかる 早期発見し認知症を予防 「バランスWiiボード」を活用
2023年02月14日
新型コロナの後遺症は「健康的な生活スタイル」により減少 心理的・社会的なストレスも影響
2023年02月14日
【新型コロナ】施設での感染拡大を防ぐために 適切な換気で「エアロゾル感染」を予防 気流の確認と管理が必要
2023年02月13日
【新型コロナ】加熱式タバコでも感染と重症化のリスクは上昇 燃焼式タバコと併用するとさらに危険
アルコールと保健指導

トピックス・レポート

無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶