令和2年度地域保健・健康増進事業報告①「健康増進事業」の概要
母子保健や健康増進などの「地域保健事業」と、健康診査や訪問指導などの「健康増進事業」について、全国の保健所と市区町村から報告を受け、年度ごとにまとめている。本記事では「健康増進編」の概況についてまとめる。
特定健康診査や、健康増進法に基づく健康診査受診者のうち、検査結果から生活習慣病の発症予防などのために指導が必要とされた人は、糖尿病の3万7千人が最も多く、受診者数に占める割合は32%に上る。次いで脂質異常症が約2万2千人、高血圧症が約1万2千人となっている。
同様に、検査結果から生活習慣病の重症化予防のため個別健康教育による指導が有効だと医師が認めた人は、高血圧症で約3万5千人、脂質異常症で約3万1千人、糖尿病で約1万6千人だった。高血圧症の該当者は受診者数の約30%を占めている。
一方、令和2年度に市区町村が実施した集団健康教育の開催回数は約6万5千回で、前年度の約13万回に比べて半減した。参加延べ人数も約82万5千人で、前年度の約239万人に比べて35%程度と大幅減。 内容別では、「一般(生活習慣病予防のための日常生活上の心得、健康増進の方法、食生活の在り方など健康に必要な事項の教育)」が、開催回数、参加延べ人数ともに大多数を占めている。
市区町村が実施した健康相談についても、指導を受けた人は約60万2千人で、前年度比約51万人減と大幅に少なくなった。内訳は重点健康相談が約19万4千人、総合健康相談が約40万8千人。
令和2年度に市区町村が実施したがん検診の受診者数で、最も多かったのは「大腸がん」で約331万3千人。次いで「子宮頸がん」の320万6千人となっている。受診率が高かったのは、「乳がん」の15.6%、「子宮頸がん」の15.2%だった。
市区町村におけるがん検診受診率を見ると、全国の市区町村数1737のうち、「肺がん」については1119の市区町村で受診率が「0〜10%未満」で、全体の約64%を占める。「大腸がん」も1031の市区町村で受診率が「0〜10%未満」(全体の約59%)と最多。「胃がん」についても同様の傾向になっている。
一方、「子宮頸がん」の受診率の分布では「10〜20%」が全体の52%、同様に「乳がん」も「10〜20%」が全体の45%を占め、全体的に胃がんや肺がん、大腸がんよりも受診率が高くなっていた。
令和元年度におけるがん検診受診者で、要精密検査となった人のうち、がんであった人の割合は、「胃がん」が0.12%、「肺がん」が0.03%、「大腸がん」が0.17%、「子宮頸がん」が0.02%、「乳がん」が0.3%だった。
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