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令和2年度地域保健・健康増進事業報告②「地域保健」の概要

 厚生労働省はこのほど令和2年度「地域保健・健康増進事業報告」を公表した。

 母子保健や健康増進などの「地域保健事業」と、健康診査や訪問指導などの「健康増進事業」について、全国の保健所と市区町村から報告を受け、年度ごとにまとめている。本記事では「地域保健編」の概況についてまとめる。

妊娠届出数や妊産婦の一般健康診査受診者は減少

 「母子保健」について、まず令和2年度に市区町村へ妊娠の届出をした人は、86万7510人。昨年比4万6673人減となった。このうち約95%の人が妊娠届出を「妊娠して満11週以内」に提出していた。

 妊産婦の一般健康診査における受診実人員は妊婦が約109万5千人、産婦が約45万6千人。妊婦、産婦ともに一般健康診査を受診した人数は前年度より減少している。一方で、精密検査の受診実人員は妊婦が約1万2人で前年比約1千人増、産婦が85人で前年比11人増だった。

 乳児の健康診査で受診率が最も高いのは、「3〜5カ月」の94%。幼児は「1歳6カ月」の95.2%、次いで「3歳」の94.5%となっている。

 保健所や市区町村が実施する保健指導を受けた人は、「妊婦」が約83万7千人、「産婦」が約21万9千人、「乳児」が約49万5千人、「幼児」が約68万人。一方、訪問指導を受けた人は「産婦」が約64万8千人と最も多く、次いで「乳児」が約53万3千人だった。保健指導、訪問指導ともに、受けた人は前年度より減少している。

健康増進の指導を受けた人は半分以下に
 「健康増進」について見てみると、令和2年度に、保健所や市区町村が実施した健康増進関係事業で栄養や運動などの指導を受けた人は延べ349万6273人。平成28年度から令和元年度までは700万人台で推移していたので、半分以下に減ったことが分かる。

 最も多いのは「栄養指導」で、次いで「運動指導」、「禁煙指導」と続く。「栄養指導」では乳幼児が最も多く、約135万5千人が受けている。「運動指導」では20歳以上が最も多く、約62万8千人だった。

常勤の心理専門職は90人

 「職員の配置状況」では、令和2年度末時点での保健所で、市区町村の地域保健事業に関わる常勤職員について配置状況をまとめている。このうち最も多いのは「保健師」で約2万7千人。次いで「管理栄養士」の約4千人、「薬剤師」の約3千人、「獣医師」の約2千人などと続く。

 新しく制度として始まった心理専門職の国家資格「公認心理士」は令和2年度までに試験が計3回実施されており、令和2年度は90人(都道府県1人、政令市・特別区32人、その他の市町村57人)が配置されていた。

 常勤保健師の配置状況を人口10万人あたりでみると、「全国」では21.6人だった。都道府県別に見ると「島根県」が46.8人と最も多く、次いで「高知県」40.2人、「長野県」37.2人となっている。

 東京の常勤保健師数は1760人だが、人口10万人あたりでみると12.7人と全国平均を下回っている。同様に、人口10万人あたりの常勤保健師数は埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県がいずれも20人に満たず、都市部を中心に常勤保健師を確保するのが難しくなっている現状が伺える。

[yoshioka]
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