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ペットは健康に有用? ペットの飼い主の95%が「ストレス解消に役立つ」 脳の健康にも良い影響

 猫や犬などのペットを飼っている人の95%は、ペットはストレス解消のために役立っていると感じていることが、米国心臓学会(AHA)の調査で明らかになった。

 ペットを飼っている人の7割は、「ペットと一緒に過ごす時間」がストレス解消のために貴重だと考えており、その割合は「テレビ視聴」の3割よりも大幅に高かった。

 また、およそ半数(47%)は、ペットを飼うことが身体活動を増やすのに役立つと感じている。ペットがストレス解消に役立っている理由で多いのは、「ペットは寄り添ってくれる」(68%)、「笑わせてくれる」(67%)、「孤独感をやわらげてくれる」(61%)だった。

 働いている飼い主の7割は、ペットを職場やリモートワーク、テレワークに連れていくことができれば、幸福感が増し、仕事の生産性も高まると考えている。

ペットは家族のような存在

 米国心臓学会(AHA)は、オンラインコミュニティなどを通じて、健康的な食事や運動などの生活スタイルを選択しやすくする手段を探るために、「Healthy for Life」キャンペーンを展開している。

 今回の調査は、その一環として「Healthy Bond for Life(健康的な絆で人生をより豊かにする)」という呼びかけのもと実施したもの。全米のペットの飼い主1,000人が回答した。

 ペットは生活していくうえでの家族のような存在であり、「ペット(愛玩動物)」と呼ぶのは適切ではないと考え、「コンパニオンアニマル」と呼んでいる人も多い。実際に調査では、ペットの飼い主の69%は、自分よりもペットの世話をしていることが多いと回答した。

 AHAは、6月・7月・8月の毎金曜日に、SNSにハッシュタグ「#BestFriendFridays」を付けてコメントを投稿し、ペットがストレス軽減や、健康的な生活スタイルを実践するのにどのように役立っているかを示す画像やテキストを共有することを呼びかけている。

米国心臓学会が公開しているビデオ
職場にペットがいると、ストレス軽減や、生産性を向上するのに役立つとしている

ペットは健康に有用

 「慢性的または一定のストレスは、心臓病や脳卒中の主要な危険因子になります」と、米ベイラー医科大学心臓病学部のグレン レバイン教授は言う。レバイン教授は、AHAの「Healthy Bond for Life」活動で中心的な役割をはたしている。

 「ペットを飼うことで、気分が改善し、ストレスが減り、身体活動が増加し、健康的な生活スタイルを促進するのにつながることを示した研究は、これまでも発表されています」としている。

 調査ではペットを飼うことは、ストレスを軽減し、体調を整え、血圧・コレステロール・血糖値などを下げるのに有用であることが示された。さらには、全体的な幸福感を高めるのにも役立つという。

ペットは脳の健康にも良い影響をもたらす

 ペットを飼うことは、時間の経過とともに認知力が低下するのを抑制することに関連しているという研究を、米国神経学会(AAN)が発表した。

 犬や猫などのペットを5年以上飼うことは、高齢者の認知機能の低下を遅らせることにつながるという。

 「これまで研究でも、人間とペットの絆が、血圧やストレス低下などの、健康上のベネフィットをもたらす可能性が示唆されています」と、ミシガン大学医療センター神経学部のティファニー ブレイリー教授は言う。

 「今回の研究では、ペットは飼い主の認知機能の低下を防ぐ可能性も示されました」。

ペットの飼い主の認知スコアは下がりにくい

 研究では、研究の開始時に通常の認知スキルをもっていた平均年齢65歳の1,369人の高齢者のデータを解析した。うち53%がペットを所有し、32%が5年以上の長期間ペットを飼っていた。

 健診データ、医療機関での受療行動、認知テストの結果などを解析した結果、6年間でペットの飼い主の認知スコアはゆっくりと低下したものの、ペットを飼っていない人に比べ、平均した1.2ポイント高い認知複合スコアをもっていることが示された。

 「ペットを飼うことで、潜在的なストレス緩衝の効果を得られる可能性が考えられます。ストレスは認知機能にも悪影響をもたらします」と、ブレイリー教授は言う。

 「ペットの世話をすることで、身体活動量を増やすこともでき、メンタルにも役立つ可能性があります。ペットを飼うことと健康との関連やメカニズムについて、さらに研究が必要です」。

 この研究は、米国国立衛生研究所(NIH)、国立心肺血液研究所(NHLBI)、米国国立老化研究所(NIA)の支援を得て行われた。

ペットの飼い主に必要な10の条件

 一方で、動物を飼うときに、注意しなければならない点もある。「ペットを飼うということは、そのペットの命を生涯預かるという覚悟もいります」と、日本動物愛護協会は呼びかけている。

 同協会は、ペットの飼い主に必要な10の条件を挙げている。

  1. 住宅がペットを飼える状況にあること
  2. ペットを迎えることに家族全員の合意があること
  3. 動物アレルギーの心配がないこと
  4. そのペットの寿命まで(終生飼養)飼育する覚悟があること
  5. 世話をする体力があり、その時間をさけること
  6. 高齢になったペットの介護をする心構えがあること
  7. 経済的負担を考慮すること
  8. 必要なしつけと周囲への配慮ができること
  9. 引っ越しや転勤の際にも継続飼養する覚悟があること
  10. 飼えなくなった場合の受け皿を考えておくこと

 その他にも、▼ペットと遊んだり、食事をしたり、後片付けをしたりする場合は、必ず手洗いをする、▼ペットの健康管理も必要、▼ペットのために衛生的な環境を用意する、▼子供たちに動物との交流の仕方を教える、▼野生生物には手を触れず、野生のままに保つ、といったことも求められる。

New survey: 95% of pet parents rely on their pet for stress relief (米国心臓学会 2022年6月20日)
Pet Ownership and Cardiovascular Risk (Circulation 2013年5月9日)
Welcome to Best Friend Fridays (米国心臓学会 2021年5月20日)
Do pets have a positive effect on your brain health? (米国神経学会 2022年2月23日)
飼い主に必要な10の条件 (日本動物愛護協会)
How to Stay Healthy Around Pets (米国疾病予防管理センター 2022年4月29日)
[Terahata]
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