児童虐待防止対策を更に推進 こども家庭庁創設を前に、より一層の取り組み強化を~一時保護時の子どもの聴取援助支援員養成など
厚生労働省はこのほど児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議を開き、9月2日付で「児童虐待防止対策の更なる推進について」を決定した。
虐待で死亡する事件が後を立たない現状を踏まえ、令和5年4月のこども家庭庁創設を前に、より一層の取り組み強化を図るのが目的。
9月に公表された2021年度における全国の児童相談所による児童虐待の相談対応件数は、過去最多の20万7,659件(速報値)で、前年比2,615件の増加。心理的虐待の割合が最も多く、次いで身体的虐待の割合が多い。1990年度の統計開始から31年連続で増えており、児童虐待防止対策の更なる推進が求められている。

国はこれまでの取り組みを踏まえつつ、虐待予防のための早期対応、発生時の迅速な対応、虐待を受けた子どもの自立支援にいたるまで、切れ目なく支援する体制の構築に尽力。こども家庭庁の創設を来年4月に控え、今年6月に成立した改正児童福祉法の施行を円滑に進めるためにも、これから力を入れる取り組み事項をまとめ、総合的な対策として示した。
改正児童福祉法では、児童相談所が虐待を受けた子どもを一時保護するとき、子ども本人からの意見聴取を義務付けた。そのため、意見表明を援助する支援員の養成カリキュラム作成や、こどもの権利擁護全般のガイドライン作成に向けて検討を始める。
児童相談所と市町村の体制強化については、質と量の両面から人員体制を強化。「こども家庭センター」の全国展開に努め、児童福祉と母子保健について一体的に相談支援する。
そのうえで、こども家庭福祉の認定資格を導入し、児童相談所や市町村、児童福祉施設や地域子育て機関などで任用が進むよう方策を検討する。また児童相談所および市町村の体制強化を図るため、児童虐待防止対策体制総合強化プランに代わる次期プランを年内に策定する、としている。
ICTの活用については、児童相談所における一時保護の判断に役立つAIツールを設計開発しており、令和6年度での運用を目指すという。
ほかにも児童虐待の発生予防・早期発見や適切な一時保護の実施、関係機関における事案への対応の強化などにおいて強化すべきポイントをまとめている。
「こどもまんなか社会の実現のため、こども家庭庁の創設を待たずにできることから速やかに、着実に取り組む」としていて、常にこどもの最善の利益を第一に対応を進めていく方針。


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