11月は「過労死等防止啓発月間」&「しわ寄せ」防止キャンペーン月間 全国でシンポジウム開催
厚生労働省は毎年11月を「過労死等防止啓発月間」とし、過労死等をなくすための啓発を重点的に実施している。
期間中は全国で過労死等防止対策推進シンポジウム(参加無料、要事前申し込み)を開催。また長時間労働の是正や賃金不払い残業の解消などを目指すキャンペーンも展開する。
「過労死等」とは、業務で過重な負荷がかかって脳血管疾患や心臓疾患で死亡したり、心理的負荷で精神障害をきたして自殺したりするほか、死亡にいたらなくても脳血管疾患や心臓疾患、精神障害を起こすことを言う。
令和3年7月30日に閣議決定された新しい「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では、令和7年までに、週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下にする、としている。
令和4年版過労死等防止対策白書によると、1週間の就業時間が60時間以上ある雇用者(非農林業)の割合は、平成15年(2003年)、平成16年(2004年)の12.2%をピークに減少傾向にある。令和3年の月末1週間の就業時間が60時間以上である雇用者数は290万人で、前年比2万人減となったが、依然として長時間労働の常態化が認められる。

そのため厚生労働省は11月を「過労死等防止啓発月間」とし、国民への周知・啓発として「過労死等防止対策推進シンポジウム」を全国で開催。<特設サイト>から申し込めば、誰でも無料で参加できる。
また「過剰労働解消キャンペーン」を11月に実施。長時間労働が疑われる事業場などへの重点監督、広報の強化などを図る。
11月1日から5日(3日を除く)までを過重労働相談受付集中期間とし、全国の都道府県労働局・労働基準監督署等の相談窓口で、労働相談と労働基準関係法令違反が疑われる事業場の情報を積極的に受け付ける予定。5日は労働基準監督官が特別労働相談を専用ダイヤル(0120-794-713、9時から17時まで)で指導、助言も行う。
同時に11月は「しわ寄せ」防止キャンペーンも実施する。これは大企業や親事業者が長時間労働を削減した分、下請けなど中小企業者に、適正なコスト負担を伴わず、短納期での発注や急な仕様変更などを強いる「しわ寄せ」を防止しようというもの。
ポスターやリーフレット、特設サイトでの広報を強化し、中小企業や個人事業主、フリーランスが抱える取引上の悩み相談を受け付ける「下請かけこみ寺」などを紹介している。



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