ニュース

【新型コロナ】運動がワクチン効果を高める ウォーキングなどの適度な運動によりワクチン効果は3倍に

 運動をする習慣があると、ワクチン接種の効果を高められ、運動量が多いほど、新型コロナの重症化を予防する効果をより強められる可能性があるという研究が発表された。

 ウォーキングなどの適度な運動を毎日行うことは、肥満症や2型糖尿病、心臓病などの深刻な疾患を予防・改善するために有用であるだけでなく、免疫が向上し、新型コロナなどのウイルス感染症に対しても予防効果を期待できるという。

 「運動は、ワクチンの有効性を高めるための簡便で費用対効果の高い方法となります。新型コロナがもたらすリスクを軽減し、重症化になり入院が必要となるのを防ぐのに役立ちます」と、研究者は指摘している。

運動をするとワクチン効果を高められる

 運動をする習慣があると、ワクチンの追加接種の効果を高められ、運動量が多いほど、新型コロナの重症化を予防する効果をより強められる可能性があるという研究を、南アフリカのウィットウォーターズランド大学が発表した。

 「運動や身体活動を習慣として行うことで、新型コロナがもたらす深刻な影響から体を守れる可能性があります」と、同大学スポーツ医療学部のジョン パトリシオス教授は言う。

 今回の研究では、運動をすることは、新型コロナによる入院・集中治療・人工呼吸器の使用・死亡のリスクを軽減するのに役立つことが示された。

 さらに、運動をする習慣は、新型コロナのワクチンの効果も高めることが明らかになった。

 「運動を習慣として行うことは、ワクチンの有効性を高めるための簡便で費用対効果の高い方法となります。運動は、新型コロナがもたらすリスクを軽減し、重症化になり入院が必要となるのを防ぐのに役立ちます」と、パトリシオス教授は指摘している。

 「運動や身体活動への取り組みを奨励することは、公衆衛生での重要な課題となっています」としている。研究成果は、「British Journal of Sports Medicine」にオンライン掲載された。

約20万人の医療従事者を調査

 これまのでの研究で、さまざまな感染症に対して、ワクチン予防接種に運動・身体活動を組み合わせると、体の抗体反応を高める相加効果を得られることを示されている。しかし、それが新型コロナウイルスに対してもあてはまるかは不明だった。

 研究グループは、合計19万6,444人の医療従事者を対象に、匿名化された医療記録や、新型コロナワクチンの接種状況、医療保険や健康増進・行動変容プログラムに登録された、歩数計や活動量計で記録した身体活動などについて、2年間のデータを調べた。

 参加者の運動・身体活動の程度により、低・中・高の3つのグループに層別化し、身体活動と新型コロナのワクチン接種、感染や入院などのリスクについて解析した。

 身体活動のレベルが高いグループ(7万9,952人)は、ウォーキングなどの活発な運動・身体活動を週に150分以上、中程度のグループ(6万2,721人)は60~149分、低いグループ(53,771人)は60分未満、それぞれ行っていた。

運動習慣はウイルス感染症に対しても予防効果を発揮

 解析した結果、ワクチンの追加接種を受けた個人の、新型コロナに関連する入院に対するワクチンの有効性は、身体活動の高レベルのグループでは85.8%、中レベルのグループでは72.1%、低レベルのグループでは60.0%となり、身体活動の多い人ほどワクチンの有効性が高まることが示された。

 さらに、ワクチン予防接種を受けているものの、身体活動のレベルがもっと低いグループでは、新型コロナにより入院するリスクが、中レベルのグループに比べて1.4倍に、高レベルのグループに比べて2.8倍に、それぞれ上昇した。

 「運動を習慣として行うことは、ワクチンの有効性を高め、新型コロナによる入院のリスクを下げることと関連していることが示されました」と、パトリシオス教授は言う。

 「運動の頻度や量を増やすことは、より高いワクチン効果と関連しているという、用量反応もみられました」。

 「これは、運動・身体活動を習慣として行うことを推奨する、世界保健機関(WHO)の声明を支持するものです。週に150~300分の適度な運動を行うことは、肥満症や2型糖尿病、心臓病などの深刻な疾患を予防・改善するために有用であるだけでなく、ウイルス感染症に対しても予防効果を期待できます」としている。

運動はミトコンドリアの働きを高める

 研究者は「運動や身体活動が、ワクチン接種について、どのような促進効果をもたらすのかについては、完全には解明されていません」としながらも、「運動により抗体レベルが向上したり、T細胞による免疫監視を改善し、さらには心理社会的要因の組み合わせにより効果がもたらされる可能性が考えられます」と指摘している。

 ミトコンドリアは、ほぼすべての細胞にある細胞小器官で、「細胞のエネルギー生産工場」とも言われ、グルコース(糖)を原料に、「生体のエネルギー通貨」と呼ばれる「アデノシン三リン酸(ATP)」を合成している。

 運動や身体活動は、ミトコンドリアの質を維持するのに役立ち、損傷したミトコンドリアの修復や除去も促進し、新しいミトコンドリアの成長を促進するのに役立つと考えられている。

 ただし研究グループは、今回の研究は観察研究であるため、原因や因果関係を特定することはできないと付け加えている。今回の結果は、他の集団、ウイルス変異体、他の種類の新型コロナワクチンなどについては一般化できない可能性もあるという。

 「運動を習慣として行うことは、ワクチンの有効性を高めるための簡便で費用対効果の高い方法となります。運動は、新型コロナがもたらすリスクを軽減し、重症化になり入院が必要となるのを防ぐのに役立ちます。運動や身体活動に取り組むことを奨励することは、公衆衛生での重要な課題となっています」と、研究グループでは結論している。

Regular physical activity may boost effectiveness of Covid-19 jab (ウィットウォーターズランド大学 2022年10月25日)
Association between regular physical activity and the protective effect of vaccination against SARS-CoV-2 in a South African case-control study (British Journal of Sports Medicine 2022年10月30日)
[Terahata]

「特定保健指導」に関するニュース

2022年11月22日
特定健診を受けた日に健康相談が受けられるサービスを開始 健診結果に関わらず保健師などが対応 京都府
2022年11月22日
高齢者の「精神的フレイル」を簡易に検査 うつや不安症を尿検査で判定できる可能性 早期介入で改善
2022年11月21日
「果物」を食べるとうつ病リスクが3分の1に減少 フラボノイドなどの果物の天然成分がうつに予防的に働く?
2022年11月21日
健康管理アプリは医療者や専門職による支援・サポートが加わると効果的 アプリのみだと効果なし
2022年11月15日
【新コーナー】働く人に伝えたい!薬との付き合い方/日本産業衛生学会 全国協議会レポートなど 「トピックス・レポート」より
2022年11月14日
保健指導を受けた人は自分の食事は健康的になったと過大評価しがち 実際には大きな変化はなし
2022年11月14日
【新型コロナ】子供の運動不足も深刻 動作時のバランス能力が低下 不規則な生活やスクリーンタイムは増加
2022年11月14日
「慢性腎臓病(CKD)」は新たな国民病 「GFR値59以下の人は医師に相談を」と呼びかけ 腎臓病協会など
2022年11月14日
日本初の全世代に対応した「遠隔メンタルヘルスケア」 若年者のメンタルヘルスに焦点 精神・神経医療研究センターなど
2022年11月14日
外食産業を活用して肥満・メタボの課題を解決 京都大学とゼンショーが「食と健康科学研究講座」を開設
DASHプログラム

トピックス・レポート

無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(毎週木曜日・約11,000通)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶