ニュース

更年期の女性が体重を増やすのは宿命? 「対処方法はあります、あきらめないで」と更年期障害学会

 多くの中年女性は、更年期障害や加齢にともなう代謝の変化により、体重増加を経験し、孤独に悩んでいる。これはどうしようもない宿命のようなものだと、あきらめている女性も少なくない。

 「閉経を迎えた女性に適切な体重管理のアドバイスを提供できる女性のヘルスケアの専門家は増えています。更年期障害の症状があって、日常生活に多大に影響しているようであれば、婦人科外来あるいは更年期の専門外来を受診されることもお勧めします」と、研究者は指摘している。

更年期の女性が体重を増やすのは宿命?
「いえいえ、そんなことはありません」

 多くの中年女性は、更年期障害や加齢にともなう代謝の変化により、体重増加を経験し、孤独に悩んでいる。これはどうしようもない宿命のようなものだと、あきらめている女性も少なくない。

 しかし、北米更年期障害学会(NAMS)の研究者は、「女性が年齢を重ねるにつれ体重が増えるのは、宿命ではありません。適切な対処をすれば改善できることです」と、述べている。

 「食事スタイルをより健康的にして、運動や身体活動を習慣として行うなど、積極的な取り組みをすれば、女性の中年期の体重増加は避けられます」と、メイヨー クリニック女性健康センターのエクタ カプール氏は言う。

年齢を重ねると体重が増えやすくなるのはなぜ?

 10月にアトランタで開催された北米更年期障害学会(NAMS)年次総会でのプレゼンテーションでは、女性の加齢と更年期障害の影響と、体重管理のための戦略についての情報が共有された。

 体重増加に悩んでいる中年期の女性は多く、米国の中年期の女性の3分の2以上は理想的な体重閾値を超えているという。加齢にともなう代謝の低下により、男女ともに中年期以降に体重が増加しやすくなるが、女性は更年期障害のためにさらに複雑な課題を抱えることになる。

 一般的に、年齢を重ねるにつれて、脂肪を燃焼する褐色脂肪の活動が減り、さらに筋肉量も減少するため、体の代謝能力は下がっていく。

 さらに、女性は更年期になると、卵巣からの女性ホルモンの分泌が低下することにより、さまざまな身体的・精神的変化が引き起こされることはよく知られている。

 女性ホルモンの減少により、除脂肪体重の減少および内臓脂肪量の増加をともない、体組成に変化があらわれ、腸内細菌叢にも変化があらわれる。

 更年期障害で一般的にみられる2つの合併症である「睡眠障害」と「気分障害」も、こうした変化による影響を悪化させ、体重やウエスト周囲径のマネジメントをさらに難しくする。

 「のぼせ」「ほてり」「発汗」は、多くの更年期の女性が経験する症状だが、体重増加により悪化しやすいことが知られている。さらに、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症などのリスクも高まるおそれがある。

 肥満は、乳がんや子宮内膜がんなどの女性特有のがんのリスクも上昇させる。心血管代謝の異常による冠動脈疾患のリスクにも注意する必要が出てくる。

更年期を迎えた女性も食事療法と運動療法は必要

 「女性の多くは、年齢を重ねて、更年期を迎えるにつれ、体重増加などの多くの困難な戦いに悩まされることになります。だからといって、この問題に対処する方法がないわけではありません」と、NAMSの医療ディレクターであるステファニー フォービオン氏は言う。

 健康的な体重を維持するために、もっとも効果的な介入は、依然として食事で摂取カロリーを管理することだという。さらに、ウォーキングや筋トレなどの運動や身体活動は、はじめのうちは食事療法に比べ効果的ではないにしても、基礎代謝の低下などにより体重管理が難しくなると、運動療法も重要な役割を果たし、多くの健康上のベネフィットをもたらすようになるという。

 さらに、「閉経を迎えた女性に適切な体重管理のアドバイスを提供できる女性のヘルスケアの専門家は増えています。更年期障害の症状があって、日常生活に多大に影響しているようであれば、婦人科外来あるいは更年期の専門外来を受診されることもお勧めします」としている。

 欧米では、肥満症の治療や減量のための医薬品も保険適用で利用できるようになっている。医療コスト、他の薬との相互作用、有害事象、長期的な影響などについて、かかりつけの医師などとよく相談する必要はあるものの、これも効果的な手段となりえる。

 「女性が更年期障害を迎えるにあたり、ご自分の健康管理について適切な知識をもち、体重増加を予防・管理するための実用的なヒントを知っておくことが必要です。そのために、ご自分の体と健康についてさまざまな相談ができる、婦人科のかかりつけ医をもつことも勧められます」としている。

北米更年期障害学会
Are Midlife Women Doomed to Gain Weight? (北米更年期障害学会 2022年10月12日)

一般社団法人 日本女性医学学会
女性の更年期障害の治療として日本でも、カウンセリング、ホルモン補充療法(HRT)、漢方療法、睡眠導入薬・抗うつ薬・抗不安薬の処方などが行われている。日本女性医学学会のサイトでは、更年期女性にみられる症状や治療法などについて解説されている。
[Terahata]
side_メルマガバナー

「特定保健指導」に関するニュース

2025年06月10日
【アプリ活用で運動不足を解消】1日の歩数を増やすのに効果的 大阪府健康アプリの効果を8万人超で検証
2025年06月09日
【睡眠改善の最新情報】大人も子供も睡眠不足 スマホと専用アプリで睡眠を改善 良い睡眠をとるためのポイントは?
2025年06月09日
健康状態が良好で職場で働きがいがあると仕事のパフォーマンスが向上 労働者の健康を良好に維持する取り組みが必要
2025年06月09日
ヨガは肥満・メタボのある人の体重管理に役立つ ヨガは暑い夏にも涼しい部屋でできる ひざの痛みも軽減
2025年06月05日
【専門職向けアンケート】飲酒量低減・減酒に向けた酒類メーカーの取り組みについての意識調査(第2回)
2025年06月02日
【熱中症予防の最新情報】職場の熱中症対策に取り組む企業が増加 全国の熱中症搬送者数を予測するサイトを公開
2025年06月02日
【勤労者の長期病休を調査】長期病休の年齢にともなう変化は男女で異なる 産業保健では性差や年齢差を考慮した支援が必要
2025年06月02日
女性の月経不順リスクに職場の心身ストレスが影響 ストレスチェック活用により女性の健康を支援
2025年06月02日
自然とのふれあいがメンタルヘルスを改善 森が人間の健康とウェルビーイングを高める
2025年05月30日
都民の健康意識は高まるも特定健診の受診率は66% 「都民の健康と医療に関する実態と意識」調査
アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,800名)
登録者の内訳(職種)
  • 医 師 3%
  • 保健師 47%
  • 看護師 11%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 20%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶