ニュース
ドライバーの長時間労働是正へ 改善基準告示を改正-令和6年4月から適用
2023年01月30日
長時間労働の常態化が指摘されているトラック、バス、タクシーなどのドライバーについて、健康や輸送の安全を守るため令和6年4月から、時間外労働の上限規制設置や、勤務間の休息時間の基準見直しなどが実施される。
長距離ドライバーなど長時間労働になりやすい業務上の特性や、長時間の「荷待ち」が慣習化している現状を踏まえ、業界が法改正に対応するには時間が必要と考えられており、厚生労働省は周知・啓発に力を入れている。
年間960時間の上限規制が適用される
「令和3年度過労死等の労災補償状況」によると、運輸・郵便業は過労死等のうち、「脳・心臓疾患」の労災支給決定件数が全業種の中で最多となっており、長時間・荷重労働が問題化している。
そのような中で厚生労働省は令和4年12月4日「改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準/平成元年労働省告示第7号)」を改正。 平成30年の「働き方改革関連法」により一般企業では令和元年(中小企業では令和2年)から時間外労働の上限規制が年720時間とされてきたが、自動車運転業務についても令和6年4月から自動車運転の業務で年960時間の上限規制が適用されることとなる。
1年間の拘束時間の限度や休息時間、連続運転時間の例外などについて見直される。拘束時間とは、始業から就業までの時間のことで、労働時間と休憩時間の合計となり、荷待ちなどの時間や仮眠時間、時間外や休日の労働時間も含まれる。
厚生労働省では、これらの改正について周知するため、「タクシー・ハイヤー運転手」、「トラックドライバー」、「バス運転者」向けにそれぞれポイントを絞ったパンフレットを作り、HPで公開している。
出典:厚生労働省
また長時間労働是正には、荷主・元請運送事業者の都合などによる「長時間の荷待ち」改善が不可欠なことから、労働基準監督署は長時間の荷待ち発生が疑われる業者に「要請」等を実施している。
より一層の徹底を図ろうと、厚労省では「長時間の荷待ちに関する情報メール窓口」を開設。寄せられた情報は、荷主・元請運送事業者に対する「要請」や国土交通省への「情報提供」の参考とする。
働き方・休み方改革シンポジウムのアーカイブ公開中
厚生労働省が2022年11月25日に実施した「働き方・休み方改革シンポジウム」のアーカイブが3月23日まで公開されている。対象は事業主や企業の人事労務担当者、社会保険労務士など。
中央大学大学院戦略経営研究科・佐藤博樹教授による基調講演「働き方改革をどのように進めるのか」や、事例発表&パネルディスカッション「働き方・休み方改革と選択的週休3日制」と「リモートワークなど働き方の新しいスタイルの現状と今後の課題」が収録されている。視聴は無料。
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「産業保健」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要