労働政策審議会安全衛生分科会「第14次労災防止計画案」提示
2種類の指標(数値目標)を設定
厚生労働省の労働政策審議会安全衛生分科会は、2023年度から5カ年の第14次労働災害防止計画に向けて検討を進めてきた。
昨年12月14日に開催された第151回審議会分科会においてその概要がとりまとめられ、アウトプットとアウトカムの2種類の指標(数値目標)が公表された。
多様化し、拡がる健康課題
労働災害防止計画は、戦後の高度成長期における産業災害や職業性疾病の急増を踏まえ、1958年に第1次計画が策定された。その後、社会経済の情勢や技術革新、働き方の変化等に対応しながら、これまで13次にわたって策定されてきた。
近年、職場における労働者の健康保持増進に関する課題は、メンタルヘルスや過重労働、労働者の高年齢化や女性の就業率の増加に伴う健康課題、治療と仕事の両立支援、コロナ禍におけるテレワークの拡大や化学物質の自律管理への対応など、多方面にわたり多様化してきた。それら職場のニーズの変化に対応し、産業保健体制や活動の見直しが必要となってきている。
また現行の第13次労働災害防止計画期間中(2018年度~2022年度)、化学物質による重篤な健康障害の防止や石綿使用建築物の解体等工事への対策の着実な実施が必要となっている。
このような状況を踏まえ、労働災害を少しでも減らし、労働者一人ひとりが安全で健康に働くことができる職場環境の実現に向け、2023年度を初年度として5年間にわたり、国・事業者・労働者等の関係者が目指す目標や重点的に取り組むべき事項を定めた「第14次労働災害防止計画」を策定することになった。
目標数値の達成にはアウトプット指標が重要
第14次労働災害防止計画では、数値目標を2種類に分けて定めることを決めた。事業者が実施する取り組みの目標を「アウトプット指標」、その結果として達成が期待される数値の目安を「アウトカム指標」として示し、重点事項の効果検証を行うこととした。
従来のように対策の達成度を示すアウトカム指標のみを追いかけるのではなく、事業者による取り組みを測定するアウトプット指標を重視する方向性を新たに打ち出した。


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