ひとり親世帯の平均年間収入、母親の272万円と父親の518万円で差〜厚労省調査
厚生労働省はこのほど、令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要を公表した。本調査は母子世帯と父子世帯、それぞれについて、生活の実態や就労状況について調査したもの。
ひとり親世帯の実態として、母子世帯と父子世帯では平均年間収入に大きな差があることや就業状況が明らかになった。
全国ひとり親世帯等調査は、ひとり親世帯に対する福祉対策を充実させる基礎資料を得ることが目的。前回は平成28年に実施されている。
今回の調査は令和3年11月1日、平成27年国勢調査から無作為に抽出した9,100調査区から母子世帯4,105世帯、父子世帯1,329世帯、養育者世帯123世帯を調査客体として実施。 集計客体は母子世帯2,653世帯、父子世帯866世帯、養育者世帯93世帯で、調査結果は推計値として出されている。そのため前回、平成28年度の結果と構成割合を比較する際は留意を必要とする。
結果によると、ひとり親世帯になった理由の割合は、母子世帯は「離婚」が79.5%、「未婚の母」が10.8%、「死別」が5.3%。父子世帯は「離婚」が69.7%で最多だが、次に多いのは「死別」で21.3%。
ひとり親世帯になった時の親の年齢を見ると、母子世帯の平均は34.4歳。割合は「30〜39歳」が最も多く41.8%で、「20〜29歳」が23.1%、「40〜49歳」が22.2%と続く。父子世帯の平均は40.1歳で、割合は多い順に「40〜49歳」37.3%、「30〜39歳」32.8%、「50〜59歳」が9.9%となっている。 ひとり親世帯になった時の末子の年齢は、母子世帯の平均が4.6歳。父子世帯の平均は7.2歳だった。
調査時点における就業状況を見ると、母子世帯の母の86.3%が就業していて、うち「正規の職員・従業員」は48.8%、「パート・アルバイト等」が38.8%。仕事の内容は「事務」が22.9%と最多だが、「正規の職員・従業員」に限ると「専門的・技術的職業」が33.6%と最も多い。同様に「パート・アルバイト等」では「サービス職」が28.9%と最多になる。
一方、父子世帯の父の場合は88.1%が就業しており、うち「正規の職員・従業員」が69.9%、「自営業」が14.8%、「会社などの役員」が7.3%と続く。
ひとり親世帯になったことを契機に転職をした人は、母子世帯で45.5%。その理由は「収入が良くない」が35.4%で最多だった。一方の父子世帯で転職をした人は18.3%で、理由は「労働時間があわない」が25.9%と最も多い。 母親の場合は、母子世帯になる前に不就業であった人のうち、73.7%は現在、就業していると答えた。
ひとり親世帯の母または父自身の令和2年における平均年間収入(社会保障給付金や就労収入、養育費、仕送りなど全てを含めた収入の額)は、母親が272万円、父親が518万円。就労収入だけで見ると母は236万円、父親は496万円。同居親族を含む世帯人数の収入で比べても、母子世帯は373万円、父子世帯は606万円と男女で格差が広がっている。
困っていることについて尋ねた設問では、母子世帯は半数近くが「家計」と答えた。父子世帯でも「家計」が最多だったが、「家事」と答えた人の割合が14.1%で、母子家庭に3.0%より高かった。また「親族の健康・介護」に困っている人の割合は、母子家庭で6.7%、父子家庭で10.9%だった。
相談相手の有無については、母子家庭の母親のうち78.1%が「あり」と答えたのに対し、父子家庭の父親で「あり」と回答した人は54.8%にとどまった。
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