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コロナ禍で孤独を感じる人が増えている 孤独はうつ病や認知症のリスクを高める こうして孤独を解消

 日本を含み世界中で、新型コロナの感染が拡大した影響で、孤独を感じている人は増えている。孤独は、うつ病の発症にも影響する。

 社会的に孤立している人や、社会的な支援がなく孤独になっている人は、認知症を発症するリスクも高いことが、大規模な調査で示された。

 一方、座ったまま過ごす時間を減らし、運動をして体を活発に動かすようになると、孤独を感じにくくなる可能性がある。

 他人に利益となるようにはかったり、他者や社会とのつながりや交流を充実させることで、自身のメンタルヘルス対策にもなるという研究も発表された。

孤独によりうつ病リスクが4~5倍に上昇

 日本を含み世界中で、新型コロナの感染が拡大した影響で、孤独を感じている人は増えている。孤独は、うつ病の発症にも影響する。

 コロナ禍で、疎外感・孤立感・社会的な交流の欠如など、さまざまな側面で孤独を経験している人は、うつ病の発症などのリスクが4~5倍高いことが、カナダのトロント大学が2万人以上の高齢者を対象とした調査で明らかになった。

 研究グループは、パンデミック中の高齢者のうつ病の要因として、▼収入や貯蓄の不足、▼孤独、▼慢性的な痛み、▼医療へのアクセスの困難、▼子供時代の不幸な経験の記憶、▼家庭内の不和や対立などを指摘している。

 「新型コロナのパンデミックは、日常生活のとても多くの面でネガティブな影響をもたらしました。それらは、うつ病のリスクのある人には大きな打撃となりました」と、同大学神経科学科のサプリヤ バーク氏は言う。

 「メンタルヘルスの不調を抱えやすい人を、人生のなるべく早い段階でみつけだし、適切な対処をする必要があります」としている。

孤独により体と心の健康が損なわれる

 社会的に孤立している人や、社会的な支援がなく孤独になっている人は、アルツハイマー病などの認知症を発症するリスクが高いことが、カナダのマギル大学の別の研究で明らかになった。

 研究グループは、英国バイオバンクに参加した50万2,506人と、カナダ縦断老化研究に参加した3万97人のデータを解析した。

 その結果、社会的に孤立している人では、▼喫煙量が多い、▼アルコールの飲み過ぎ、▼睡眠障害が多い、▼活発な運動や身体活動にあまり参加できていない、といった共通する特徴がみられた。

 「これらは、すべて認知症の危険因子として知られています。認知症の発症には、遺伝的なリスクや、潜在的な健康リスクも影響しますが、それらに比べて、社会的孤立は予防的な介入により改善が可能です」と、同大学医療生体工学科のキミア シャフィギ氏は言う。

 たとえば調査では、難聴になり、周囲の音で聞きとるのが難しくなると、孤独を感じる割合は29.0%増加し、社会的支援が不足する割合は9.86%増加することが示された。

 一方、仲間といっしょに運動をする習慣をつくると、孤独を感じる割合は20.1%減少し、社会的支援が不十分になる割合は26.9%減少することも分かった。

健康的な食事や運動により孤独を解消

 米国のジョージ メイソン大学による別の調査によると、座ったまま過ごす時間が長かったり、運動をして体を活発に動かすことが少ない人は、孤独を感じやすくなる傾向がある。

 「孤独は、過体重や肥満、バランスの偏った食事、運動不足など、不健康な生活スタイルと相互に関係していると考えられます」と、同大学保健福祉学部のローレンス チェスキン氏は言う。

 「孤独を減らすための介入により、日常での活動にも良い影響があらわれ、健康増進にプラスの効果がもたらされる可能性があります」としている。

 研究グループは、264人の学生を対象に調査し、孤独感が高い人では、「1日の座位時間が長い」(19.2%)、「体を活発に動かさず、運動不足になっている」(53.8%)といった特徴があることを明らかにした。

ボランティア活動に参加すると孤独を軽減できる

 それでは、孤独を解消するために、どのような工夫をすると良いだろうか?

 ボランティア活動に参加したり、他人にとって助けや利益になる行動をすると、地域社会で支援している人たちとのつながりができたり、新たな出会いにもつながりやすいことが、英国のキングス カレッジ ロンドンの研究で明らかになっている。

 他人に利益となるようにはかったり、他人の幸福を願うことは、自身のメンタルヘルス対策にもなるという。地域社会に役立つ行動をすることも、高い達成感や充実感、さらには自尊心の高まりにつながる。こうした利他行動が、孤独を軽減するのに役立つとしている。

 研究グループが、21ヵ国の約20万人を対象とした28件の研究のデータを解析した結果、健康状態のすぐれない家族などの介護や世話をすることは、より高いレベルの孤独と関連していることが分かった。

 一方、ボランティア活動などに参加することは、50 歳以上の人の孤独のレベルを低減することも分かった。

他者を助けたりケアすることが喜びや達成感に

 「孤独は、人を孤立させ、他者から切り離されたと感じさせるものであり、身体と精神の健康にさまざまな悪影響をもたらします」と、同大学精神医学研究所のサミア アクター カーン氏は言う。

 「他者を助けたりケアすることは、しばしば愛情のこもった働きかけになり、深い喜びと達成感をもたらすことがあります。中高年や高齢者に、有意義な貢献をしたいという意欲のある人は多くいます」。

 「孤独を感じやすい人を特定し、そうした人の孤独を防いだり、軽減するための的を絞った解決策を開発することが求められています」としている。

1 in 8 older adults experienced depression for the first time during the COVID-19 pandemic (トロント大学 2022年11月24日)
Incident and Recurrent Depression among Adults Aged 50 Years and Older during the COVID-19 Pandemic: A Longitudinal Analysis of the Canadian Longitudinal Study on Aging (International Journal of Environmental Research and Public Health 2022年11月15日)
Study finds new association between social isolation and dementia risk factors (PLOS 2023年2月1日)
Social isolation is linked to classical risk factors of Alzheimer's disease-related dementias (PLOS ONE 2023年2月1日)
Loneliness associated with unhealthful diets and physical inactivity among U.S. college students (ジョージ メイソン大学 2023年1月19日)
Loneliness is associated with unhealthful dietary behaviors and physical inactivity among US college students (Journal of American College Health 2022年11月17日)
Volunteering and caring for grandchildren protects from loneliness for the over 50s - Vast review of current research internationally shows (Taylor & Francis Group 2022年11月23日)
Caregiving, volunteering, and loneliness in middle-aged and older adults: a systematic review (Aging and Mental Health 2022年11月23日)
Loneliness predicts development of type 2 diabetes(キングス カレッジ ロンドン 2020年9月16日)
Loneliness and type 2 diabetes incidence: findings from the English Longitudinal Study of Ageing(Diabetologia 2020年9月15日)
[Terahata]
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