ニュース
子供の眠りをスマホでアドバイスするアプリ 1年間の睡眠指導で効果を実証 「子供の睡眠が改善」「育児にも自信」
2023年04月03日
幼児の睡眠を改善させるアプリを用いた1年間の指導により、幼児の睡眠習慣を改善でき、養育者の子育て支援にも役立つことが、明らかになった。
子供が「早寝・早起きになった」「寝つきの問題などに改善があった」「子育てがうまくできている感覚を得られた」「子育ての孤独・不安感がやわらいだ」といった感想が利用者から聞かれたという。
アプリは、大阪大学大学院連合小児発達学研究科が監修し制作されたもの。
子供の眠りをスマホでアドバイスする「ねんねナビ」
多くの保護者や養育者にとって、悩みのひとつになっているのが、子供の睡眠の問題だ。夜泣き・寝ぐずり・お昼寝してくれない・誰に相談したら良いか分からないなど、子供の睡眠の悩みは、育児ストレスの要因になっている。日本の子供の睡眠時間は、世界一短いという報告もある。 そこで、大阪大学大学院連合小児発達学研究科の監修のもと、パナソニック アドバンストテクノロジーの技術提供により開発されたのが、双方向性睡眠啓発アプリ「ねんねナビ」だ。* スマートフォンで「ねんねナビ」を使うと、養育者は子供の生活習慣を入力するだけで、「睡眠習慣アドバイスAI」による生活習慣改善アドバイスが受けられ、子供の睡眠習慣改善を期待できる。 アプリを使用するときに必要となる情報は、子供の月齢、生活リズムについての情報(入園しているか、保護者に夜勤があるかなど)、就寝・起床時間、睡眠に関する生活習慣(寝る直前にしていること、昼寝の時刻・長さ、メディア使用時間)など。 これまで、同大学が自治体と行った実証実験で、このアプリを使用すると、実際に子供の睡眠が改善し、養育者の心理的負担を軽減する効果を得られることが確認されている。 実験では、子供が「早寝・早起きになった」「寝つきの問題などに改善があった」「子育てがうまくできている感覚を得られた」「子育ての孤独・不安感がやわらいだ」といった感想が利用者から聞かれたという。* 「ねんねナビ」は国立大学法人大阪大学の商標
子供の眠りのアドバイスサービス「ねんねナビ」
出典:パナソニック アドバンストテクノロジー
幼児の睡眠を改善するアプリは子育て支援に役立つ
大阪大学などの研究グループはこのほど、東大阪市で「ねんねナビ」を使い、幼児の養育者へ1年間の睡眠指導を行う実験を行った。 その結果、幼児の睡眠を改善させるアプリを用いた指導により、幼児の睡眠習慣を改善できること、また、養育者の子育て支援にも役立つことが示された。 研究は、研究は、大阪大学大学院連合小児発達学研究科の吉崎亜里香招へい教員、毛利育子准教授、谷池雅子教授らによるもの。研究成果は、米国科学誌「JMIR mHealth and uHealth」に掲載された。 「睡眠の問題をもつ幼児は多いものの、小児睡眠の専門家は少なく、共働き家庭が多い日本では面談による指導が難しいなど、十分な指導ができていません。アプリを使うと、1度に多くの養育者にアドバイスをするのが可能になります」と、研究グループでは述べている。 「睡眠リズムを改善することで、子供の発達(大人に対する社会的なやり取り)も伸びる可能性が示されました。日本の幼児の睡眠をよくすることを通じて、育児を支え、よりよい発達軌跡となることが期待されます」としている。
「ねんねナビ」は、養育者へのエンパワーメントとコンプライアンスを重視し、養育者と睡眠の専門家のあいだの緊密な双方向性のやりとりにより、PDCAサイクルを回しながら、行動療法にひとづくアプローチにより、幼児の睡眠習慣を改善するのが特徴となっている。
出典:大阪大学大学院連合小児発達学研究科、2023年
それぞれの家庭に合わせたスモールステップの睡眠改善
研究グループは今回、東大阪市の36人の家庭を対象に、双方向性睡眠啓発アプリ「ねんねナビ」を用い、1年間の睡眠指導を行い、幼児の睡眠習慣を改善できるかを調べる社会実証を行った(2017年9月~2019年4月に実施)。 アプリは、家庭の実情に合わせて、スモールステップでアドバイスを複数送信し、そのなかから養育者が1つを選んで実行するという、"養育者ファースト"のものとして開発されている。養育者のエンパワーメントにも配慮したものとしては世界で最初のものだという。 その結果、子供の起床時刻が早まる、寝つきがよくなるなど、睡眠習慣上の改善が認められたのに加えて、養育者からは「育児に自信が出た」という声が多数聞かれた。さらに、睡眠リズムが一定した子供では、大人に対する社会的なやり取りに伸びがみられた。1年間での介入で、ドロップアウトは8%と少なかった。 今回の研究により、各家庭にそったスモールステップの睡眠習慣の改善のアドバイスが、同時に養育者の子育て効力感を高めることも解明された。このアプリにより、子供の睡眠習慣を改善し、家庭機能を高めることで、健やかな子供の発達をサポートできるようになると期待される。 大阪大学生命科学・医学系 連合小児発達学研究科Improving Children's Sleep Habits Using an Interactive Smartphone App: Community-Based Intervention Study (JMIR mHealth and uHealth 2023年2月10日) 子どもの眠りのアドバイスサービス ねんねナビ (パナソニック アドバンストテクノロジー)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「特定保健指導」に関するニュース
- 2024年04月30日
- タバコは歯を失う原因に 認知症リスクも上昇 禁煙すれば歯を守れて認知症も予防できる可能性が
- 2024年04月25日
-
厚労省「地域・職域連携ポータルサイト」を開設
人生100年時代を迎え、保健事業の継続性は不可欠 - 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月22日
- 【更年期障害の最新情報】更年期は健康な老化の入り口 必要な治療を受けられることが望ましい
- 2024年04月22日
- 【肺がん】進行した人は「健診やがん検診を受けていれば良かった」と後悔 早期発見できた人は生存率が高い
- 2024年04月16日
- 塩分のとりすぎが高血圧や肥満の原因に 代替塩を使うと高血圧リスクは40%減少 日本人の減塩は優先課題
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要