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労働者の疲労状況を確認 「疲労蓄積度チェックリスト」改正-立場別で使える活用ガイド集も発行

 中央労働災害防止協会による「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」と「家族による労働者の疲労蓄積度チェックリスト」がこのほど改正された。

 チェックリストの活用ガイド集も出され、テレワークにおける長時間労働対策の例が含まれるなど、昨今の事情に応じた内容となっている。厚生労働省は関係団体などに活用を呼びかけている。

精神的負担を量、コントロール、人間関係に細分化 テレワークにも考慮
 「労働安全衛生法」で規定している医師による面接指導は、労働安全衛生規則において「休憩時間を除き1週間あたり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月あたり八十時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であること」と要件を規定している。

 この疲労の蓄積状況を確認するため平成16年6月、中央労働災害防止協会が「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」と「家族による労働者の疲労蓄積度チェックリスト」を作成。広く活用されてきた。チェックリストは、中央労働災害防止協会のホームページにも掲載され、Web上で診断できるようになっている。

中央労働災害防止協会「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」

 一方、作成から15年以上が経過し、働く人々を取り巻く情勢が変化していることから、有識者による検討委員会で内容の見直しが進められてきた。

 その結果、最新の知見をふまえて食欲、睡眠、勤務間インターバルに関する項目追加などを実施。またテレワークを考慮したチェックリスト項目を増やしたほか、精神的負担を「量」「コントロール」「人間関係」に細分化した項目に設定した。

 「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」の活用場面としては、

  • 過重労働になっている労働者本人が疲労や体調不良を感じたときに使用
  • 事業者が事業場で定めた労働時間を超える労働者の健康相談要否の判断に使用
  • 事業者が長時間労働の恒常化している部署に対して実施し、管理職などと結果を共有して対応策を検討
  • 産業医が労働安全衛生法法令に基づく面接指導の際に参考
  • 産業医などが健康診断の事後措置の際にチェックし保健指導の際に参考

 とすることが主に考えられている。

 中央労働災害防止協会は活用ガイドを作成し、事業者(人事労務担当者)、管理・監督者、産業医・産業保健スタッフ、労働者本人のそれぞれの立場で、過重労働による健康被害を防ぐ具体的な実施事項を紹介。「テレワークによる長時間労働対策の例」もコラムで言及し、休日や深夜におけるメール送付や社内システムへのアクセス制限など、具体的な対策について述べている。

労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)
[本人用・家族用]活用ガイド

 厚生労働省は過労死等防止啓発月間(11月)の特設サイトを設置し、「STOP!過労死」を呼びかけているが、今回のチェックリスト改正についても全国の関係団体などに周知をはかり、活用をうながしている。

労働者の疲労蓄積度 自己診断チェックリスト(2023年改正版)[本人用・家族用]活用ガイド(中央労働災害防止協会)
労働者の疲労蓄積度チェックリスト(中央労働災害防止協会)
労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストの見直しに関する調査研究 報告書(中央労働災害防止協会)
「過労死等防止啓発月間」特設サイト
[yoshioka]
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