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どんな女性が乳がん検診を受けていないかを調査 がん検診の受診率を高めるために何が必要?
2023年07月31日
日本では、乳がん検診の受診率の低さが課題となっている。乳がん検診を受けない人の特徴を明らかにしたと、筑波大学が発表した。
▼年齢(55〜64歳、65〜74歳)、▼健康保険のタイプ(国⺠健康保険加⼊者)、▼過去1年以内の特定健診が未受診であること(8点)――の3つで構成されるリスクスコアにより、乳がん検診の未受診者を予測できることも明らかにした。
乳がん検診を受診しない可能性の⾼い⼥性を把握し、受診への働きかけを行えば、がん検診の受診率を高められる可能性がある。
乳がん検診を受けない女性の特徴は「特定健診の未受診」など
日本では、乳がん検診の受診率の低さが課題となっている。国は2016年度までにがん検診受診率を50%以上にする⽬標を掲げていたが、乳がんでは2019年になってもその⽬標が達成されなかった。 乳がん検診の受診率を向上するために、どのような⼈々が検診を受けないのかを明らかにすることが重要となる。 そこで筑波大学は、乳がん検診を受けない女性の特徴を明らかにし、さらに未受診を予測する簡易リスクスコアを開発した。 分析した結果、▼50歳以上、▼低い教育状況、▼低い世帯⽀出、▼加⼊している健康保険のタイプが国⺠健康保険、▼⼩中規模企業の被雇⽤や⾮正規雇⽤、▼特定健診の未受診、▼医療機関の定期的な通院がないことなどが、乳がん検診の未受診と関連することが分かった。 さらに、▼年齢(55〜64歳が1点、65〜74歳が3点)、▼健康保険のタイプ(国⺠健康保険加⼊者の場合1点)、▼過去1年以内の特定健診が未受診であること(8点)――の3つの変数で構成されるリスクスコアが、乳がん検診未受診者をよく予測できることも明らかにした。この3つの関連項⽬は、影響⼒が⼤きく客観的に把握できるとしている。 研究は、筑波大学医学医療系 ヘルスサービス開発研究センターの田宮菜奈子教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Breast cancer」に掲載された。どんな人ががん検診を受けていないかを解析 個別の対策を
乳がんによる死亡を減らすために早期発見が重要
研究グループは今回、3年ごとに行われる国民生活基礎調査の大規模調査のデータを解析。2016年と2019年の大規模調査では「あなたは過去2年間に、乳がん検診(マンモグラフィ撮影や乳房超音波[エコー]検査など)を受けましたか」と回答する項目が設けられていた。 2016年と2019年の乳がん検診の受診者の割合はそれぞれ46.7%と48.7%。この情報を利用し、40〜74歳の女性を対象に、乳がん検診未受診に関連する要因を解析した。さらに、これらのデータから、乳がん検診未受診を予測するリスクスコアを開発した。 先行研究と乳腺科医の意見をもとに、調査票から12個の変数(年齢、婚姻状況、教育状況、1人当たりの支出、健康保険、雇用状況、喫煙状況、飲酒状況、自覚的健康度、K6スコア(うつ病・不安障害の発見に使う調査手法)、1年以内の特定健診の受診、定期的な医療機関への通院)を説明変数として選択し、過去2年間の乳がん検診の未受診を目的変数として多変量ロジスティック回帰分析を行った。 その結果、乳がん検診の未受診と統計学的に有意な関連を示した変数は、「50歳以上」「独身・離婚・離別」「低い教育状況」「低い世帯支出」「(加入している健康保険のタイプとして)国民健康保険」「小中規模企業の被雇用」「非正規雇用」「喫煙」「非飲酒」「中・高リスクの飲酒」「低い自覚的健康度」「高いK6スコア」「特定健診の未受診」「医療機関の定期的な通院がないこと」だった。 これらの変数の回帰係数を整数に近似した結果、最終的に9項目のリスクスコアを作成した。さらにここから、がん検診を担う自治体などの保険者が客観的に把握できる3項目の簡易リスクスコアを作成。3項目のROC曲線下面積(AUC)は0.720であり、良好な識別能が示された。
乳がん検診未受診を予測するリスクスコアの Receiver operating characteristic(ROC)曲線と曲線化⾯積(AUC)
Factors associated with non-participation in breast cancer screening: analysis of the 2016 and 2019 comprehensive survey of living conditions in Japan (Breast cancer 2023年7⽉25⽇)
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